40代50代と年齢を重ねていくにつれ、健康や心のモヤモヤを抱えがちです。閉経後に気になりやすい加齢臭のような体のにおい悩みについて、産婦人科専門医の高尾美穂先生が解決策をお伝えします。こまめな清潔、適切な食事、そしてストレスフリーな生活を送ることで、加齢臭とさよならしましょう。

読者のお悩み:閉経後から年々加齢臭が気になるように…

3年前に閉経しましたが、その頃から運動後、耳の後ろや頭皮から「ザ・加齢臭」のようなにおいがするように。もともと体臭はきつくないタイプです。食事など、生活のなかでできる対策はありますか?(Oさん・51歳)

専門医の回答:気にしすぎると気になるもの。汗はこまめにふけばまずOK

私たちの体からは、常に皮脂が分泌されていますが、年齢を重ねるとその皮脂の中にある脂肪酸が増加。それが酸素と結びついて酸化すると「ノネナール」という物質に変化し、油が酸化したようなにおいを発します。これが加齢臭の原因です。

また閉経後、女性ホルモンがほとんど分泌されなくなると、それまでわずかに分泌されていた男性ホルモンの働きが目立ち、ミドル脂臭の原因物質「ジアセチル」が増えるのも、においを感じやすくなる原因のひとつといわれています。さらにホットフラッシュで大量の汗をかく、また加齢で皮膚のターンオーバーが鈍化して古い皮脂が肌に残りやすいこともにおいに関係しているといえるでしょう。

清潔を保てばまずOK。対策は気にしすぎないこと

しかし、結論をいえば、こうしたにおいについては、入浴や体や髪を洗うなど通常のケアで清潔にしていれば、それほど気にするものではありません。相談者さんのように体臭がきつくない方ならなおさらです。

基本的に汗は無臭ですが、時間がたつと雑菌が繁殖してにおいを発するようになるので、まずは汗をかいたら早めにふきとること。汗を吸いとるインナーを着用し、ホットフラッシュなどで大量に汗をかいたら着替えるだけでもだいぶ違いますよ。

なお、閉経後はおりものの質が変わるため、デリケートゾーンがにおいやすくなることも。小陰唇(しょういんしん)は恥垢(ちこう)がたまりやすいのでひだを開いて丁寧に洗ってくださいね。ただし、腟(ちつ)の中まで洗う必要はありません。

食事は、人と会う前はニンニクなどの強いにおいがする食べ物を控えれば大丈夫。また、ストレスを感じるとにおいが出やすいベタベタ汗が出るので、いちばんの対策は気にしすぎないこと。軽い運動で汗を流す習慣をつけておくと汗腺が鍛えられ、においにくいサラサラした汗をかけるようになりますよ。