MUCCが8月21日および22日、東京・目黒鹿鳴館にて2daysライヴを開催した。初日は逹瑯(Vo)のバースデイ公演も兼ねた<逹瑯爆誕祭>、2日目はMUCCが目黒鹿鳴館への熱い想いを込めた<目黒爆音祭>。同2daysより<逹瑯爆誕祭>のオフィシャルレポートをお届けしたい。

◆MUCC 画像

ライヴハウスに通うロックファンならご存知だと思う。会場となった目黒鹿鳴館は、1980年のオープン以来、様々なバンドやアーティストが伝説のステージを繰り広げてきた聖地であることを。'80〜'90年代に掛けて、多くのヘヴィメタル・バンドが目黒鹿鳴館でワンマンすることを目標に己を磨き続けた。結果、その目標を果たし、メジャーデビューしたバンドも数多い。

そして'90年代に入ってからは、ヴィジュアル系バンドたちが火花を散らすようなライヴで、多くのオーディエンスを熱狂させてきた。MUCCも1999年4月に初めて目黒鹿鳴館のステージに立って以降、事あるごとに鹿鳴館に出演。特にバンド初期のツアーでは欠かせないライヴ会場のひとつにもなっていた。メンバーにとって、初期からのMUCCファンにとって、たくさんの思い出が詰まったライヴハウスだ。


そんな目黒鹿鳴館が、ビルの老朽化による伴う退去で、この場所での営業を続けられなくなってしまった。ビルの解体スケジュールがまだ確定していないことで、退去までの期間が延長され、2024年12月まで営業できることにはなっている。しかし、この地で40年以上続いてきた熱い歴史がもうじき一区切りを迎えることになる。その前に、自分たちを育ててくれた目黒鹿鳴館に感謝すべく、MUCCは2daysライヴの開催を決めた。各日、入場者は300人限定の激レアライヴでもある。その1日目は逹瑯のバースデイライヴも兼ねた<逹瑯生誕祭>だ。

SEに合わせて赤いライトが生命力を持ったようにトーンを強弱させていったのは、18時35分のこと。ステージに燦然と輝くネオン管の“鹿鳴館”というサインに一礼するように、ステージに現われたYUKKE(B)とミヤ(G)とサポートのAllen(Dr)。最後に大歓声を浴びながら登場したのは逹瑯だ。直後、ミヤの浮遊感あるフレーズと共に「星に願いを」からライヴはスタートした。


骸骨マイクを握りしめ、メロディで酔わせたかと思えば、次の瞬間には咆哮し、とてつもない熱も炸裂させる逹瑯。圧巻のスキルで重厚なバンドサウンドを容赦なく浴びせかけるミヤ、YUKKE、Allen。その声と音を全身で浴びて表情をいきいきとさせていく300人の夢烏(ムッカー:ファンの総称)たち。曲に合わせて前後や左右にうねる夢烏たちの波も激しい。開始早々、濃厚なライヴが繰り広げられていく。

「今日は誰を祝いに来たんだ!」──ミヤ

ミヤの叫び声と共に突入した「零色」ではコール&レスポンスも巻き起こし、中盤では久々に懐かしいの消防車テルミンまで持ち出してYUKKEやミヤと絡む逹瑯。さらに「夏はまだ終わりじゃねーぞ!」とのミヤの煽りで「謡声」に続くと、クラウドサーフやダイブする夢烏たちも。ライヴハウスならではの抑えの利かないテンションと灼熱のような高い熱量、そしてクシャクシャの笑顔と歓喜の叫び声や歌声。全てが入り混じりながら突き進むライヴだ。


「鹿鳴館は何年ぶりでございましょうか? たくさんぶりです。祝われに来たのか、あなたたちを楽しませるために来たのか、ちょっと分かりませんが。お互い、同じぐらい楽しんで帰れたらいいなと思ってますんで。俺たちと遊んでください、よろしく」──逹瑯

逹瑯の言葉に続いて「G.G.」が続くと、今度は巨大な水鉄砲を持ち出して撃ちまくったり、それでは飽き足らず、今度はシャボン玉連射銃で夢烏やメンバーにシャボン玉を浴びせる逹瑯。かと思えば、歌いながら背中から夢烏たちの上に寝そべるように軽いステージダイヴも。ミヤも立膝になって、客席に突っ込んでいく勢いでリフやギターソロを決めまくる。YUKKEもフロントにベタ付き状態だ。まるで無法者たちが占拠するステージのような様相に、夢烏たちも自分を思いっきり解放して楽しむのみ。でかい声で逹瑯と共に歌い、MUCCのサウンドで乱舞し、夢烏同士で楽しさを分かち合い、心を無敵状態にしていった。

