通常ではできない“深いカスタマイズ”を可能にするGood Lock。サムスン電子のGalaxy Storeからダウンロードできる(筆者撮影)

設定アプリにズラッと並んだ項目の順番を、入れ替えたいと思ったことはないだろうか。中には機種変更するまで1回も開かないものもあるはずだ。よく使う順に並べ替えられれば、操作性は確実によくなる。Galaxyシリーズには、それができる。

「Good Lock」で手に入れる快適なスマホライフ

ただし、設定メニューの入れ替えなどは、システムの深い部分に触るため、通常はユーザーが触れることはできない。このような時のため、Galaxyシリーズは専用のカスタマイズツール「Good Lock」を用意している。アプリの提供元は「Good Lock Labs」になっているが、実態としては、サムスン電子自身が提供している。裏技的に、同社が別名義で配布しているというわけだ。

このアプリは、Androidスマホで一般的なPlayストアではなく、Galaxy専用のアプリストアである「Galaxy Store」からダウンロードすることが可能。PCにつないで開発者用ツールを入れたりする必要なく、手軽さと深いカスタマイズという本来は相反する要素を両立させているのが魅力だ。

設定項目の並び替えだけでなく、マルチウィンドウの呼び出し方を追加したり、通常は変更できないカメラの設定を変更できたり、通知を記録しておけたりと、その項目は非常に多彩。このアプリを使いこなせば、カスタマイズの幅が一気に広がる。ここでは、その中からGalaxyをもっと便利に使えるようにするための設定をピックアップしていく。

Good Lockは、1つのアプリの中に用途別のツールをダウンロードするスタイルを取っている。例えば、設定アプリのカスタマイズをしたければ「RegiStar」、カメラの設定を変更したければ「Camera Assistant」、通知の管理をしたければ「NotiStar」といった具合で、必要なツールだけを都度、取得していけばいい。

設定内の項目を使いやすいように移動

ここでは、まず設定アプリ内の項目を消去したり、並び替えたりできるRegiStarを使ってみた。このツールは「便利なGalaxy」というタブの中にある。RegiStarをダウンロードしたら、「設定ホームをカスタマイズ」というメニューを選択。機能を有効にした後、「メニュの順番およびグループを設定」(原文ママ)をタップしよう。

すると、設定アプリ内の項目がズラッと並んだ画面が表示される。ここで、各項目の右にある「<>」が縦に並んだボタンをドラッグすると、それぞれの項目を移動させることができる。利用頻度が低い設定は、画面の下のほうに配置しておくといい。スクロールする量を減らせるからだ。


設定メニューを並べ替えたり、一部を非表示したりすることが可能。自分の使い方に合わせて整理できる(筆者撮影)

また、各項目の左側にあるチェックを外すと、それを非表示にすることが可能だ。ほぼ使わないことが確定しているような設定メニューは、消してしまってもいい。

設定画面がすっきりするため、より必要なものが見つけやすくなる。筆者の場合、利用頻度が低い「ドコモのサービス/クラウド」を画面下に移動させつつ、比較的開くことが多い「アプリ」や「便利な機能」は画面上部に配置した。

端末を購入してから開いたことがなかった「ヒント」は、非表示に。これで設定メニューがスッキリと使いやすくなった。また、設定項目は移動させると、自動的にグループ化される。グループを分けたいときには、設定項目を長押しし、「新しいグループを作成する」をタップする。すると、その項目の上が切り離され、新しいグループになる。

RegiStarを使うと、電源キー(サイドキー)を長押しした際の動作まで変更できる。通常は、Galaxyの場合、「電源オフ」や「再起動」といったメニューが表示されるが、これをスクリーンショットにしたり、Googleアシスタントを呼び出したりするボタンに変更できる。特定のアプリを割り当ててもいい。

電源オフや再起動のボタンは通知の上にあるクイック設定パネルからでも呼び出せるうえに、利用頻度がそれほど高くない。押しやすい電源キーに、これを割り当てておくのは少々もったいない。RegiStarで別の機能を割り当てておけば、必要な機能やアプリをスムーズに呼び出せるようになるはずだ。

カメラの隠し設定も変更可能

カメラの設定を変更する「Camera Assistant」というツールを使うと、通常ではユーザーが触れない部分までカスタマイズすることができる。もう少しここを変更できれば……といった設定が用意されており、かゆいところに手が届くツールと言えるだろう。むしろ、Good Lockではなく、通常の設定に用意しておいてほしいぐらいだ。

