22歳・笹生優花が全米女子OP2度目のV「1度目の優勝が私をより成長させてくれた」
「私は家族の支えなしに、ここにはいられなかった。すべてのファンのみなさま、ここに来てくれた方々に感謝したい。とにかく、我慢強くプレーすることに集中していました。2021年の優勝はお母さんに。今回の優勝はお父さんに。 両親に感謝したいです」
アメリカ・ペンシルベニア州のランカスターCC(パー70)で開催された全米女子オープン(5月30日〜6月2日)で、日本の笹生優花が2021年大会以来、2度目の優勝を果たした。
メジャー大会2度目の制覇は、男子を含めて日本勢では初の快挙。22歳11カ月13日での全米女子オープン2勝は、最年少記録となる。
最終日はトップと3打差の通算2アンダー、5位からスタート。バックナインで4つのバーディーを奪うなど、トータル5バーディー、1ボギー、1ダブルボギーの「68」でフィニッシュ。上位勢がスコア崩すなか、スコアをふたつ伸ばしての逆転優勝だった。
全米女子オープン2度目の優勝を遂げた笹生優花 photo by Getty Images
1戦前のみずほアメリカズ・オープン(5月16日〜19日/ニュージャージー州)では予選落ちに終わった笹生。今大会に向けては、前週の土曜日から入念に練習ラウンドを重ねてきた。
「毎年そうですけど、(全米女子オープンの開催)コースはすごくきれいです。難しい? USオープンですからね。ここだけ、ということはなく、全体的に難しいです。結構スロープがありますし、ラフも長くて、グリーンも硬くて速いですし。
3年前の優勝を思い出す? もう当時の感動とかはそんなに......。(今の自分に)感動している暇はないです。
(前の試合で予選落ちも)この試合のために、何かを変えようとかは考えたことはないです。自分のゴルフというのか、いつもどおり、今(自分が)やることに集中して、やれることをしっかりやって試合に臨みたい」
【一打一打に集中して、楽しんでゴルフができれば】迎えた初日、多くの選手が風と速くて傾斜のきついグリーンに苦しめられる状況にありながら、笹生は5バーディー、3ボギーの「68」。2アンダーと好スコアをマークして首位発進を決めた。
「練習ラウンドと変わらず、ラフは長いし、グリーンは速いですし、風もあって、もう全部が難しかったです。それでも、今日は運がよかったのかなと思う。ラウンドもすごく楽しくできました。明日以降も、一打一打に集中して、楽しんでゴルフができればいいなと思います」
2日目は、2バーディー、3ボギーとひとつスコアを落とすも、トップと3打差の通算1アンダー、3位タイをキープした。
「(初日と比べてよくなかったのは)全体的に、ですね。やっぱりショットがよくないと、スコアもよくなっていかないですし、すべてがよくないと、アンダーは出ないんじゃないかと思います」
3日目は、4バーディー、3ボギーの「69」。再びアンダーパーのラウンドを披露して、トップと3打差の5位という位置につけた。
「楽しくラウンドできたので、よかったと思います。緊張? いつもしています。しない時はないです。明日も、ここまでと何も変えることなく、一打一打に集中して、楽しいゴルフができればと思っています」
そうして、笹生はその言葉どおり、最終日のプレーを存分に楽しんだ。6番パー3でダブルボギーを叩くも、後半に入ってから12番パー3、13番パー5と連続バーディー。スコアメイクに苦しむ上位勢を尻目に、15番パー4、16番パー4でも連続バーディーを奪って勝負を決めた。
「最後の最後まで何があるかわからないので、最後まで優勝は頭になかった。(勝てると思ったのは)最終ホールですかね、最後に(パットが)決まってから」
圧巻だったのは、239ヤードの16番パー4。3番ウッドで1オンに成功し、難なくバーディーを奪って後続を突き放した。
「ピンが前に出ていたし、レイアップするのも難しいので、(1オンを)狙うしかない、と。いいショットを打てたんじゃないですかね」
2019年に日本のプロテストに合格。翌2020−2021シーズンに日本ツアー本格参戦を果たすと、ツアー出場2戦目、3戦目で異次元のゴルフを見せて、いきなり2連勝を飾った。さらに2021年6月、全米女子オープンで畑岡奈紗とのプレーオフを制して、19歳で海外メジャーのタイトルを獲得した。
「何もかもが(自分が思っていた以上に)速いスピードでやってきたこと。(全米女子オープンも)もちろん勝ちたいとは思っていたけど、そんなに早く勝てるとは思っていませんでした。(当時は)若かったし、(結果に対する)そのスピードに(自分の気持ちが)ついていくことが大変だった。
でも、その経験が私をより成長させてくれたと思う。(ここまでに経験してきたことが)早いのかどうかわからないけど、これまでに(自分は)いろいろな経験をしてきた。これからも、いろいろと経験すると思うと楽しみです」
22歳、笹生優花。彼女の飛躍はここからが本番かもしれない。