スバルが新型「すごい4ドアセダン」公開! 2.4水平対向ターボ×独自4WD採用!? 「重いクルマ」鍛える意味とは

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スバルの4ドアセダンである「ハイパフォX」九州の地で走行を開始。どんな目的で走るマシンなの?

 スバルの4ドアセダンをベースにした「HIGH PERFORMANCE X FUTURE CONCEPT(略してHiPerfX=ハイパフォX)」がスーパー耐久の場に登場しました。

 どのような目的で走るのでしょうか。チーム代表と監督が説明を行いました。

スーパー耐久オートサロンでデビューした「HIGH PERFORMANCE X FUTURE CONCEPT(略してHiPerfX=ハイパフォX)」

【画像】かっこいい!これが「凄い4ドアセダン」です。(19枚)

 2024年5月の行われたスーパー耐久第2戦富士24時間で有終の美を飾ったBRZ CNF CONCEPT。

 そのあとを受け継ぎスーパー耐久の場にスバルが投入するのが「ハイパフォX」です。

 4ドアセダンをベースにしており、ボディサイズは、全長4670mm×全幅1865mm×全高約1420mm、ホイールベースは2675mm。

 パワートレインはレース用にチューンした「2.4リッター水平対向ターボエンジン」に6速MTを組み合わせて搭載。

 エンジンスペックは最高出力300馬力以上、最大トルク400Nm以上を誇ります。

 燃料はこれまで同様にカーボンニュートラル燃料を使用します。

 駆動方式はスバルの伝家の宝刀シンメトリカルAWDを採用しています。

 このハイパフォXになりチーム監督も今までチームを率いてきた本井氏から伊藤監督に引き継がれました。

 本井氏はチーム代表としてチーム内の統括や対外的な仕事をしていくことになります。

 まず伊藤監督は2年間のBRZの挑戦について次のように振り返りました。

「2年間BRZ CNF CONCEPTでもエンジニアをとして参戦してきました。

 その中でカーボンニュートラル燃料の特性の理解や技術的な対応もできてきました。

 さらに人材育成も参戦目的の一つでしたが、車1台を見られるエンジニアの育成。ということも徐々にですが育ってきていると思います。

 BRZも2年のなかで富士スピードウェイでは同じ車両で排気量の変化もない中で3秒のタイムアップを果たしました。

 2.4LのNAエンジンで3秒アップというのは結構良い結果ではないかと思っています。

 まだまだBRZで煮詰めるものもあるとは思いますが、次の技術開発の意味も込めてハイパフォXへのバトンタッチとなりました」

 このようにBRZの2年を語りましたが、ではその次の技術開発とはどういうものなのでしょうか。

「BRZでのNA×FRの技術進化から、スバルらしいターボ×AWDの技術進化のための場にしていきます。

 具体的に『ターボエンジン(スポーツユニット)を鍛える』、『AWD駆動力制御技術課題へ挑戦』『高出力、AWDの力を受け止めるシャシを鍛える』ことをしていきます」

 これは、高出力なスポーツターボユニットをスーパー耐で鍛え、今後のICE(内燃機関)でフィードバックを目的としています。

 内燃機関はまだ無くなることは考えにくく、環境性能とともにエンジンの楽しさなどを極めていく必要があります。

 そのために徹底的鍛え上げていくことで、将来的にハードとして高出力を実現したエンジンの環境性能をあげることが、結果的に環境に配慮した内燃期間が実現できるのではないか。ということを目標としています。

「HIGH PERFORMANCE X FUTURE CONCEPT」の概要を説明する本井代表(左)と伊藤監督

 もう一つの大きな参戦目的がスバルの得意分野のAWDシステムの開発です。

 伊藤監督は「最新の知見をもって、改めてプロペラシャフト付きAWDのスポーツユース性能を考える」という説明します。

 プロペラシャフト付きAWDの良さ+予見性の高いAWD制御の融合をしていくことで、今後のプロペラシャフト付きAWDや、BEVにも生きる技術を鍛える。とのことです。

 未来を想像すると電動車も多くなっていくことも想像できます。4輪に電動モーターを装備した車両も多くなると思われます。

 電動モーターでは出力特性を変化させることで、コーナリングの運動性能をあげることができますが、プロペラシャフト付きAWDを突き詰めていくことで前後トルク配分の出力特性などが電動ユニットにも生きるのではないかという考えです。

 プロペラシャフト付きAWDが今後無くなることも考えにくく、コーナリング特性なども今後も研究開発していく必要性が高いため、レースという場を使って開発を進めていくとのことです。

 今回のハイパフォXにはDCCD(ドライバーズコントロールセンターデフ)方式AWD改が投入されています。

 DCCDはドライバーの好みにより前後トルク配分を決められた設定の中で変更することができます。

 ハイパフォXでは車両に合わせたDCCDを投入し、どのような使い方がレースで速く走れるのか、今後のDCCDのような装置やEV車両のトルク特性の作動や配分などの知見を得ることができます。

 そしてそれらの動力や運動性能を受け止めるシャシーの開発も行っていくと言います。

 現在のハイパフォXはまだ生まれたて状態で、走ることが精一杯の状態です。

 レースというスケジュールが決まっていて、走行時間や距離も決められているなかで進化をしていかなくてはならない。

 アジャイルに開発を進めていくにはレース参戦が良いと判断したことで、今回のスーパー耐久第3戦オートポリスから参戦となりました。

 FA24エンジンの可能性をさぐり、今後の内燃機関の行方を見つける。

 そしてスバルが得意とするAWDを使い、今後のスバルの走りを見つけていく。

 今後のスバルの方向性を探るような、壮大な実験をレースという現場で行っていことになりそうです。

 ここからどうのようなマシンに仕上がっていき将来に繋がるのか楽しみです。