中国科学院の研究チームが、月面に存在する土壌から水を生成する方法を考案しました。発表によると、1トンの土壌から約51〜76kgの水を生産することができるとのことです。

六问“月壤能造水”?我国科研团队有新发现_新闻频道_央视网(cctv.com)

https://news.cctv.com/2024/08/22/ARTI4ncseBRoRJzkc18cMNms240822.shtml

Chinese scientists use lunar soil to produce water, state media reports | Reuters

https://www.reuters.com/science/chinese-scientists-use-lunar-soil-produce-water-state-media-reports-2024-08-22/

中国は2020年に月探査機の嫦娥(じょうが)5号を打ち上げ、人類にとって44年ぶりとなる月の土壌サンプル(月の石)を持ち帰ることに成功しました。

研究チームはおよそ3年かけて土壌の調査研究を行い、土壌から水を取り出す方法を考案したとのことです。

水を得る方法について、研究チームは「月の土壌鉱物は数十億年にわたる太陽風の照射によって大量の水素を蓄えています。高温に加熱すると、水素は鉱物中の酸化鉄と酸化還元反応を起こし、大量の水蒸気を生成します」と説明しました。



反応を起こすには最低でも土壌をセ氏500度に加熱する必要がありますが、凹面鏡やフレネルレンズを使って太陽光を集光するなどの方法で、月面で直接水を生成することも可能だとのことです。計算では土壌1トン当たり約51kg〜76kgの水を生成できるとのことで、研究チームは「これは500mlのボトル入り飲料水100本分以上に相当し、基本的に50人分の1日の水消費量を満たすことができます」と語りました。

将来的には、水を飲料水として活用したり、水素をエネルギーとして使用したり、あるいは生成過程で生まれた鉄を建築材料や磁性材料として利用したりすることもできるといいます。

研究チームは「嫦娥8号が完成すれば、2030年までに月へ打ち上げられる可能性があります。それまでには、月でいくつかの実験を行うための科学研究装置を打ち上げ、検証することが可能です」と述べました。