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現代ホラーを牽引する最恐タッグ、ジェームズ・ワンとジェイソン・ブラムによる新たなるホラー映画『ナイトスイム』が、いよいよ2024年6月7日より日本公開となった。ホラー・スリラー映画をアップデートし続けるブラムハウス・プロダクションズと、『ソウ』『死霊館』などホラー映画の神ジェームズ・ワンが『M3GAN/ミーガン』に続き放つ恐怖。今度の舞台はスイミングプールだ。

郊外にある憧れのプール付き物件を購入したウォーラー一家。まだ見ぬ邪悪な存在が住み着いていることも知らず、プールの深い闇に引き摺り込まれていく恐怖を描く本作。THE RIVERでは、アメリカでスマッシュヒットを記録した本作『ナイトスイム』を手がけたブラムハウス“恐怖の工場長”ジェイソン・ブラムに単独インタビュー。『ナイトスイム』の狙いや、ホラー映画作りの極意について聞いた。

©︎ THER RIVER 『ナイトスイム』製作 ジェイソン・ブラム 単独インタビュー

──『ナイトスイム』はホラーの新たな領域を開拓しました。水中というのは異世界のようで、非常に面白かったです。水中であれば、明るい日中でもじゅうぶんにホラーの雰囲気を演出できますからね。

本作『ナイトスイム』は、『ジョーズ』が海でやったことと同じことをやりたかったんです。つまり、『ナイトスイム」はそのスイミングプール版ということです。ホラー映画とは、日常にあるものを転用するととても恐ろしくなるものだと考えています。たくさんの人がいつも目にしているようなものを扱うということですね。今回の場合、呪われたプールというのはこれまで見たことがなかった。親近感が湧きつつも、恐ろしいものになりそうだと考えたわけです。

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──この映画は日本のホラー映画に通ずるところがあると思っていて、だから好きなんです。

そうですか!具体的にどういうことですか?

──アメリカのホラー映画では、デーモンやモンスターが描かれることが多いと思っているのですが、日本の怪談話はよく怨霊を扱います。本作はそういう要素がありますし、それに日本では、霊は水辺に集まると言われていますから。

えぇ、そうなんですか?それは面白い!

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──日本のホラー映画ファンも、この映画を気に入ってくれると思いますよ。

そうだと嬉しいです!今あなたが言ったことを踏まえると、きっと喜んでもらえそうですね。

──劇中には“テマガミ”というものが登場しますし、それも日本語っぽいですが……。

おそらくそうですね。脚本家が日本の神話を参考にしたのかもしれません。私も詳細は知らないんです。この映画は、最初に僕の創作パートナーであるジェームズ・ワンが彼の会社で企画を進めたのですが、その後は参加しないことになり、それから我々が、彼の許諾を得て進めることになったのです。ですから、本作は最初ジェームズ・ワンの会社とアトミック・モンスター(制作会社)が進めていたんです。

──『ナイトスイム』にも、直近の『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』にも、それぞれノスタルジー要素がありますね。ホラーとノスタルジーは相性が良いのでしょうか?

観客を気持ちよくさせられるものはなんでもあると思います。ノスタルジーがあれば、観客を包み込んだり、快適にさせられるでしょう。そして、快適であるからこそ、恐怖がより際立つというものです。なぜなら、予期しないところから始めることができるからです。映画を観ているという感覚を忘れさせることができれば、ホラー映画はより恐くなるんです。

その点、ノスタルジーは非常に効果的です。ノスタルジーを正しく扱うことができれば、観客は不信感を緩め、映画を見ているということを忘れさせることができる。そこで恐怖描写!そりゃ怖いですよ。

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──この映画の冒頭パートは1993年が舞台となっていますが、メインパートでは時代設定が説明されません。スマートフォンも登場しますが、昔ながらのビデオカメラも登場します。年代を具体的にしなかったのは、何か意図があるのでしょうか?

素晴らしい質問ですね。私個人の考えを述べさせてください。監督は違うことを言うかもしれません。私は、時代設定をぼかした方が、少し不安感が出ると思います。落ち着かない感じ。なので、年を具体的にしないことによって、不気味さが演出されるというのが私からの回答です。監督が同じように考えているかはわかりませんよ。

──ストーリー設定について教えてください。この映画は、パーティー好きの若者グループがプールに行く、といったようなものではなく、家族の物語を中心にしましたね。

その通りです。本作は、新居に引っ越してくる一家の物語が描かれます。その家というのは、少し修繕が必要なところ。『ナイトスイム』もそうですし、ブラムハウスの他の映画もそうですが、良いホラー映画というのは、家族ドラマが中心になっていると思います。家族の関係や個性、様々な人間関係を描いてるものです。それは『ナイトスイム』も例外ではありません。家族ドラマを非常にうまく取り扱っていると思います。

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──レイ役で主演のワイアット・ラッセルとの仕事はいかがでしたか?

