前回の記事では沖縄旅行のトレンドを満喫できる「オリオンホテル モトブ リゾート&スパ」と「オリオンホテル那覇」を詳細に紹介しました。両施設とも「オリオン」の名が付くだけあり、「オリオンビール」が所有しているホテルになります。で、あればオリオンビールの工場にも行ってみたいという人もいるはずでしょう。

 

今回は、「オリオンホテル モトブ リゾート&スパ」からはクルマで約40分、那覇空港からは約75分の場所にある、オリオンビールの工場「オリオンハッピーパーク」を紹介。事前予約すれば見学もできます。オリオンビールにどっぷり浸かりたい人は、こちらの体験レポートをご参考ください!

↑「オリオンハッピーパーク」の正面入口。館内のショップは予約不要で利用できます。水、木曜日定休

 

最後に試飲が楽しめる約60分の工場見学

「オリオンハッピーパーク」は敷地面積約5万6475平方メートルと、東京ドーム約1個強の広さがある巨大な施設。正面入口のすぐ先に受付があり、入場料は18歳以上500円(7〜17歳200円、6歳以下無料)となります。

↑エントランスには、創業時に使用していた仕込み釜のオブジェが

 

広大とはいえ、見学は各工程を巡りやすいコースに仕立てられており、施設内をガッツリ歩き回るようなことはありません。所要時間は約60分(見学35分、ギャラリー見学含む。試飲20分)と、気軽で楽しめる内容となっています。

↑原材料からビールを造り、ボトリングされるまでの8工程を、ガイドさんの案内で順に追って回ります

 

製造工程見学の前には、貴重な資料などが展示されたギャラリーがお出迎え。まずはここで、歴史の奥深さを感じましょう。

↑年表や当時の写真とともに並べられた、ビールびんや缶のディスプレイ

 

オリオンビールは1957(昭和32)年5月、戦後の混乱がまだ収まりきらない沖縄で生まれました。見学は、こうした歴史を学べるギャラリーからスタート。歴代パッケージや昭和40年代の「まちやぐぁ(小売店)」を再現した実物大オブジェ、当時の新聞広告などがあり、「オリオンビール」という名の由来も詳しく学べます。

↑「まちやぐぁ」のオブジェ

 

きわめてリアルな工場体験がここにある

そして見学は、原材料のコーナーからスタート。醸造におけるオリオンビールならではの特徴が、地元産の素材を積極的に使うこと。やんばる(沖縄本島北部の自然が多く残されている山原エリア)の良質な水のほか、一部に県産大麦や米などを使っており、こうした原材料を実際に見ながら学べます。

↑写真中央付近に見える、円錐型のケースに入っているのが県産米。品種は企業秘密でしたが、酒米ではなく食用米とのこと

 

筆者は職業柄、様々なビール工場見学を取材してきましたが、醸造工程をかなり近い距離で見学させてもらえるのが「オリオンハッピーパーク」の魅力のひとつだと感じました。実際に造っているので場所によっては40℃近い高温の部屋もあるのですが、それがリアルでむしろイイ!

↑発酵前の麦汁をろ過する巨大なロイタータン。麦殻などを取り除き、ビールの元となる麦汁を造り上げます

 

工場の巨大さは、途中であらわれる発酵タンクと貯酒タンクからも一目瞭然。例えば発酵タンクは直径約5メートル、高さ約19メートルものサイズで、190キロリットルのビールが入っています。その量は、1人が毎日350ミリリットル缶を1本ずつ飲んでも、タンク1本ぶんが空になるまで1500年かかる計算。

 

ちなみに、オリオンビールの夏のイベントでコザ(沖縄市)と石垣、宮古で開催される「オリオンビアフェスト」では、コザ開催の2日間でこのタンク2本ぶんが空になるほど多くの人が来場するそうです。

↑写真手前に見えるタテ長の円柱が発酵タンク

 

ボトリングはパッケージに応じて、びん詰、樽詰、缶詰となり、工場が稼働しているときは実際の様子を見学。稼働していないときは映像で見ることができます。それぞれが目にも止まらぬ速さで流れ、つまりは日々たくさんのオリオンビールが飲まれているということ。

↑ものスゴいスピードで回っているのがフィラー。この円形のマシンで、ビールを充てんしていきます

 

実際に、どれほどの量を製造しているかわかるのが、缶詰の見学ラインに設えられたオブジェです。ここには1200本もの缶がズラリと並び、この量をわずか1分で詰めているのだそう。なお、ビール製造能力は年間で7万2000キロリットルとなり、缶は1時間で7万2000本を製造できます(びんは1万9200本、樽は700本/各1時間)。

↑たったの1分で1200本ぶんが完成

 

オリオンビールではサステナブルにも力を入れており、ビール製造で発生する年間約5200トンの排出物は、100%リサイクル。例えば、ホップやモルトの麦芽粕は飼料や堆肥として使用されています。

↑麦芽粕。「モルトフィールド」とも呼ばれます

 

特にこの麦芽粕は、沖縄のブランド黒毛和牛「もとぶ牛」の飼料としても活用。近年では琉球大学が中心となって研究を進めている、完全陸上養殖の「琉大ミーバイ」の餌にも同じ麦芽粕が利用されています。ちなみにミーバイとは、沖縄の方言でハタの俗称とされる高級地魚のこと。この「琉大ミーバイ」はオリオンホテルで提供もされています。

↑「オリオンホテル モトブ リゾート&スパ」が、メニュー開発に取り組む料理の一例。「琉大ミーバイのオリーブオイル焼き プッタネスカソース」(手前)と「琉大ミーバイのフリット アイオリソース」(奥)

 

最後はできたてビールで至福の乾杯を!

ラストに用意されているのはお待ちかねの試飲。工場できたてのビールやソフトドリンクをひとり計2杯まで楽しめます。

↑超フレッシュなビールを、注ぎ上手なスタッフのサーブで。また、「オリオンビール」のビール酵母を使ったスナック「オキナワビアナッツ」も付いてきます

 

ビールの1杯目は「オリオン ザ・ドラフト」で、アリ乾杯!(「アリ」=沖縄方言で「それ」や「ほれ」の意味)。2杯目は「75ビール」や「オリオン ザ・プレミアム」、缶チューハイなどを選べます。至福の一杯とともに、工場見学を振り返りましょう。

↑この日のラインナップ

 

試飲スペースの隣にあるショップでは、オリオンブランドのオリジナルグッズのほか、多彩なお土産も盛りだくさん。近年はオリオンビールのロゴ入りTシャツが若者世代を中心に大人気となっていますが、ここはある種公式ショップなので、その種類やバリエ―ションも豊富。なかにはレアものがあるかもしれません。

↑Tシャツはもちろんエプロンやベースボールキャップなど、様々なグッズが並びます

 

ショップに隣接する「ビアレストランやんばるの森」は、6月14日にリニューアルしたばかり。工場できたての新鮮なビールを飲むだけでも貴重な体験なので、フラッと訪れてみてはいかがでしょうか!

 

【PLACE DATA】

オリオンハッピーパーク

住所:沖縄県名護市東江2-2-1

受付時間:9:00〜17:00(要事前予約。空きがあれば当日参加も可能)

「ビアレストランやんばるの森」営業時間:11:00〜17:00(L.O.16:45)

休館日:水、木曜日

アクセス:那覇空港からクルマで約75分