SIE製nasneからバッファロー製に「お引越しダビング」した。ダビング時間に注意
7年近く使ってきたSIE製nasne(左)からバッファロー製nasne(右)に録画番組をダビングしてみた
5月24日に発表されたソニー・インタラクティブ・エンタテインメント(SIE)製ネットワークレコーダー&メディアストレージ「nasne(CUHJ-15004)」のアフターサービス終了と一部機能終了。アフターサービス受付は2024年7月25日まで、一部機能の終了も2027年7月末以降と、まだ猶予が残されているが、「これを機にバッファロー製のnasneを買おうかな」と考えている人も多いのではないだろうか。
筆者もSIE製nasneを現役で使っているひとり。購入したのは2017年7月ごろなので、アフターサービス受付が終わるころには導入から7年が経過することになる。空き容量はわずか2%(12.2GB)と、まったく余裕がないので、新たにバッファロー製nasneを導入しつつ、SIE製nasneから録画番組の「お引っ越しダビング」をしてみた。
手順はとてもシンプルだが、ダビング完了にはかなり時間がかかるので、“お引越し”の際はその点に注意したほうが良いだろう。
SIE製nasneはほぼ満杯。筆者の確認不足も発覚
現在、筆者の自宅ではSIE製nasneとバッファロー製nasneが1台ずつ稼働中。上述のとおりSIE製nasneは'17年7月ごろに導入したもので、バッファロー製nasneは'21年3月ごろに入手したもの。ふだんはPS5やiPad、iPhoneのアプリを使って、nasneで地上波放送を楽しんでいる。
お引越し前のSIE製nasneの使用状況。空き容量は2%、外付けドライブは認識されていない
上述したように、SIE製nasneの空き容量は2%(12.2GB)と満杯。30分番組を録画モード「3倍モード」で録画しようとすると、ちょうど12.2GBの空き容量を求められるので、あと1番組録画したらフルになってしまう状況だった。
ちなみに、SIE製nasneには1TBの外付けHDDを接続していたのだが、改めて設定を見直すと「本機では利用できないハードディスクが接続されています」と表示されており、正しく接続できていなかったことが発覚。内蔵の1TBストレージだけで7年近くやりくりしてきたことが分かり、個人的にはかなりショックだった。接続後の確認はお忘れなく……。
先に導入済みだったバッファロー製nasneの使用状況。5.5TBの外付けHDDを60%使用している
もう一方のバッファロー製nasneには5.5TBの外付けHDDを接続してある。こちらは正しく接続できており、内蔵の2TBストレージと合わせると、合計容量は7.5TB。作業を行なった6月5日時点では外付けHDDの容量を60%ほど使用している状況だった。
「お引越しダビング」のやり方は二通り
新たに購入したバッファロー製nasneと、8TBの外付けHDD
この状況ならSIE製nasneに正しく認識される外付けHDD(最大2TBまで)をつなげば容量を拡張できるのだが、バッファロー製nasneに切り替えれば内蔵ストレージが2TBに強化されつつ、外付けストレージも最大8TBまで利用可能、スマホアプリでの視聴画質も480pから720pに向上するので、新たに購入したバッファロー製nasne+8TB外付けHDDに、SIE製nasneから録画番組を移すことにした。
録画番組の移行には、nasneの「お引越しダビング」機能を利用する。これは今まで使用していたnasneに録画した番組を、同一ネットワークに接続した別のnasneにネットワーク経由でダビング・移動することができるもので、内蔵ストレージはもちろん、接続してある外付けHDDにある録画番組もダビングできる。
nasneオンラインマニュアルで、ダビング中にできる操作がリスト化されている
ダビング中は、ダビング元のnasne(今回の場合はSIE製nasne)で録画予約や録画、ライブ視聴、録画番組の再生などが可能なので、「自宅にはnasneしかテレビ視聴環境がない」という場合でも心配ない。またダビング先のnasneではライブ視聴はできないものの、録画予約や録画などができる。
初期設定中の画面。新しく導入するバッファロー製nasneは「2b-nasne」と名付けた
「お引越しダビング」を使うには、ダビング元とダビング先のnasneが同じネットワークに接続されていることや、アンテナケーブルが接続されていて放送波を受信できている必要があるので、ダビング先のnasneを新たに購入した場合は、各種ケーブルの接続とアプリなどからの初期設定は済ませておく必要がある。
