『802 Jungle Attack』

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『802 Jungle Attack』2024.8.19(MON)大阪・GORILLA HALL OSAKA

This is LAST、ビッケブランカ、Mr.ふぉるてが出演したライブイベント『802 Jungle Attack』が8月19日(月)、大阪・GORILLA HALL OSAKAで開催された。

ゴリラパネル

『802 Jungle Attack』は、大阪のラジオ局FM802と大阪・住之江区のライブハウスGORILLA HALL OSAKA、プレイガイドのイープラスが4月にスタートさせた新番組『MUSIC Play-STANDARD』(月~金曜23:48~24:00 O.A.)主催のライブイベント。「ゴリホ」の愛称で親しまれるGORILLA HALL OSAKAのエントランスには、ライブの感想や出演アーティストへのメッセージを自由に記入できる「ゴリラパネル」が常設され、時には番組内でその内容がピックアップされることも!?

この日は開演前にFM802DJ飯室大吾が、「今日が記念すべき第一回目です! 幕開けの目撃者、目撃ゴリラです(笑)。今日はいろいろゴリラに例えていきましょうかね……それでは皆さん、ワクワクしてますか? いや、ウホウホしてますか?(笑)」と場を沸かせ、ライブハウスを最高の遊び場にすべく集まった3組を紹介。「胸に刺さる切ない失恋ソングを力強く鳴らす」This is LAST、「最近は海外でのライブの経験も非常に増えた、南米帰りのテキーラポップマジシャン(笑)」ビッケブランカ、「喜怒哀楽、全ての感情を丁寧に紡いでいくバンド」Mr.ふぉるて、という期待感の高まるコールを経て、『802 Jungle Attack』がいざ開幕!

This is LAST

This is LAST 撮影=日吉"JP"純平

「千葉・柏からThis is LASTと言います、よろしくお願いします!」(菊池陽報・Vo.Gt、以下同)と開会宣言した記念すべき第一回目のトッパーは、文句なしにキャッチーなラブソング「恋愛凡人は踊らない」から促さずとも自然発生するクラップに後押しされ、続く「もういいの?」でもみずみずしいポップソングでファンも初見も関係なく魅了してしまうなど、バンドの持ち味を最短距離で知らしめていく。一聴して口ずさめるリリックとグッドメロディというThis is LASTのセオリーは、「病んでるくらいがちょうどいいね」でも継続。好きにならない理由がない珠玉の楽曲群で、冒頭から『802 Jungle Attack』に花を添える。

This is LAST

「#情とは」は、ゆったりとしたBPMで聴かせるThis is LASTの失恋ソングの真骨頂。青い光に照らされ真剣にステージを見守る観客のまなざしからも、楽曲の物語に没入しているのがひしひしと伝わってくる。

This is LAST

「大阪、元気にしてましたか? FM802は、大阪という街はバンドをすごく大事にしてくれるなといつも思っていて。そういう縁がこうやってステージにつながってると思うとうれしいです。俺たちのことを初めて見る人もいると思うんですけど、感謝とかありがとうという気持ちを、最後まで伝えられたらと思ってます!」

This is LAST

人懐っこい人柄がにじみ出るMCからも、彼らの音楽を構成する思いを存分に感じさせる。後半戦は「カスミソウ」「ディアマイ」「オムライス」と鉄板の3連発で、出会えた縁を確かな絆へと変えんばかりに駆け抜ける! スリーピースというシンプルなフォーマットながら、同期を巧みに取り入れた爽快感溢れるサウンドとジャストにシンクロする照明、ロックシーンという線引きなど優に超え支持されるであろうポテンシャルを見せつけたThis is LAST、ここにあり!

Mr.ふぉるて

Mr.ふぉるて 撮影=ハヤシマコ

吉河はのん(Dr)のドラムの一音目から手拍子が並走するほど、板の上も下も息はピッタリ。1曲目の「トライアングル」より、何とも言えないハピネスがGORILLA HALL OSAKAを包み込んだMr.ふぉるてのライブ。「Love flies」のイントロを間違っても無問題、改めて動じることなく堂々と歌声を響かせた姿は、歴戦のライブアクトならではの頼もしさだ。

Mr.ふぉるて

「初のイベントに僕らを選んでもらってありがとうございます! みんなウホウホしてますか(笑)? 誰かのことを愛する曲もラブリーでキュートだと思いますけど、たまには自分のことを愛してやってもいいのかなという曲を」(稲生司・Vo.Gt、以下同)

Mr.ふぉるて

熱唱する言葉の一つ一つが突き刺さる「I Love me」や「夢なずむ」、歌詞の一節をGORILLA HALL OSAKAに変え呼び掛けた「なぁ、マイフレンド」でも、4人が一丸となって疾走する青き躍動がたまらない。すなわち、いいバンド!

