2022年にロシアがウクライナ侵攻を始めて以降、ロシアは世界中の各国から制裁を受けています。世界的なテクノロジー企業であるAmazonが、ロシアに制裁が課されたあとに同国に顔認証技術を販売したと、Amazon Web Services(AWS)の元従業員がリークしました。

Amazon breached UK’s Russia sanctions, claims ex-employee at tribunal

https://www.ft.com/content/f28377a1-432b-4f29-8544-e5ec7ac1cab9



Whistleblower claims Amazon violated UK sanctions by selling facial recognition tech to Russia

https://www.engadget.com/whistleblower-claims-amazon-violated-uk-sanctions-by-selling-facial-recognition-tech-to-russia-125001230.html

Amazon accused of breaching UK sanctions by selling facial recognition tech to Russia

https://www.telegraph.co.uk/business/2024/06/07/amazon-breaching-russia-sanctions-facial-recognition-tech/

AWSの元従業員であるチャールズ・フォレスト氏が、2022年11月から2023年5月までの期間に「AWSが複数の問題で不正行為を行った」と内部告発したところ、2023年に入って同社から不当に解雇されたとして、2024年6月にイギリスのロンドンにある雇用審判所で訴訟を提起しました。

フォレスト氏によると、Amazonは同社の顔認証技術である「Amazon Rekognition」へのアクセス権を、ロシア企業のVisionLabsに提供する契約を結んだそうです。フォレスト氏は「2022年のウクライナ侵攻以降、イギリスがロシアに対する制裁を課してから、AWSがロシアの国家保安機関に顔認証技術を違法に提供した」とも主張しました。

フォレスト氏が裁判所に提出した資料では、Amazonがオランダに拠点を置くダミー会社と思われる会社を経由して、VisionLabsと取引を行ったと記されています。



これに対して、Amazonの広報担当者は「我々はその主張に根拠がないと考えており、法的手続きを通じてそれを証明したいと考えています。入手可能な証拠および請求記録によると、AWSはAmazon RekognitionをVisionLabsに販売したという事実はありません」と述べ、疑惑を否定しました。

さらに、Amazonは同社を解雇されたフォレスト氏について、「契約時間通りに働くことを拒否し、メールに返答せず、会議にも出席しないなど、『重大な違反行為』を理由に解雇した」と述べ、同氏を不当に解雇したという事実はないと否定しています。

この他、フォレスト氏は「Amazonがジョージ・フロイドの死以降に導入した、『警察による顔認証技術の使用禁止措置』を自ら破った」とも批判しています。

具体的には、Amazonが社内で「警察の顔認証技術使用禁止措置」を導入してからも、イギリス警察が顔写真を処理して犯人を特定するためにAmazon Rekognitionを利用していたとフォレスト氏は主張しています。

What Is Amazon Rekognition? - YouTube

これに対してAmazonは「開示されたとされる情報、依拠した法的義務または関連する失敗が、いつ誰に対して行われたかを特定することは困難であった」と言及。さらに、「自ら課したモラトリアムは法的義務に当たらない」と述べ、意図的に警察機関に顔認証技術を提供したという事実はないと主張しました。