人生100年時代とはいうものの、将来には少なからず不安がついてきます。そこで、心豊かに暮らしている人をクローズアップ。スパイス料理研究家の吉山武子さん(81歳)は、85歳になる夫の介護生活中。一時は仕事を引退することも考えましたが、「73歳で始めたお店は、今では私の生きがいです」と話します。そんな吉山さんの想いを伺いました。

70代で店を主宰。思わぬ出来事もそれが今では心の支えに

70代で料理教室を引退しようとしたら、義妹と姪御さんが猛反対。

【写真】夫・進夫さん発案のカレー用スパイスキットが大人気

「それどころか、姪が私のためにお店をオープンしてくれました。スパイスは奥が深いし、絶対すぐにつぶれると思いましたよ(笑)」。内心ヒヤヒヤのスタートでしたが、今や地域を代表する人気店。「このお店があるから、介護生活もがんばれる。心の支えです」。

●心のこもったカードや手紙がたくさん!

自宅にもお店にも、吉山さんの料理教室やお店でスパイスを学んだ人たちからの思い出の写真やお礼の手紙がたくさん。スパイス料理は人々に愛され、すそ野が広がっていったのです。

●培ってきたものすべてを反映したお店は人生の集大成

「自分の子どもや孫に食べさせたくないものは扱わない。無農薬・低農薬のスパイスは高価ですが、使い方がわかっていれば無駄にすることなく、日々の料理を豊かにしてくれるんです」。人気メニューのチキンカレーはスパイスが効いているのに辛味控えめの、優しい味です。

健康増進にフードロス対策。願うのは「食べる人の幸せ」

「お冷」はシナモンやカルダモンを入れて煮出し、冷ましたスパイスウォーター。自宅でもつくれるようにスパイスキットを販売しています。

柿のチャツネ(調味料)は福岡県内で年間7000トンも出る廃棄柿を有効活用するために、福岡市にある中村学園大学と共同で開発したもの。

料理教室を始めて間もなく、カレー用スパイスキットを販売したところ「個別に量るのが面倒」という声を受けて夫・進夫さんが「あらかじめブレンドしておけばいい」と発案。そうして生まれた「NOBUO's BLEND」は辛味が少なく芳ばしく、塩気のない味で大人気!

 

『ゆとりある日々を過ごしている人の素敵なお金の使い方 2024年度版』(扶桑社ムック)では、今回紹介した以外にも、自分らしいお金の使い方で幸せに暮らしている人たちを紹介。そのほか、年金のもらい方、老後の安心な住まいなど、プロのアドバイスも満載です。