「ひとりずつ院長に呼び出されて…」『脳外科医 竹田くん』モデル医師を告発した、吹田徳洲会病院スタッフの「怒りと絶望」

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「気にせず診せなさい」

週刊現代・現代ビジネスでA先生の記事が掲載された直後、ER(救急)のスタッフ全員が一人ずつ呼び出されました。

行くと病院の事務長と看護部長、そして院長がいて、院長は『あのような根も葉もない記事が出て、非常に不愉快だ』『A先生は熱意を持ってよくやってくれているのに』と憤慨していた。

そして、『今後も気にせず、A先生にどんどん患者を診せなさい』と言うのです。

もちろん、告発はすべて事実であり、問題発生当時にスタッフが書いた報告書という物証もあります。しかし院長がここまでA先生をかばうなら、もう病院内で何を言ってもムダです。

現場の声を圧殺するパワハラではないか、とさえ感じます」

大阪府吹田市にある、吹田徳洲会病院救急部門のスタッフが吐露する。

週刊現代」は5月11日号で、過去に重大な医療事故を繰り返してきた『脳外科医 竹田くん』のモデルとされる医師のA氏が同病院の救急部門に勤務していること、そしてA氏がいまだに「不適切な診療」や遅刻などの問題行動をくり返していることを、スタッフの内部告発や内部資料にもとづいて報じた。

絶望したスタッフが退職

これに対し、同病院の高橋俊樹院長は5月8日に声明を発表。

〈該当医師のERでの診療態度やスタッフとの付き合い方に問題があったのは事実〉

としつつも、

〈昨年夏から冬にかけて報告された内容をいたずらに曲解・誇張し、誤った誹謗中傷の情報まで記載されていました〉

と反論した。本誌の報道は前述したような確たる証拠に基づくものだが、〈的外れで、事実を捻じ曲げ、悪い評判を煽るだけ〉とも述べて、A氏を徹底的に擁護する構えを見せているのだ。

前出と別のスタッフは「病院近くのコンビニや書店では、週刊現代は完売。病院には抗議や懸念の電話が殺到しています」と言い、こう嘆く。

「院長の声明は、外面を取りつくろって問題の本質から目をそらしているだけです。じつは救急部門では、報道のあともA先生に対する指導がないことや、院長の無責任な言動に絶望し、複数の職員が退職を決断しました。

A先生はいまだに必要のない検査を指示するなど、改善が見られない。にもかかわらず、他部門には上層部に忖度して『A先生は何も悪くない。被害者なんだ。病院全体でフォローしよう』と院長に同調する人さえいる。

そもそも、免許を取得してから10年以上経験を積んでいるはずの医師を、今さら『みんなで支えて教育する』ということ自体が異常です。いちばん大切なはずの患者さんの安全をないがしろにし、組織防衛だけを考えているとしか思えません」

ところがここにきて、事態は大きな展開を見せようとしている。一連の事件を悪質と見て、警察が動き始めたのだ。その詳細を後編記事【『脳外科医 竹田くん』モデルの医師がついに「書類送検」された…渦中のA医師が直撃取材で語ったこと】で報じる。

週刊現代」2024年6月1日号より

【連続スクープ】『脳外科医 竹田くん』モデルの医師がついに「書類送検」された…渦中のA医師が直撃取材で語ったこと