関根誠端容疑者

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なぜ“義理の両親”に怒りを爆発させたのか

 那須の山中で凄惨な状態の遺体が発見されてから3週間余り。宝島龍太郎さん(55)夫婦の死体遺棄事件は、ようやく“首謀者”が逮捕されるに至った。入れ墨びっしりのチンピラの風体ながら、宝島さんの妻の「パシリ」だった「娘の内縁の夫」は、なぜ憎悪を暴発させたのか。【前後編の前編】

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 5月6日夜。大型連休が終わりを告げたのと同時に、ここ3週間余り世間の注目を集め続けた事件の捜査も、いよいよ結末へ向けて糸口が開けた。

 死体損壊容疑で新たに逮捕されたのは、関根誠端(せいは・32)。被害者である宝島龍太郎さん、幸子さん(56)夫妻の長女の内縁の夫だ。当局は彼を事件の首謀者とみている。

関根誠端容疑者

 彼は“義理の両親”になぜ憎悪を募らせたのか。そして、なぜそれを暴発させたのか。

 その点を解き明かす前に、まずは簡単に事件を振り返っておこう。

 栃木県那須町の山中で、宝島さん夫妻の焼損遺体が発見されたのは4月16日のことだった。

 夫妻は東京都千代田区在住。飲食店業を中心とする会社を経営し、上野・アメ横付近に焼肉屋や居酒屋など14店舗を展開する実業家であった。この数年、店舗数を拡大し、店周辺の通りが「宝島ロード」と言われるほどの勢いだったが、一方で強引な経営手法から近隣の店との間でトラブルが頻発していたことは、「週刊新潮」5月2・9日号でも報じた通りだ。

 既に逮捕されていたのは、佐々木光(28)、平山綾拳(りょうけん・25)、姜光紀(カングァンギ・20)、若山耀人(きらと)(20)の4名。いずれも都内のさるクラブの常連客という共通項がある。

 供述などによれば、四人の“役割分担”は以下の通り。佐々木容疑者が夫妻の死体の処理を平山容疑者に指示。平山容疑者は車や結束バンドなど“犯行道具”を準備したのち姜容疑者と若山容疑者に実行を依頼した。二名は指示を元に、夫妻に暴行を加え、遺体を那須に遺棄した実行役。

8年前に経営コンサルの会社を設立

 佐々木容疑者によると、指示を出した首謀者は別にいる。また、平山容疑者の供述によれば、本件の報酬額は佐々木容疑者が100万円、平山容疑者が900万円、そして姜容疑者と若山容疑者が250万円ずつだという。

 では、佐々木容疑者に指示を出した“黒幕”は誰か。それこそが6日に逮捕された関根容疑者とみられているのだ。

 加えて7日には、夫妻を上野から殺害現場とみられる品川区内の空き家に連れて行った不動産業者・前田亮(36)も逮捕されている。

 既に報じられているように夫妻の遺体は、結束バンドで手足を縛られ、顔に袋を被せられたうえ、ガソリンで焼かれている。死因は窒息死だが、幸子さんの頭部は鈍器のようなもので殴られていた。

 強い殺意と怨恨がうかがわれるが、この関根容疑者とは、一体何者なのか。

 本人のものとみられるSNSなどによれば、関根容疑者は東京都台東区育ち。地元の小学校、文京区内の中学校を出た後、都内の私立高校などを経て、外国語の専門学校へ。

 その後、8年前には経営コンサルの会社を設立している。

「会社の前にベントレーやベンツが」

「あの入れ墨の人でしょ。よく見かけましたよ」

 と言うのは、彼が会社を置く、世田谷区内の高級住宅街の近隣住民だ。

「仕事は中古車屋とか携帯電話コンサルタントなどという、謎の業種を口にしていた。舎弟なのか友人なのか若い男たちが家の前に集まって騒ぐことが時々あり、彼らの車が路駐されていたり、飲み物やたばこのゴミが散らばっていたり。この住宅街には似合わない光景でしたが、入れ墨を入れたいかつい見た目でガラの悪い集団とつるんでいるものだから、住民はみんな暴力団か半グレの関係者だろうと言って関わらないようにしていた。“騒がしくてすみません”と周囲の家に謝って回ることもあったけれど、腕の入れ墨を見せびらかすような半袖Tシャツで来るものだから、かえって近所の人も震え上がっていましたね」

 会社の前には、

「ベントレーとかジープみたいな形のベンツなどの高級車が並んでいました。コロナ前には彼の姿は見かけなくなっていました」

 後編では、「パシリ」だった関根容疑者が宝島さん夫妻に憎悪を爆発させた理由について、宝島さん夫妻とトラブルになっていた近隣店舗のオーナーの証言などと併せて報じる。

「週刊新潮」2024年5月16日号 掲載