Graffityは6月28日、Apple Vision Pro向けのシューティングゲーム「Shuriken Survivor」をリリースしました。価格は500円(税込)で、App Storeで購入できます。

 

リリースに先駆けて説明会が開催されたため、ゲームの概要と合わせてレポートします。

 

早くも2つめのApple Vision Pro向けゲームアプリを作ったGraffity

Shuriken Survivorの前に、ゲームを開発したGraffityについて見ていきましょう。GraffityはAIの研究をしていた森本俊亨さんが学生時代に起業した会社で、これまでARとエンタメを掛け合わせたサービスを中心に事業を展開してきました。サービスのひとつである、スマホを使ったARシューティングアプリ「ペチャバト」は累計25万ダウンロードを達成するほか、筑波大学附属高等学校の体育の授業にも導入されるなど、着実に評価を集めています。

↑GraffityのCEO、森本俊亨さん

 

また、Apple Vision Proの国内販売が決まる前の2024年2月14日にApple Vision Pro向けアプリ「Ninja Gaze Typing」をリリースしています。アイトラッキングシステムとハンドトラッキングシステムを活用し、空間上に表示されたキーボードをタップして出題された単語を入力するゲームで、Apple Vision Proでのタイピングに慣れることをひとつの目的としています。

↑「ゲームを通じて操作が覚えやすくなった」という評価もあるApple Vision Pro向けアプリ、Ninja Gaze Typing

 

Apple Vision Proの米国発売は2024年2月2日。まだ4か月しか経っていないうえに、国内販売は6月29日からという状況にもかかわらず、GraffityにとってShuriken Survivorは早くも2つめのApple Vision Pro向けゲームアプリです。この開発からサービスローンチまでのスピード感はGraffityの特徴でしょう。

 

楽しむ要素と細部の作り込みが詰まったShuriken Survivor

Shuriken Survivorは、迫り来る敵の忍者を手裏剣で倒して自分の城を守るゲームです。手のひらをこする動作で手裏剣を投げることができます。敵の忍者を倒すとレベルアップして手裏剣をアップグレードできたり、ボスが出てきたりとゲームをやり込む要素も入っています。

↑Shuriken Survivor

 

↑忍者のように手裏剣を投げられます

 

Apple Vision Pro向けアプリならではと言える部分もあり、たとえば部屋の家具に向かって手裏剣を投げると刺さったり、目の前にイスなどを置くと敵の忍者がそのイスを避けてこちらに向かってきたりします。リアルタイムで空間を認識して、状況に合わせてゲームも変化するのは斬新な感覚です。

 

説明会でゲームを体験してみたところ、敵の忍者が思ったよりも大量に迫ってくるのが印象的でした。素早く手裏剣を投げないとすぐにゲームオーバーになってしまいそうで、ミニゲームといった雰囲気はまったくないシューティングゲームです。大人がプレイするといい運動になるでしょう。

 

細かい部分では、音量を調整するためのフェーダーがあったり、足元にあるお茶を取るとゲームを中断できたりと、3Dのオブジェクトが用意されており、プレイヤーのアクションを促す仕掛けとなっています。GraffityはApple Vision Proを活かすために、2DボタンなどのUIを極力なくす意図があると説明しており、こうした部分からもこだわって作ったゲームであることを感じます。

↑2DのUIを使わないほか、画面を敵で埋める工夫や現実空間にあるものがゲームに作用するなど、作り込まれていることがわかります

 

↑1回の体験を短くしているうえに、ランダム性を持たせることで何度も遊べるようにしたそうです

 

6月29日時点では国内のみのリリース。7月以降は、Apple Vision Proが販売される国でも展開される予定です(ただし中国は除きます)。デバイス自体の普及がまだまだの状態なので、いきなり大ヒットはないかもしれません。一方で、海外でウケそうな忍者、作り込まれた細部、やり込み要素のあるシステムと、国内だけでなく海外でも話題になる可能性は十分にあります。