この記事をまとめると

■自動車教習所の「教習車」の種類が多様化している

■教習車としての決まりはないが「技能検定」を受ける際の車両は法律で定められている

■最初のうちにセダンタイプを使うことで、車幅感覚などを磨けるというメリットがある

意外と知らない「教習車」の選び方

 運転免許を取得する際に通う教習所で使われている教習車が多様化しています。かつては国産車かつセダンばかりでしたが、近年ではSUVや輸入車など、さまざまな教習車を見かけるようになりました。では、この教習車はどのようにして選ばれているのでしょうか。今回は教習所で実際に教習指導をしていた筆者が教習車について解説します。

教習車のバリエーションが増える!?

 教習車といえば、典型的な4ドアセダンを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。

 かつて主に使われていた教習車は、セドリックやクラウン コンフォートなど4ドアセダンばかりでした。しかし近年では、スタイリッシュなセダン(マツダ2セダンやプリウス)、ハッチバック(リーフ)、SUV(BMW X1)、輸入車(アウディA3セダン)など、さまざまな教習車を見かけます。

 教習生にとって、さまざまなクルマに乗れる機会があるのはいいことではありますが、そもそも教習車としての基準を満たしているのでしょうか。

教習車は何でもいいのか?

 初めて運転するクルマであり、運転の基礎を学ぶためのクルマでもある教習車は、補助ブレーキなど教習に必要な装備を取り付けていれば教習車として認められます。そのため、どのようなクルマでも教習車仕様に変更すれば、使用することが可能です。

 ただし、技能検定(試験)に使用するクルマについては、法律により基準が定められています。普通自動車第一種・普通自動車第二種・普通自動車仮免許の試験における自動車の基準は次のとおりです。

・乗車定員5人以上で専ら人を運搬する構造の普通自動車
・長さ4.4m以上
・幅1.69m以上
・軸距(ホイールベース)2.5m以上
・輪距(トレッド)1.3m以上

 この基準を満たさなければ試験車両として使用することができません。

 この試験車両の基準があるため、ほとんどの教習所では試験車両として使用するクルマと同じクルマを教習車として使用しています。

慣れていない人だからこそセダンに乗るべし!

教習車選びは誰がしてるのか?

 教習所に用意されてる教習車の車種は、各教習所によって異なります。この教習車の選定は誰がしてるのでしょうか?

 筆者が務めていた教習所では、教習所という会社組織における上層部が教習車を決めていました。また、自動車メーカーが教習車仕様として販売しているにクルマのなかから車種を選定していました。

 教習所の多くは、メーカーが製造する教習車仕様のなかから教習車を選んでいると考えられます。その理由は、教習車として必要な装備が取り付けられており、改造費用をかけずに教習車を導入できるからです。

運転の基礎を学ぶためのクルマなら定番車がおすすめ

 教習車として使えるよう費用をかけて改造すれば、ハッチバックやSUVなど流行のクルマを教習車として使うことができます。そのため、話題作りとして流行している車型を教習車として取り入れるという戦略も良いといえるでしょう。ただし、どのクルマであっても、運転の基礎を学ぶためのクルマであることに変わりはありません。

 さまざまなクルマが教習車として取り入れられているものの、運転の基礎を学ぶことを中心に考えるのであれば、定番ボディタイプのセダンで十分だといえます。その理由は、セダン(プリウスを除く)というクルマの形は、車体の前後が運転席から見えにくく、車両感覚を掴む練習に最適だからです。そのため、セダンでの運転に慣れていれば、ハッチバックやSUVの運転が楽に感じることもあります。このようなことからも、教習車はセダンがいいといえるのではないでしょうか。