9代目・ヤン坊(左)、マー坊

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「ヤン坊マー坊」と聞くと、「天気予報!」と答えられる人は多いと思います。ヤン坊マー坊は、エンジンなどのパワートレインを軸に、アグリ、建機、マリン、エネルギーシステムなどの事業をグローバルに展開するヤンマーグループの企業マスコットキャラクターです。今年1月、9代目となる新デザインに生まれ変わりました。そこで、キャラクターデザインのリニューアルについて、ヤンマーホールディングス ブランド部 コミュニケーション部PRグループの南口奈央さんに、経緯と反響を聞きました。

 9代目の新キャラクターのデザインは、2023年11月16日〜12月7日にかけて、一般投票で行われ、選ばれた3案の中から、得票数を最も多く集めたデザインに決定。新デザインは、投票総数7万6568票のうち、4万9628票を獲得しました。

デザイン変更に“惜しむ声”…「大きな決断」を選択

Q.ヤン坊マー坊のデザインをリニューアルすることになった、きっかけを教えてください。

南口さん「より幅広い層や国・地域において『心を動かし、未来を動かす』キャラクターとして、当社がパーパス(存在意義)に掲げている『A SUSTAINABLE FUTURE(持続可能な未来)』の実現に向けて、活躍の場を広げるため実施しました。日本において天気予報で親しまれてきたキャラクターであることを知らない世代や、グローバルでのヤン坊マー坊を通じたヤンマーの認知拡大も目的の一つになっています」

Q.ここだけの話、デザイン変更に賛否はなかったのでしょうか?

南口さん「惜しむ声が出ていることについて、しっかりと受けとめております。しかし、世の中の流れや私たちを取り巻く環境が大きく変化する中、これまでの皆さまの支えや応援に感謝しつつ、ヤンマー自身も新たなチャレンジをしていくことが大切だと考え、大きな決断をしました。

今回、投票という形でアクションを起こしてくださった皆さまに心より感謝を申し上げたいです。一般投票という形で国や地域を問わず幅広い世代の声や思いを反映することで、未来にわたって愛されるキャラクターとして、さらに活用の場を広げていきたいと思います」

Q.デザイン変更にあたり、一番、苦労したことは何だったのでしょうか?

南口さん「デザイン案については、社外クリエイター陣と当社デザイン部が協力して制作しました。候補案の全てにヤン坊マー坊のDNAが継承されており、『心を動かし、未来を動かす』という共通コンセプトを持っています。苦労したのは、どのデザインが選ばれても『ヤン坊マー坊らしさ』が残るように、ヤン坊マー坊の定義の再確認から、デザインの細部に至るまでディスカッションを重ね、時間をかけて絞り込んだ点です。

・デザインのポイント
新デザインのヤン坊マー坊は、『A SUSTAINABLE FUTURE』の実現に向けて挑戦を重ねていく企業姿勢を表すキャラクターです。その位置づけはそのままに、『あきらめない』『ワクワク感、つまり未来への期待感』『チャレンジ精神』 を表現していきたいという思いをデザインに込めています。

・性格設定のポイント
ヤン坊マー坊が双子の兄弟で、ヤン坊が兄、マー坊が弟という設定はあえて変えていません。ヤン坊マー坊の従来からの子どもらしさや二人の関係性は残すことで、これまでのヤン坊マー坊に愛着を感じてくださっていた皆さまからも親しみを持ってもらいたいと考えています。

変更したのは、これまでのキャラクター設定を踏まえ、ヤン坊の性格に、マー坊がヤン坊を頼っていることから「しっかりもの」と加えました。また、マー坊に関しては、テレビゲーム、ラジコンなど機械を動かすこと、スポーツが好きということもあり、好きなこととして「eスポーツ」と現代風にアレンジしました。二人の子どもらしさや関係性が分かりやすくなるように設定しています。

初の一般投票… 予想は違っていた? SNSは「近未来的」と反応

Q.なぜ一般投票という形を取ったのでしょうか。

南口さん「2023年6月にヤンマーオリジナルの商業アニメ『未(ミ)ル』の制作を発表しました。未ルは、「人と自然の対峙(たいじ)と調和」をテーマに、人間の主人公とロボットの成長を描くのですが、国内外で大きな期待が寄せられるとともに、SNSを中心にヤン坊マー坊に改めて注目が集まりました。特に海外を中心とした社内においても、ヤン坊マー坊のさらなる活用についての期待と要望が高まってきていました。

これら社内外での反響を受け、国や地域を問わず幅広い世代の声や思いを反映し、未来の可能性に一緒にチャレンジするキャラクターを目指し、一般投票という形でヤン坊マー坊のデザインリニューアルに至りました。ヤン坊マー坊のデザイン決定を一般投票で行ったのは今回が初めてです」

Q.投票結果は、当初の予想と違ったりしたのでしょうか?

南口さん「どのデザインが選ばれても“ヤン坊マー坊らしさ”が残るように、複数案からデザイン案を3案に絞り込み、一般投票を行いました。そのため、どれか一つの案が自信作・社内評価が高かったなどはありません。

結果として7万6568票もの多くの投票をいただき、改めて、ヤン坊マー坊というキャラクターの持つ力を感じています。そして、投票という形でアクションを起こしてくださった皆さまに心より感謝を申し上げたいです」

Q.今年1月に新デザインの決定が発表され、3カ月間の評判や反響などはありましたでしょうか。

南口さん「新デザインのノベルティーについてはすでに展開中で、今後も順次ラインアップを増やしていく予定です。各種イベント、展示会でも新デザインのヤン坊マー坊の活用を進めています。グループの事業会社からの使用に関する問い合わせも継続的にきており、反響は大きいと感じています。

また、東京・八重洲の複合施設『YANMAR TOKYO』の1階『ヤンマー米ギャラリー』では、ヤン坊マー坊と写真撮影ができるフォトスタンドを設置しており、来館者から好評を得ています」

Q.街中からの評判の声で、一番うれしかった言葉や、期待の声で印象深かったものがあったら教えてください。

南口さん「投票に関しては、3案から一つを選択していただくのみなので、理由までは集計していません。ただ、SNSを拝見すると『近未来的』『現代的』といった反響が多かったように感じます。 また、ヤン坊マー坊に親しみを持っていただいている30〜50代の方のほか、20代以下の方からも多くの投票をいただきました」

Q.ヤン坊マー坊の新デザインをきっかけに、ヤンマーホールディングスの今後の展望などがございましたら、教えてください。

南口さん「ヤン坊マー坊のコンセプトは『心を動かし、未来を動かす』です。このコンセプトのもと、この度、18歳から59歳を対象に未来に関する意識調査を実施しました。

この調査で、50%以上が自身や社会の未来に『不安を抱えている』という回答がありました。一方で、このような状況の中でも未来を担う18歳から24歳の次世代層の約60%が『やりたいことを見つけたい』と感じていることが分かりました。さらに次世代層の約70%がやりたいことを見つけるために体験機会が必要と考えていることも明らかになりました。

今回次世代層の『やりたいことを見つけたい』という思いや悩み、葛藤に着目し、このような秘めたエネルギーもまた、未来を動かす力だと考えています。今後ヤンマーは、次世代の気持ちに寄り添い、さまざまな体験機会を提供することにより、よりよい未来につながる心動かす瞬間をサポートしていきたいと考えています」