セットリストは、<MUCC TOUR 2024「Love Together」>を軸にしながら、随所にレアな曲を挟みこむスペシャルな構成。そんな中で「俺の誕生日にこの曲をやりたいなと思って入れました」と逹瑯が、今日のセットリストに入れた1曲が「スーパーヒーロー」だった。




逹瑯が作詞作曲したナンバーで、他界した父親に向けて書いた曲が「スーパーヒーロー」だ。永遠の別れをただ悲しむのではなく、生前の父親の楽しい一面を歌にして、ポップな曲調の中に優しさも感謝もめいっぱいに詰め込んだ曲だ。今、逹瑯は父親や、自分たちを育ててくれた目黒鹿鳴館への気持ちも込めて、歌声を響かせていく。そしてこみ上げる想いは、曲の後半、言葉になって逹瑯の口から飛び出た。

「俺だ! 今日この日、俺は生まれました! 俺も、いつか君たちのスーパーヒーローになれるように頑張るんで、そのときまでよろしくお願いします!!」──逹瑯

感動的な場面だが、しかし今日のMUCCはそれを噛みしめる隙すら与えてくれない。「誰に会いに来たんだ! 誰に会いたかったんだ!!」と逹瑯は言葉を畳みかけ、疾走する「娼婦」へと展開。激しいバンドサウンドや煽りを食らわせ続けるMUCCに、夢烏たちはクラウドサーフで狂い咲く。本編ラスト「Living Dead」では強靭な生命力とエモーショナルさ、説得力あるバンドサウンドを轟かせた。


止まることのないアンコールに呼ばれてまず現われたのは、バースデイボーイの逹瑯。

「俺の誕生日だと思って集まって来てくれていると思うんですけど、例年は誕生日が今日なんです。でも今年は、昨日だったかもしれない。いろんな人からLINEが来るじゃない? それが昨日、“誕生日、おめでとう”ってLINEが来てしまった。俺は“ありがとうございます”って返した。…だってHYDEさんからLINEが来たから。ええっと…HYDEさん、今日で〜す!」──逹瑯

そんなハプニングもぶっちゃけつつ、メンバーと目黒鹿鳴館の思い出話も。昔は椅子席でグッチャグチャなライヴになったこと、初ワンマンのときにステージから観た客席の扉が閉まらなかった光景、ワンマンで入り待ちのお客さんがいなくてズッコケたことなど。さらに鹿鳴館といえばツーバスというイメージがあって、今日のためにAllenにツーバスのセットを組んでもらったこと。鹿鳴館が移転して開店するときには、こけら落としでMUCCが<爆音祭>2daysを開催することを、店長とすでに約束したという話も。


しかし誕生日らしい仕掛けやお祝い事などなく、夢烏たちからは不満の声もあがりつつ、アンコール曲へ突入した。とはいえ、曲が始まればそんな不満はどこへやら、この最高の瞬間をMUCCととことん味わうように激ノリ。「名も無き夢」ではコール&レスポンスはもちろん、ダイバーも続出。それでも「目黒、テメーらの全部、俺によこせ!」と熱を注ぎ続ける逹瑯。興奮と高揚は頂点までブチ上がっていく。そのままラストへと続くと思ったとき、YUKKEが「よっしゃー! サプライズ始めるぞ!!」と叫んだ。

照明が明るくなって全員で歌うハッピーバースデイと、ケーキを持って登場するのは様々な時代の逹瑯の衣装を着た怪しげな人々。逹瑯っぽいメイクのせいで誰が誰だか分かりづらいが、ガラ(メリー)、団長(NoGoD)、咲(甘い暴力)、未羅(ex.孔雀座)、命依(MAMA.)、ANNIE A(CHAQLA.)である。そんな逹瑯の分身も加わって、ラストに決めるのはもちろん「蘭鋳」だ。中盤のブレイクで逹瑯はこう感謝の言葉を投げつける。


「今日は私のお誕生日会に来てくれてありがとうございます。みなさんの素晴らしい笑顔が、最高のプレゼントになりました。今年1年、頑張っていこうと思います。私の生まれた日に、この言葉をみなさんに捧げたいと思います。愛をこめて、全員…死刑!!」──逹瑯

激しい音と飛び交うシャウトと、常軌を逸するヘドバンの嵐。こうして逹瑯の45回目の誕生日は、目黒鹿鳴館の歴史に新たな伝説として加わりながら、熱狂の一夜になっていった。