ダビングの方法は“録画してある番組をすべてお引越しする”場合と、“録画番組から選択したものだけをお引越しする”場合の二通りで、手法が異なる。録画番組をすべてお引越しする場合は、スマホアプリなどからアクセスできる「nasne Home」の「レコーダー設定」内に「お引越しダビング」の項目が用意されているので、こちらを使えばOKだ。
録画した番組から特定のものだけをダビングしたい場合は、バッファローのアプリ「お引越しダビングアプリ」を使う
録画した番組から特定のものだけをお引越しする場合は、バッファローが配信しているiOS/Android/Windows向けアプリ「お引越しダビングアプリ」を使用する。ダビングしたい番組だけをスマホやタブレットなどから選択できるので、録り貯めた録画番組を簡単に整理しながらダビングできる。ダビング実行指示を出せば、nasne側で自動的にダビングが行なわれるので、指示したあとはアプリを閉じても問題ない。
利用にはメルコIDの登録が必要
ただし、アプリの利用にはバッファローを含むメルコグループで使う「メルコID」の登録(無料)が必要となっている。メルコIDの登録にはメールアドレスを使う以外にも「Facebookでログイン」や「Googleでログイン」「Appleでログイン」などいくつか手段が用意されているので、好みのものを使用しよう。
ダビング元の選択画面
ダビングしたい録画番組の選択画面
今回は録り貯めた番組を整理しながらダビングしたかったので、「お引越しダビングアプリ」を使ってダビング操作を行なった。ログインを済ませると、アプリ下段に「新規ダビングの作成」という項目が表示されているので、こちらをタップするとダビング元の選択画面、その次にダビング先の選択画面が表示される。nasneの初期設定時に識別しやすい名前にしておけば、混乱しにくくなるはずだ。ダビング先の選択を終えると、ダビングしたい録画番組の選択画面が表示される。
実行前に、ダビングにかかる時間の見積もり結果が表示される。
すべての選択を終えると、ダビングにかかる見積もり時間のページへ。今回はダビング番組数が209件、ダビングサイズは約969.9GBで、見積もり時間は“約3日16時間58分”と表示された。
ちなみにダビングにかかる時間は、バッファロー製nasneの公式サイトでも案内されており、HDD容量500GBの場合は約2日、1TBで約3日、2TBで約5日となっているので、参考にしてほしい。
ダビング開始前に表示される注意事項のポップアップ
ダビング開始後はアプリを終了しても問題ない
最後に「ダビングを開始する」をタップすると、録画したテレビ番組をダビング前の状態に戻せないこと、ダビングを中止したり、途中で電源を切ったり、ネットワークを切断すると、ダビング元のコピー可能回数がひとつ減ってダビングに失敗すること、コピー可能回数が1回だった場合は番組が消失することなど、注意事項のポップアップが表示されるので、最終確認をしたあとに「OK」を押すと自動でダビングがスタートする。
上述のとおり、ダビング作業自体はnasneが自動で行なってくれるので、アプリは閉じてしまって問題ない。またダビング中にアプリを立ち上げると進捗状況の確認もできる。
ダビング実行中に「お引越しダビング」アプリを立ち上げると、進捗状況を確認できる
細かい進捗状況はわからないが、ダビングしているかどうかは「nasne HOME」からも確認可能
作業は簡単。ダビングにかかる時間は確認を
一部機能終了を迎えるまではトリプルチューナー環境に
今回は録画番組を選択してダビングしたかったため、別途アプリのインストールやログインが必要だったが、すべての録画番組をまとめてダビングするのであれば、ふだん使っている「torne」アプリや「torne mobile」アプリから実行でき、作業自体もシンプル。今回使用した「お引越しダビングアプリ」も操作手順が分かりやすく表示され、特に使いにくさは感じなかった。
ダビング中も録画予約や録画番組の再生などができるので不便さもなかったが、公式サイトでアナウンスされているとはいえ、ダビングにかなり長い時間がかかる点は注意したいところ。不意の停電やネットワーク切断でもダビングが失敗してしまうので、失敗したくない人はコピー可能回数が1回の番組は個別に細かくダビングするなど対策したほうがいいかもしれない。
筆者のようにPS5やiPhone/iPadのtorneアプリ経由でSIE製nasneを使っている場合、'27年7月末以降は一部機能が制限されるものの、それまでは従来と変わらない使い方ができる。まだ使えるものを処分してしまうのももったいないので、バッファロー製nasne×2、SIE製nasne×1のトリプルチューナー環境を満喫しながら、“その時”を迎えようと思う。