「左寄りを走る」だけじゃない! NEXCOが呼びかけた「もう一つのキープレフト」が話題に「あおり運転」未然に防ぐ重要なルールとは
キープレフトの意味は複数ある
NEXCO中日本 東京支社の公式SNSでは、高速道路走行時の交通ルールやマナーについて定期的な呼びかけを行っています。
そのなかで、高速道路では「キープレフト」が重要だと発信していて、その内容が話題です。
キープレフトといえば、教習所では最初に「車線の左寄りを走ること」と教わりますが、NEXCO中日本の投稿はどうも「別の意味」で使っているようです。コメントでも「教習所で習ったのとは違う」「これもキープレフトか」などの声が上がっています。どういうことなのでしょうか。
一般的に認知されている「キープレフト」ですが、これは道路交通法第18条で以下のように定められています。
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「車両は、車両通行帯の無い道路では、道路の左側端に寄って通行しなければならない」
教習所で「道路の左側に寄っておけ」と言われるのはこのパターンが多いかもしれません。主に、センターラインのない狭い道路や、片側1車線だけの道路に適用されます。
日本の道路は「左側通行」の文化なので、対向して走るクルマ同士が余裕を持って安全に走行できるように、また狭い道でスムーズにすれ違うために、ひとつの車線の中でも左寄りを走るルールが定められているのです。
ただし、歩道のない道路で、路肩を通行する歩行者や自転車の横を走る場合などは、寄せすぎないように十分注意が必要です。
違反による罰則はありませんが、歩行者や自転車などに注意しつつ、対向車線のクルマに注意して走行するようにしましょう。
NEXCO中日本が投稿した「もうひとつのキープレフト」
いっぽう、NEXCO中日本が発信したSNSでの投稿は、「高速道路を走る時は、一番左側の車線(走行車線)を走るようにしてください!」というものでした。つまり、ひとつの車線の中の左寄りということではなく、複数車線がある中の「左に位置する車線」を意味しているのです。
これは道路交通法20条に規定されたルールです。
「車両通行帯の設けられた道路においては、道路の左側端から数えて一番目の車両通行帯を通行しなければならない」
つまり、追い越しなど必要な時以外は、右側の追越車線を走り続けてはならないというものです。追い越しが終わったら、速やかにもとの車線に戻らなくてはなりません。
違反すれば「通行帯違反」として違反点数1点、普通車で反則金6000円が科される可能性があります。
道路交通法でルールが規定されているとはいえ、NEXCO各社がSNSをはじめ各所で注意喚起する背景にあるのは、渋滞緩和を促進するという理由です。
高速道路が発生するメカニズムとしては、交通集中とあわせていくつかのポイントがあります。
一番割合が多いのは上り坂や上り坂にさしかかる場所で、気づかないうちに速度が下がり、前が詰まることで後続車がブレーキを踏み発生する自然渋滞です。
そのほかにも、トンネル入口やインターチェンジ合流部、料金所付近など速度が落ちる場所から自然渋滞が発生します。
このような場所で交通集中が発生した際、走行車線の遅いクルマを追い越そうと次々と車両が追い越し車線に移ると、追い越し車線で車間が詰まった状態になります。
車間が詰まったため、後続車が次々にブレーキを踏み流れが停滞してしまいます。これが追い越し車線を走ることによる渋滞の原因です。
NEXCO中日本では、LED標識を設置するなどして走行車線の利用を呼びかけたところ、車線が均等に使われ、渋滞軽減効果があったことを公表しています。渋滞緩和のためにも、多くのドライバーがキープレフトを意識することが、結果として渋滞発生の抑止に重要だということです。
別の視点で、キープレフトを守ることはあおり運転されづらくなるといったメリットもあります。
もちろんあおり運転は、するほうが悪く罰則規定もある悪質な行為ですが、むやみに後ろのドライバーを苛立たせて無用なトラブルになるのは避けたいものです。
追い越し車線を低速で走る、走行しているクルマが接近しているにもかかわらず強引に追い越し車線に入る、追越車線に入る際にウインカーを忘れていたなどが周囲のドライバーを苛立たせる原因となります。
あおり運転を誘発する要因にもなりますので、自分の運転を過信せず「周囲のスピードから逸脱しない」スムーズな運転が必要です。