Camera Assitantには、ズームボタンを追加したり、画像をソフトにして雰囲気を出したり、ピンボケを防止するような設定が、複数用意されている。いずれも、通常のカメラアプリからは変更できない項目だ。筆者は、このツールでまずカメラアプリが自動終了する時間を10分に延長した。折りたたみスマホの「Galaxy Z Fold5」で、机の上に置いたまま連続して撮影することが多いからだ。


Camera Assistantというツールを使うと、カメラアプリにはない設定を変更することが可能になる(筆者撮影)

通常、Galaxyのカメラアプリはバッテリー消費との兼ね合いもあり、自動的に2分で終了してしまう。ただ、机の上に置き、発表会のスライドを資料として撮っておきたい時に、いつの間にかカメラが終了してしまうことがある。

2分以内に次のスライドに移るとは限らないためだ。この場合、改めてカメラを起動し、画角を合わせるか、2分以内にもう1回シャッターを切る必要があった。

Good LockのCamera Assistantでは、この時間を「1分」「5分」「10分」の3つに変更できる。設定を変えたいときには、「カメラのタイムアウト」を選んで時間を選択すればいい。10分にしたところ、さすがに途中でカメラが自動終了してしまうことはなくなった。そのぶんバッテリーは消費してしまうが、撮りたいと思ったときにカメラが終了しているよりはいい。

また、Camera Assistantを使い、Galaxy Z Fold5の標準設定にはない「2倍ズーム」のボタンを追加した。同モデルのメインカメラは5000万画素で、通常は4つの画素を1つに束ねて1200万画素相当で撮影している。2倍ズームにすると、束ねた画素を元に戻し、5000万画素で撮影したうえで切り出して1200万画素の写真を作り出す。画素が大きいため、切り出しを行うことでズームに近い結果が得られるというわけだ。

標準ではこの2倍ボタンがなく、スライダーで調整して2倍を呼び出す必要がある。ただ、スライダーだとピッタリ2倍を呼び出すのが難しい。そこでCamera Assistantを使って、このボタンを追加することにした。Camera Assistantには「2xトリミングズームのショートカット」という項目があるので、これをオンにすると、画面上にボタンが現れる。ワンタッチで切り替えられる画角が増えるため、構図も調整しやすい。2倍程度のズームをよくする人は、オンにしておいたほうがいいだろう。

マルチウィンドウやゼスチャー操作をカスタマイズ

Android特有のマルチウィンドウも、Good Lockで呼び出しやすくすることができる。ここでは、「MultiStar」というツールを利用する。この中にある「マルチウィンドウのクイック実行」をオンにすると、ナビゲーションキーのアプリ履歴を長押しするだけで、直近に表示していたアプリが分割表示に切り替わり、2つ目のアプリを呼び出せるようになる。

通常だと、アプリ履歴からアイコンを長押ししたり、画面左右の端からスワイプしたりといった操作が必要になるが、キーを長押しするだけで済むので操作が簡単になる。また、画面分割の代わりに、表示中のアプリをポップアップウィンドウに切り替えるよう、設定することも可能だ。

ただし、これらはナビゲーションキーを使って操作していた場合の話。Androidで一般的になりつつある、ジェスチャー操作の場合はそもそもアプリ履歴のキーが表示されないため、利用ができない点には注意が必要だ。Good Lockには、このジェスチャー操作をカスタマイズする「One Hand Operation +」というツールも用意されている。


「One Hand Operation +」を使うと、ジェスチャー操作を「戻る」以外に活用できるようになる。細かなカスタマイズも可能だ(筆者撮影)

通常のAndroidだと、画面の左右どちらかから内側に向かってスワイプすると、「戻る」の操作になる。これに対し、One Hand Operation +を使うと、斜め上や斜め下にスワイプする動作に、アプリ履歴の表示や音量アップ、通知パネルを開くといった各種機能を割り当てることが可能。左右のどちらか一方だけを有効にするといったカスタマイズもできる。

また、スワイプ操作が有効になる領域の幅を調整したり、位置を変えたりと、非常に細かなチューニングをすることが可能だ。設定を変更しすぎると、かえって操作が煩雑になってしまうおそれもあるが、必要な動作を割り当てておくことで、今まで以上に素早い操作ができるようになる。

ほかにも、例えば「Galaxy Z Flip5」で外側のディスプレーに非対応のアプリを表示させたり、通知を最大30日間保存しておけたりと、一般的な設定変更にはないカスタマイズ項目が用意されている。エントリーモデルなど、一部で利用できなこともあるようだが、対象OSはAndroid 8以降と幅広い。自分の使い方に合わせてGalaxyをカスタマイズをしたい人には、オススメしたいアプリと言えるだろう。


この連載の一覧はこちら

(石野 純也 : ケータイジャーナリスト)