「Adobeがユーザー生成コンテンツに自由にアクセス・活用できるよう利用規約を更新した」として、一部のクリエイターから批判の声が集まっています。この件について、Adobeが利用規約を更新した理由や、ユーザーコンテンツへのアクセス権限を求める理由について説明するブログを更新しました。

A clarification on Adobe Terms of Use | Adobe Blog

https://blog.adobe.com/en/publish/2024/06/06/clarification-adobe-terms-of-use

Adobe terms of service: won't use projects to train AI

https://appleinsider.com/articles/24/06/07/adobe-has-clarified-controversial-shrinkwrap-license-terms-but-the-damage-may-have-already-been-done

2024年6月に入ってから、AdobeのAdob​​e Creative Cloudを開くと新しい利用規約に同意するよう求められることが話題となりました。新しい利用規約では、「(Adobeが)コンテンツのレビュー目的などで、自動および手動の両方でユーザーコンテンツにアクセス・表示・視聴する可能性があります」と明記されており、ユーザーコンテンツにAdobeが自由にアクセスする可能性があることが話題となりました。そのため、秘密保持契約(NDA)を結んでコンテンツを製作しているクリエイターは、新しい利用規約の下ではNDAに違反してしまうことになると一部のインターネットユーザーからは指摘されています。また、利用規約の変更が「ユーザーコンテンツをAIのトレーニングに利用するためのもの」「Adobeがユーザーコンテンツの所有権を主張するためのもの」なのではないかとも指摘されていました。

Adobeが「ユーザー生成コンテンツに自由にアクセス・活用」できるように新しい利用規約を導入、クリエイターから批判の声が集まる - GIGAZINE



利用規約が話題になったことで、Adobeは詳細を説明するためのブログを現地時間の2024年6月6日に掲載しました。ブログの中でAdobeは「いくつかの特定領域についてより明確に説明するために利用規約を更新した」と説明。

さらに、Adobeアプリケーションおよびサービスがユーザーコンテンツにアクセスするのは、以下のようねケースに限られると説明しています。

・Adobeアプリケーションおよびサービスが設計され、使用される機能(ユーザーのためにファイルを開いて編集したり、共有用のサムネイルやプレビューを作成したりするなど)を実行するには、アクセスが必要です。

・PhotoshopのニューラルフィルターやAdobe SenseiのLiquid Mode、Adobe Expressの背景除去機能など、最も革新的なクラウドベースの機能の一部を提供するには、ユーザーコンテンツへのアクセスが必要です。

・Adobeサーバーで処理または保存されるコンテンツについて、Adobeは手動(人間)によるレビューへのエスカレーションを含むテクノロジーやその他のプロセスを使用して、特定の種類の違法コンテンツ(児童性的虐待コンテンツ(CSAM)など) やその他の虐待的なコンテンツや行為をスクリーニングするケースがあります。

さらに、ブログの中でAdobeは「Adobeは顧客コンテンツでFireflyの画像生成AIモデルをトレーニングしません」と述べ、ユーザーコンテンツでAdobeが提供する画像生成AIのFireflyをトレーニングすることはないと明言しました。なお、AdobeによるとFireflyはAdobe Stockなどのライセンスコンテンツや、著作権が切れたパブリックドメインコンテンツでトレーニングされているそうです。

加えて、ユーザがAdobeアプリケーションやサービスを利用できるようにコンテンツをホストするものの、「決して顧客コンテンツの所有権を持つことはありません」と説明し、ユーザーの作成したコンテンツの所有権を主張するようなこともないと明言しました。



ただし、テクノロジーメディアのAppleinsiderは「AdobeはFireflyのAIモデルトレーニングにユーザーコンテンツを利用することはないと説明しましたが、より良い説明は『ユーザーコンテンツをAIモデルのトレーニングに利用することはなく、ユーザーコンテンツを他社にライセンス供与することもない』というより包括的な声明を出すことでした」と言及し、Adobeがこれらを許可しないと明確にしていない点に不満を示しています。

また、クリエイターがAdobe製品を使用する場合、NDAに違反しているかのように見える点について一切触れていないと指摘し、この点がどう対処されるのかは今後注目されることになるだろうと言及しました。