最高でしたね。実は今、彼の父(カート・ラッセル)を新作に起用しようと持ちかけているところなんです。

──おぉ!うまくいきそうですか?

どうだろう。フィフティー・フィフティーってところですね。本作の前に僕の家に1~2度お越しいただいたんです。来週も彼(カート)と話す予定になっています(編注:この取材は2023年12月に行われている)。

僕はよく、映画を作り終えた後にみんなと会って、何がうまくいったか、何がうまくいかなかったかといったことをヒアリングするようにしているんです。常に成長していたいからです。

ワイアットやケリー(・コンドン、イヴ役)との仕事は本当に楽しかったですね。ケリーについては、もともと僕が彼女の大ファンだったんです。彼女のエージェントに脚本を送ってオファーをしたんです。我が家にも来ていただいて、ぜひあなたに恐怖映画をお願いしたいと頼みました。脚本を読んでくれて、快諾してもらったんです。とても楽しかった。この映画は、キャスティングも非常にうまくいったと思います。

──本作の上映時間は98分と、とてもコンパクトです。長すぎない作りにしたのには、何か意図があるのですか?

これくらいの短さが、僕は一番好きなんです。僕たちの映画は90分程度に収めたい。たいていの映画は100分以下であるべきだと考えています。それ以上の長さの映画作りは稀。特にホラー映画の場合、タイトで短い方が良いんです。その方が推進力が出て、ダラダラしない。ホラー映画というのは、引き延ばすと怖さが薄れてしまいます。

例えば、僕たちの『パラノーマル・アクティビティ』第1作では、最初の恐怖シーンが登場するまで45分か50分かかります。恐怖が最大化されるように、できるだけ短くしているのですが、逆に短すぎても怖くない。そして長すぎると退屈してしまう。この時間配分については、長い時間をかけて見極めてきました。『パラノーマル・アクティビティ』1作目はかなり勉強になりましたね。

──まるで科学ですね。

まさに科学ですよ。本当に、多くの部分で科学的です。恐怖シーンのタイミングはかなり細かく考えます。

『インシディアス』の1作目で、大衆に向けて試写会をやった時のことです。僕はジェームズ・ワン(同作の監督)の隣の席に座っていたのですが、観客が全く怖がらなかったんですよ。驚いている様子がなかった。非常に不安になりました。ジェームズに「どうします?」と尋ねたら、彼は「心配いりません」と答えました。

それから2週間後にまた大衆に向けて試写をやりました。僕から見たら、本編は何も変わっていないように感じたのですが、今度は観客が飛び上がって驚いていたんです。実は、彼が微調整を加えていたんです。完璧なタイミングに仕上げていたんですよ。あんな凄技ができるのはごく僅かで、ジェームズ・ワンはその一人なのです。ホラー映画作りとは、そういうものです。科学ですよ。

──ブラムハウスのホラー映画は、日本人と相性が良いと思います。日本には、「神は万物に宿る」という考え方があります。一例として、『千と千尋の神隠し』にハクという少年が登場しましたが、彼は川の神でしたね。日本人からすると、彼が川の神様であったというのは非常に納得がいく考え方なのです。

なるほど、面白い!

──ブラムハウスの映画でも、物質に宿る霊がよく描かれますよね。黒電話( 『ブラック・フォン』)とか、人形(『M3GAN』)とか、今回はプールです。それで、極端な質問になるのですが、もしも将来、例えば黒電話がなくなり、あらゆるものが完全にデジタルに置き換わったら、『M3GAN』のようなテクノロジー・ホラーが主流になっていくと思いますか?物質ホラーは今後15年、30年でどう変わっていくと思いますか?

『M3GAN/ミーガン』© 2023 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved.

面白い質問ですね!ホラーの醍醐味は“再発明”です。例えばオーレン・ペリ監督は『パラノーマル・アクティビティ』で『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』を再発明しました。ジョーダン・ピールも『ゲット・アウト』で再発明をしました。また、ティムール・ベクマンベトフは『アンフレンデッド』で、全編PCスクリーンということをやりました。アーティストにとってホラーというのは、新しいアプローチ、新しい方法でストーリーを伝えるということに非常に適していると思います。

ホラーがこれからどうなっていくかは、わかりません。うちの会社の幹部たちには、新しいものを受け入れるようにしましょうと、たくさん話をしています。次の『パラノーマル・アクティビティ』や『ブレア・ウィッチ』がどんなものになるかはわかりません。どこからアイデアが湧いてくるかもわかりません。まぁ、大抵はすごく若い人が発案するんですけどね。そういったことをきちんと認識できるような立場にいたいです。

未来がどうなるかはわかりません。もしかしたら、AIが史上最恐のホラー映画を作るようになるかもしれません。しかし間違いなく、誰も見たことのないような斬新なホラー映画というものが登場するはずです。その時には、ぜひブラムハウスで配給したいですね。

©︎ THER RIVER

映画『ナイトスイム』は、2024年6月7日、日本公開。

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