コンテンツ体験支援システム「MOOX-RIDE」搭載のデジタルコンテンツバス、初の一般利用者向け試験走行を実施 ABAL×トヨタ紡織

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XRソリューションを提供する株式会社ABALは、2024年3月に愛知県中部国際空港において、トヨタ紡織株式会社と共同開発したコンテンツ体験支援システム「MOOX-RIDE」を搭載した「デジタルコンテンツバス」の試験走行を実施している。これは「デジタルコンテンツバス」の一般利用者向けには初めて実施された試験走行となった。

同試験走行は、愛知県国際展示場「Aichi Sky Expo」(常滑市)で開催された産業展示会「SMART MANUFACTURING SUMMIT BY GLOBAL INDUSTRIE(SMS)」に合わせて実施されたもので、中部国際空港と愛知県国際展示場間を結ぶ2つの走行ルートを走り、海外からのSMS来訪者も含め、多くの人々に試乗してもらい、デジタルコンテンツバスの有用性を確認する機会となった。

なお、一般利用者を乗せずに実施された一般公道での始めての試験走行は2023年11月に実施されている。関連記事「【公道初】移動型エンタメ体験システム「MOOX-RIDE」搭載のバスが試験走行を実施 ABALとトヨタ紡織が共同開発

●コンテンツ体験支援システム「MOOX-RIDE」について

「MOOX-RIDE」は、車内に設置した透明ディスプレイや振動装置、ミスト装置、立体音響システムなどのデバイス群を連携させることで、車両の位置情報や車窓の景色に連動して映し出されるVR/ARコンテンツを五感で楽しむことが可能。さらに、乗客のスマートフォンとコンテンツが連動するインタラクティブ機能も備え、ゲームなど乗客参加型のアクティビティで移動時間を自在に活用することができる。車室空間に上質なエンターテイメントコンテンツを掛け合わせた、移動空間の新しい価値を創出するものであり、同社はコンテンツ制作及び、コンテンツを制作するためのSDK開発を担当している。



●3月実施の一般利用者向け試験走行について

3月に実施された試験走行は、愛知県の「あいちデジタルアイランドプロジェクト事業」のひとつ「人流・属性データ等の取得・活用」を受託しているトヨタ紡織が、産業展示会「SMS」で「行動・属性可視化システム」を用いたデータ分析の取り組みについて紹介する一環として行われたものだ。中部国際空港第1ターミナルと愛知県国際展示場を往復する2つのルートを走行し、一般利用者を乗せて運行した。

●乗車方法

利用者は、バス停にあるQRコードなどから予約サイトにアクセスし、住んでいる国・地域、年代、性別、目的などの属性を入力した上で乗車。例えば、海外からの来訪者が多く乗車すると認識されれば「MOOX-RIDE」車内では英語版のコンテンツが再生されたり、走行ルート付近の飲食情報や常滑焼に関する紹介映像が流れたりなど、乗客の属性やバスの位置に合わせた施設情報や観光情報、広告が投影された。この際、映像や音響、照明、送風、ミストなど乗客の五感を刺激する演出も行い、到着までの移動時間で目的地や近隣施設への期待感を醸成。こうした仕掛けにより、周辺地域の回遊をつくり出し、地域活性化につなげることを「MOOX-RIDE」の狙いとしている。

●「MOOX-RIDE」乗客の様子

試験走行では、中部国際空港第1ターミナル発・愛知国際展示場行きのルートAと、愛知国際展示発・中部国際空港第1ターミナル行きのルートBを走行。車内に設置された透明なディスプレイでは、ルートAでは「INAXライブミュージアム」やとこなめの見守り猫「とこにゃん」といった常滑市内の観光情報についてのコンテンツが、ルートBでは中部国際空港島内のグルメ情報や「フライト・オブ・ドリームズ」といった施設情報についてのコンテンツが車窓の景色に連動しながら投影され、知多半島のご当地キャラクター「知多娘。」のメンバーである「知多みるく」がバスガイドとなり案内した。



●車窓には航空機のARエフェクトを表示

また、同件では新たにセントレアにちなみ、車窓には航空機のARエフェクトを表示。ARエフェクトは、バスの走行する向きや速度に連動してモチーフの見え方がリアルタイムに変化する仕組みで、乗客からは「バスの中で紹介された施設に立ち寄りたくなった」「車窓の風景と連動した演出が行われていて、移動が楽しくなる」などの声が上がっていた。



今回の試験走行の結果を受けて、両社は共に、移動空間の新しい価値を創出する「MOOX-RIDE」の市場投入に向けて開発を進めていくとのことだ。