取材・文◎長谷川幸信
撮影◎冨田味我

■<逹瑯爆誕祭>2024年8月21日(水)@東京・目黒鹿鳴館 SETLIST

01. 星に願いを
02. 零色
03. 謡声
04. サイレン
05. 愛の唄
06. G.G.
07. 狂乱狂唱〜21st Century Baby〜
08. モノポリー
09. Violet
10. XYZ.
11. ニルヴァーナ
12. 睡蓮
13. ENDER ENDER
14. スーパーヒーロー
15. 娼婦
16. Living Dead
encore
en1. 家路
en2. 名も無き夢
en3. 蘭鋳

■ライヴツアー<MUCC TOUR 2024「Daydream」>


11月05日(火) 東京・Zepp Shinjuku
open17:00 / start18:00
11月06日(水) 東京・Zepp Shinjuku
open13:00 / start14:00
11月23日(土) 愛知・名古屋ボトムライン
open16:15 / start17:00
11月24日(日) 愛知・名古屋ボトムライン
open13:15 / start14:00
11月30日(土) 大阪・大阪BIGCAT
open16:00 / start17:00
12月01日(日) 大阪・大阪BIGCAT
open13:00 / start14:00
12月22日(日) 茨城・水戸市民会館グロービスホール ※ツアーファイナル
open16:30 / start17:30
▼チケット
前売 8,500円(税込)
※スタンディング
※水戸公演は全席指定
※名古屋公演のみ2階指定席 9,500円(税込)
※入場時ドリンク代別途必要
一般発売:
・11月5日〜12月1日公演:9月28日(土)10:00〜
・12月22日公演:11月16日(土)10:00〜
【朱ゥノ吐+会員・虚無僧DU MODE会員先行受付】
受付期間:8月23日(金)13:00〜9月1日(日)21:00
【イープラス プレオーダー】
受付期間:9月5日(木)13:00〜9月10日(火)21:00

■トークイベントツアー<MUCC TALK TOUR 2024「MC」>

11月06日(水) 東京・Zepp Shinjuku
open18:00 / start19:00
11月24日(日) 愛知・名古屋ボトムライン
open17:45 / start18:30
12月01日(日) 大阪・大阪BIGCAT
open17:30 / start18:30
▼チケット
前売 2,500円(税込)
※スタンディング
※名古屋公演のみ2階指定席3,000円(税込)
※入場時ドリンク代別途必要
一般発売:9月28日(土)10:00〜
【朱ゥノ吐+会員・虚無僧DU MODE会員先行受付】
受付期間:8月23日(金)13:00〜9月1日(日)21:00
【イープラス プレオーダー】
受付期間:9月5日(木)13:00〜9月10日(火)21:00

■MUCC主催イベント<LuV Together 2024>

9月16日(月/祝) 東京・EX THEATER ROPPONGI
▼出演 ※順不同
アンティック-珈琲店-
キズ
YUKI-Starring Raphael-
lynch.
MUCC
▼チケット
スタンディング ¥8,600(税込)
指定席(バルコニー席 / スタンド席) ¥9,600(税込)
※入場時ドリンク代別途必要
一般発売日:8月18日(日)


■ライブ/イベント出演情報

■<DEZERT Presents【This Is The “FACT”】TOUR 2024>
DEZERT vs MUCC
11月15日(金) 東京・Zepp Shinjuku
open17:00 / start18:00

■< 対バンシリーズ 第3弾 VS GIGS「MUCC WAIVE ILLUSION ʻ24」>
Waive vs MUCC
11月27日(水) 渋谷Spotify O-EAST
open18:15 / start19:00

■Blu-ray『MUCC 25th Anniversary TOUR Grand Final Bring the End to「Timeless」&「WORLD」』

2024年8月21日(水)発売
【通常盤】MSHN-200 5,000円(税込)
▼収録曲
01. ホムラウタ
02. サイレン
03. 咆哮
04. 99
05. 謡声 (ウタゴエ)
06. ファズ
07. 最終列車
08. 路地裏 僕と君へ
09. ガーベラ
10. アンジャベル
11. 想 -so- feat. Hiromi Gotoh & Ojiro Toshikura
12. 雨のオーケストラ feat. Killer’s Orchestra
13. 25時の憂鬱 feat. Sakura
14. 志恩 feat. Sakura
15. G.G.
16. アゲハ feat. Ken
17. 気化熱 feat. Ken
18. 耀 -yo-
19. フライト
20. ニルヴァーナ
21. 名も無き夢
22. リブラ feat. Killer’s Orchestra
23. 蘭鋳
24. 娼婦
25. WORLD
26. Timeless feat. Killer’s Orchestra
共通特典映像:迫り来るMulti angle


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