「高級ミニバン」の代名詞! トヨタ「アルファード」何がスゴイ? あっさり「ライバル勢」を超えた理由とは

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販売力を誇るトヨタも勝てなかった初代「エルグランド」の凄さとは

 今も走る姿を数多く見かける初代「アルファード」。当たり前のように走っていますが、その発売は今から20年以上も前の2002年ことでした。
 
 衝撃的なデビューを飾った当時の様子を振り返ります。

打倒「エルグランド」を掲げ誕生! トヨタ高級ミニバンの新たな歴史の幕開けとなった初代「アルファード」

 アルファードといえば、ミニバンはもとより高級車の代名詞ともなっている人気のクルマです。

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 今でこそ兄弟車の「ヴェルファイア」とともに、ラージサイズミニバンのベストセラーとなっていますが、もともとは“後発”のクルマでありました。

 その“先発”が何かといえば、日産「エルグランド」です。

 エルグランドは、1997年5月に「最高級新世代1BOX」を掲げて登場。それまでになかった「ミニバンの高級車」として、一躍ヒットモデルとなりました。

 当時を知っている人なら、「でっかく行こうぜ人生は」のキャッチコピーとともに、俳優の岩城滉一さんが登場するテレビCMを覚えている人もいるかもしれません。

 当時、トヨタには「グランビア」というラージサイズミニバンがあったものの、高級車ではなく、あくまでも「ゆとりのある大きなワゴン」という位置づけ。

 しかも欧州向けの大型商用バンと基本骨格を共有するという仕立てでした。

 エルグランドは、角張ったボディに迫力あるフロントマスクというわかりやすい高級感と、静粛性の高いV6により、グランビアを圧倒しました。

 トヨタは、グランビアにV6エンジンを搭載したり、まるで「クラウン」のように派手で豪華なフロントグリルを持つ兄弟車「グランドハイエース」を発売したりして応戦しますが、エルグランドの牙城を崩すことはできず。

 そこで「打倒エルグランド」といちから開発したのが、アルファードというワケです。

2代目エルグランドの「翌日」に発売したトヨタの刺客

 エルグランドがFR(後輪駆動)に対し、より室内空間を広く取れるFF(前輪駆動)レイアウトを採用。エルグランドと真っ向勝負となる大排気量のV6エンジンに加え、4気筒エンジンを用意して価格を抑えたグレードを用意するなど、ラインナップも“いざ勝負!”という内容でした。

 驚くべきはその発売日で、初代アルファードを発売した2002年5月22日は、2代目エルグランドが発売された翌日というから、トヨタの対抗心がうかがえます。

歴代トヨタ「アルファード」のフロントマスクを比較![左上から時計回りに初代/2代目/3代目/新型(4代目)]

 いざ発売してみれば、販売は絶好調。発売2週間の累計受注台数は、月販目標台数の3倍となる約1万2000台、約1ヶ月間の累計受注台数は、目標の5.5倍となる約2万2000台に達しました。

 日産にしてみれば、まさに刺客に不意打ちされた格好。

 トヨタはアルファードによってラージサイズミニバン市場の勢力図を見事に塗り替え、すぐに独走態勢を築きます。

 2003年のハイブリッドモデル追加や2005年のマイナーチェンジ、アルカンターラセレクションをはじめとした特別仕様車など、常に話題を提供し続け、それがそのまま“憧れ度”の向上につながっていきました。

 当時の様子を思い出してみると、広大な室内空間や豪華なシートはもちろん、当時まだ珍しかったアンビエントライトも新鮮で、「新しい高級車」を感じさせてくれたもの。

 また「イプサム」「マークII」「クラウン」といった、車格もジャンルの違うクルマが止まっていた車庫が、続々とアルファードに替わっていったことも鮮烈でした。

 ちなみに、このときまだヴェルファイアは登場しておらず、2008年のフルモデルチェンジまでは「アルファードL」「アルファードV」という2つのアルファードが存在。少しだけグリルのデザインが違い、販売チャネルに応じて販売されていました。

※ ※ ※

 4代目アルファードが登場した今もたくさんの初代アルファードが走っていることは、当時たくさん売れたことの表れでもあります。

「打倒エルグランド」から、トヨタの看板車種にまで成長するとは、当時は誰も予測していなかったでしょう。