写真:代表撮影/ロイター/アフロ

 6月27日、岸田文雄首相は自民党の渡海紀三朗政調会長らと首相官邸で面会し、「賃上げや定額減税の効果がだんだんと出てきている。秋口に効果が明らかになる」と話した。

 同席した松本洋平政調副会長が記者団に明らかにした。5月使用分でいったん終了した電気・ガス代金の補助を8〜10月の3カ月限定で再開することについて、「この酷暑を乗り切っていくことができるように」とも述べたという。

「岸田首相は5月20日、自民党役員会で『減税の恩恵を国民に実感いただくことが重要だ』と強調。6月から実施する定額減税で、会社員らの給与明細に所得税の減税額を明記するよう企業に義務づけてもいます。

 定額減税は1人あたり所得税3万円、住民税1万円の計4万円。首相官邸のホームページや『X』を見ると、チャート式の早見表やモデルケースを示して、定額減税をアピールしています。

 ところが、電気・ガス料金の政府補助が5月で終了し、再生可能エネルギーの普及のため電気料金に上乗せされる『再エネ賦課金』も引き上げられていることから、6月使用分の光熱費が大幅に値上げ。

 国民1人1000円の『森林環境税』が住民税に上乗せされる形で徴収も始まっており、《定額減税など吹っ飛ぶ》と、その効果に批判的な声もあがっていたのです」(政治担当記者)

 6月21日の会見で、岸田首相は、物価高対策として電気・ガス料金の負担軽減策を「8月からの3カ月間おこなう」と急遽、表明。補助金を所管する経済産業省に、再開の方針が伝えられたのは会見前日だったという。

 6月26日には、貧困問題に取り組む認定NPO法人「キッズドア」が記者会見し、困窮世帯へのアンケート結果を公表した。

 小中学生のいる世帯の計60%が、子どもの夏休みを負担に感じ、「なくてよい」「今より短い方がよい」と考えていることを明らかにした。理由は「子どもが家にいると生活費がかかる」が最多だった。

 そんななか、岸田首相が、「賃上げや定額減税の効果がだんだんと出てきている」と語ったことに、「X」では批判的な声が殺到している。

《賃上げは企業努力なのに自分の手柄にしてるよ。異次元の自己過大評価!》

《メガネの点検をしてもらったほうがいいぞ!錯覚メガネ 定額減税分で何が変わったというんだ?》

《この人、炎上させるの天才すぎる》

 6月からは国民健康保険料の徴収が始まり、あまりの高額さに「X」では悲鳴もあがっている。9月に予定される党総裁選で再選するため、必死すぎる岸田首相。だが、そのアピールは、逆効果になりかねない。