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真田広之主演・製作のハリウッド戦国ドラマは、日本を正しく描写することを徹底的にこだわった1作。一方で、撮影は日本ではなく、カナダ・バンクーバーで行われた。

漁港や武士たちが暮らす大阪の街並み、さらには大阪城など、劇中では戦国時代の日本が忠実に再現された。本シリーズでプロダクションデザインを担当したのは、『X-MEN:ファイナル ディシジョン』(2006)や『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々/魔の海』(2013)『ジャスティス・リーグ』(2017)など、数々のハリウッド大作に携わってきたヘレン・ジャーヴィス。ドラマシリーズを手がけるのは「SHOGUN 将軍」が初めてだったというジャーヴィスは米で制作時を振り返り、そのこだわりを明かしている。

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ジャーヴィスは「SHOGUN 将軍」に携わるまで、作品の原作にあたるジェームズ・クラベルの小説を読んだことがなく、ましてや日本を訪れたこともなかったという。脚本を読んだ後、その世界観を頭の中で想像し、セットのイメージを作り上げていった。「すべてのセットを網羅するには、数カ所のバックロットが必要になると思いました」とジャーヴィスが語るように、セットはスタジオが保有する野外撮影所に建てられることになった。

1600年当時の日本について無知だったジャーヴィスがまず最初に取り掛かり始めたのは、映画『ピーター・パン&ウェンディ』(2023)で経験したばかりだった船の建造。同作の制作現場からは使えそうなパーツなどを持ち込み、再利用したという。和船の造形アートに詳しい専門家の助けも借りながら、建造を進めた。

物語に多く登場する網代漁港もバンクーバーで再現された。ジャーヴィスたちが見つけたのは、バンクーバー郊外にある開発地区、ポートムーディにある空き地。ちょうど水辺に面していた同地は「10年前に閉鎖された杉工場のために作られた人工の入り江」だったそうで、ジャーヴィスは網代を再現するのにぴったりだと思ったという。およそ10ヶ月の撮影期間中、オーナーから空き地を借りることができた制作チームは、海につながる桟橋や入り江を取り囲む建物を建設していった。

最も巨大な建造物は、石堂和成(平岳大)が城主を務める大阪城。撮影では、3階建ての城が縦180フィート(約54メートル)、横110フィート(約33メートル)の大きさで建設されたという。使われた障子の数、なんと700枚。そのいくつかには金箔の装飾やペイントが施された。ジャーヴィスは障子の制作をこう振り返る。「デザインはデジタルで作成し、アナグリプタ壁紙にプリントしました。全てに、メタリックパウダーを混ぜた美しい色を塗り、超大判プリンターで豪奢なデザインを印刷したのです」。

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城の内観にも、ジャーヴィスの趣向がある。劇中に登場する人物の位(くらい)にあわせて、部屋の凝り具合を変えたというのだ。このほか、登場人物の衣装を際立たせるべく、内観には強烈ではない色彩をコーディネートすることもジャーヴィスが意識したことのひとつ。「セットは衣装の背景のようなものだと常に感じていました」とジャーヴィス。現代で蘇った「SHOGUN 将軍」には、劇中の至る所にこうした製作陣の緻密なこだわりが散りばめられている。

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