2021年3月からスタートした本連載「東京ご近所探訪」は、今回で最終回。取り上げた街は、実に38を数える。

「街への愛が、街を作る」。今回もそんな住人たちの“街愛”をお届け。

ラストを飾る街は、本とカレーでよく知られる、神保町!

東京の街の個性を徹底調査する連載「東京ご近所探訪」。過去にご紹介した街も、要チェック!


今月のエリア【神保町】


本連載のラストを飾るのは、本の街、神保町。世界一の古書店街として知られている他、出版社や印刷所も多いエリアだ。

都営新宿線と都営三田線、東京メトロ半蔵門線の神保町駅を中心に、北は水道橋や御茶ノ水、東は小川町と淡路町、南は竹橋、西は九段下など周辺の駅までも徒歩圏内。

住所で区切ると、靖国通りの南北に広がる千代田区神田神保町1〜3丁目のエリアだが、スポーツ用品店や楽器店、レコード店などが連なる駿河台から小川町、御茶ノ水にかけてのエリアとシームレスにつながりながら賑わってきた。


明治から文教地区として発展してきた神保町

神保町エリアは、全域が商業地域に指定されている。学校や企業が多く昼間は賑わいを見せるが、夜間人口は少ない。大規模な再開発は行われておらず、昭和の風情を残す街並みに郷愁を覚える人も。皇居までも徒歩圏内


江戸時代、江戸城にも近いこの地には各藩の武家屋敷が集まっていた。明治に入ると、武家屋敷跡に学校ができ、教育機関、研究機関が集まる文教地区として発展。

研究者の資料となる書籍を扱ったり、学生が使い終わった教科書を買い取って下級生向けに販売したりする店が増え、古書店街になったのだ。



飲食店や古書店が並ぶ「神田すずらん通り商店街」。駿河台側の入口近くにある明治20年創業の画材店『文房堂』。レトロなファサードが人気


明治期から続く書店が残っているのは、第2次世界大戦の際、貴重な書籍を消失させないために米軍が空襲の対象から外したから、という説もある。

大正13年創業の老舗『スマトラカレー共栄堂』の3代目店主、宮川