Mr.ふぉるて

「そろそろウホウホしてきました? ここでは恥じらいを捨てましょう(笑)」と導いたのは、「日常の少し先へ」。ギターを置きハンドマイクで情熱的に訴える稲生も「どうもありがとう、最高です!」と漏らすグッドヴァイブの中、Mr.ふぉるての新境地たるチルなアンセムが鳴り響く。その高揚感のままジャンプした「明晰夢」の後は、阿坂亮平(Gt)のメランコリーで美しいギターのリフレインと福岡樹(Ba)のうねるシンセベース、吉河の残響たっぷりの打撃音で瞬時に景色を変えて見せた「エンジェルラダー」と、多彩なサウンドスケープでも魅せていく。

Mr.ふぉるて

「僕は過去に病気で声が出なくなっちゃったことがあって。だからこうやってステージで歌えてることが、皆さんに音楽を届けられてることがものすごく幸せなんで、それが一方通行じゃなくて両思いだったらいいなと。現実は災害とかもいろいろあって、苦しみとか悲しみを避けては通れないし、言っちゃいけないことまで言いそうになったりする。でも、こういう日があるから僕らは生きていける。また、どんな感情でも生きて会えたらうれしいです」

Mr.ふぉるて

そんな思いと共に放った「Chaplin」が胸を揺さぶらないわけがない。皆が立ち尽くし聴き入った求心力、連日のライブでもガラリとセットリストを変えてくる懐の深さでも、見る者を最後まで楽しませたMr.ふぉるてだった。

ビッケブランカ

ビッケブランカ 撮影=ハヤシマコ

ひときわ大きい拍手と歓声が迎えたこの日の大トリ。おなじみの『ライオン・キング』のテーマ「Circle of Life」のSEが流れ、サポートメンバーに続いて真打ち・ビッケブランカがふらりと登場。ド頭の「Shekebon!」で一気に上昇するフロアのテンションを前にしても余裕のたたずまいで、会場の熱量を軽々と引き上げていく。大型フェスやイベントへの出演はもちろん、今や自身のワンマンはホールクラスのビッケブランカだけに、ライブハウスの至近距離で彼のパフォーマンスを体験できる『802 Jungle Attack』は極めてレアな機会だ。手加減抜きの最強ミュージシャンのド迫力の演奏をバックに、「Snake」でも天井知らずのハイボルテージで容赦なく攻め立て、現在の海外進出のキッカケの一つとも言える「Black Catcher」では、ギターを手にエモーショナルに歌い上げる!

ビッケブランカ

「『802 Jungle Attack』にお集まりいただきありがとうございます。舞台袖で気付いたんですけど登場のSE、今日ほどピッタリの日はないなと(笑)。僕はずっと海外ツアーに行っていて……やっぱり日本っていいなと思います。海外のお客さんはずっと叫んでるしテンションも高いから、日本っておとなしいんだなと何となく思ってたけど、盛り上がり的にも余裕でメキシコに勝ってる(笑)。今日もにぎやかな日になればいいなと思います」

ビッケブランカ

「蒼天のヴァンパイア」の間奏やアウトロではサンプリングパッドも叩いて盛り上げ、GORILLA HALL OSAKAに色とりどりのタオルが回る祝祭空間をあっという間に創出。その後も、飛び跳ねずにはいられない魔法の「ファビュラス」、壮大にして無敵のアンセム「Ca Va?」と、誰がビッケブランカを止められるのかというアドレナリン出まくりの無双状態!

ビッケブランカ

「……あの……あのさ、目の前が白くなっちゃって」と、とてつもない熱気にフラフラながら、充実感溢れる表情のビッケブランカ。「またすぐ会いましょう! 最後にドーンと終わろうと」と鍵盤を弾き始めたもののミスったビッケは、何事もなかったように1分前からきれいにやり直し(笑)、本編ラストの「ウララ」へ。その流れも含め、見渡す限りの観客が手を振ったエンディングを目の当たりにすれば、そこにいる誰もがビッケブランカのとりこになったのは明白だった。

「海外でばっかりワンマンをやってると、アウェイという感じで。俺はどこでも俺らしくあるぜと思ってたけど、ちょっと怖がってたのかも。今日は安心感がすごい(笑)。皆さんとつながれた感じがしますね。この感覚を思い出させてくれてありがとう。カッコ良い曲をやって終わりたいと思います」

ビッケブランカ

アンコールは、有言実行の切なきダンスナンバー「アシカダンス」。ビッケブランカがもたらした幸福な余韻が、いつまでも心と体に残るような最高のエンドロールとなった。

ビッケブランカ、飯室大吾

なお、8月最終週の『MUSIC Play-STANDARD』では、この日の公演直後に行われた各アーティストへの楽屋突撃インタビューをO.A.。また、秋には第2回目となるライブイベントを開催予定。今後もFM802、GORILLA HALL OSAKA、イープラスが連動し、ラジオ、ライブハウス、WEBと、さまざまな切り口でアーティストをプッシュしていく。

『802 Jungle Attack』

取材・文=奥“ボウイ”昌史 写真提供=FM802(撮影=ハヤシマコ、日吉"JP"純平)