54歳おひとりさまが「50代でやってよかったこと」。おかげで収入の不安や暮らしの変化に対応できた
50代以降は、これから先の人生について真剣に考え始める人も多いのではないでしょうか。もしかしたら、暮らしに大きな変化があるかもしれません。54歳のブロガー・きんのさんは、49歳のときに母の介護がきっかけで築50年越えの団地に引っ越すという、大きな決断をしました。ここでは、団地で日々節約や時短、インテリアの工夫を楽しみながら自分らしくひとり暮らしをしているきんのさんにが、「50代でやってよかった」と感じていることを語ります。
50代でやってよかった!とくに大切な3つのこと
人生100年と言われる現在、50歳は人生の折り返し地点です。さまざまな問題が出始め、「老後」「健康」「生きがい」のことなどを考え始める人も多いことでしょう。50代で人生の転機を迎える人もいると思います。
私の場合は、50歳手前で親の介護のため引っ越しを決意し、長年勤めた会社を退職しました。さらに、職業訓練制度を利用して学び直しのため専門学校に入学し、資格を取って転職。
更年期障害と闘いつつ日々の悩みや出来事をつづるブログも始めました。ブログがきっかけで本を出版することにもなり、50代前半だけでいろんなことが起こりました。
「一寸先は闇」と言われるように、この先なにがあるか、だれもわかりません。自分ではどうすることもできないことだってあります。流れに身を任せ無理しすぎないことも大切ですし、人生の後半戦を迎えるこの時期だからこそ、やっておいてよかったこともありました。
私が50歳を迎えるときに「やっておいてよかった」と思ったことをまとめてみました。
1.ライフプランを立てる、修正する
50歳手前、これからの人生への期待よりも収入面や健康面での不安や戸惑いが多く、親の介護の問題も浮上しました。仕事面では定年までのキャリアや収入予測がつく頃で、リストラの不安も拭えません。
そうしたさまざまな問題に対応するために今後の指針が必要だと思い、自分の現状と向き合うことにしました。具体的には、ライフプランを作成したのです。
ライフプランというと、難しそうで面倒と思われるかもしれませんが、私のライフプランはとてもシンプルです。プランの期間も10年程度で十分。必ず変化するものだし、見直す必要もあるので、私の場合は65歳の定年までをプランニングし、今後の人生を考える時間をつくりました。
プランの項目は5つあります。
・自分と家族のライフイベント
・収入予想
・支出予想
・貯蓄予想
・やりたいこと
何歳でどんなことが起こりそうかを予測し、そのときにいくらの収入と貯蓄があるのか、支出はどの程度になるのかをざっくりつかんでおけば、これからどう行動したらいいのかが見えてきます。
このプランをつくったことで引っ越し後の生活、資格取得と転職、老後資金問題に冷静に取り組むことができ、50代前半戦はいい感じに進んでいます。
●自分が実現したいことも書き出して
さらに、家族の祝い事や家電買い換え、修繕などのお金が必要になる時期はもちろんのこと、自分が実現したいことも書き出します。
「私にはできない」「今からでは遅すぎる」などとやる前から諦めず、それを可能にするにはどうしたらいいかも具体的に考えておけば、案外うまくいくこともあります。
おひとり様の場合は老後資金に加えて、今後の生活レベルや、もしものときにどうするかについて考え、いつまでに準備しておくか計画するとより安心だと思います。
2.運動する習慣を身につける
50歳前後で、更年期による心身の変化に悩まされました。ホットフラッシュやのぼせ、手のしびれといった身体症状のほかに気分の落ち込みなどの精神症状もあり、運動するどころではありませんでした。
当時は机上での仕事が中心だったのもあり、加齢によって筋力は衰え、健康的な生活のためには運動が重要と知っていても、体を動かすことがおっくうでした。
しかし、50歳で資格取得のため専門学校に入学し、10代の若者たちと一緒に学生生活をすることに。「もう歳なので…」なんて甘えは通用しません。行動を共にし、刺激を受け、激しい運動は無理でもとりあえず体力づくりのために軽いウォーキングから始めました。
毎日習慣的に運動をしていれば、筋肉量を維持できます。40代後半よりも、今の方が体力があると思います。必要なのは基礎体力。この先の人生を楽しむために健康維持は大切だと実感しています。老後は「学力」や「財力」よりも、「体力」が幸福度を左右すると思いませんか?
3.足るを知る、自分基準で考える
歳を重ねるごとにすべて完璧にこなす必要はない、無理しすぎてはダメだとわかってきました。自分ができないことを認めることで、次のステップが見えてくる場合もあります。
だれかに助けてもらったり、そこそこで十分だったり、「こうあるべき」よりも「自分にとってどうあればよいのか」を考えるようになりました。
自分のできないことを認め、できる範囲で人マネではない自分らしい豊かな暮らしを目指す。ない物ねだりはせず今あるものを活用して、自分の特性を活かしワクワクすることを選択しようと決めたのです。
●時間もお金も体力も限られているからこそ、優先順位をつける
「これからの人生で自分がやりたいこと」に優先順位をつけるのもそのひとつ。
選択肢は無限にあるようにも思えるけれど、実際は時間もお金も体力も限られています。自分が本当にやりたいこと、大切にしたいことに力を注ぎたい。
49歳で前職を辞める決断をしたとき、最優先したのは母と自分との生活でした。今までのキャリアや収入を確保しながら母を介護する生活はとても困難で、毎日3時間の通勤時間に加え、仕事上のストレスも溜まり疲れ切っていました。
自分も母もこのままではダメになる。収入がダウンしても今の生活を支えられるだけのお金を稼げるなら、自宅近くで介護しながらでも働きやすい仕事を選択しようと決めました。
会社を辞めるときに「辞められると困る」と言われましたが、仕方ありません。自分勝手に思われることもありますが、自分の心に従い行動した方ががんばれるし満足度も高いと実感しています。
終わりが近づきつつある人生後半戦は今あるものに満足し、自分の心に従って行動していくことにしました。50代手前で「他者評価ではなく、自分基準で考えよう」と考え方をチェンジしました。
人生後半戦をよりよく生きるために
50代はまだまだ現役世代。責任ある立場の人も多く、老後のことは退職後に考えようという方も多いでしょう。自分のことを考える余裕もない生活を送っている人もいらっしゃると思います。
平均寿命は伸び、老後と呼ばれる期間がかなり長くなりました。老後問題が具体的に見え始める50代は、ちょっと立ち止まって、今の自分の歩いている道がどこに向かっているのかを俯瞰してみるのにちょうどよい時期だと思います。
気力も体力もまだあるこの時期に自身の現状と向き合い、やりたいことや今後起こりそうな問題の対処法を考えておけば、多少のことはなんとかなります。
50代で人生の棚卸しをして、よい習慣を身につければ、人生の後半戦をより自分らしく生き抜くことができるのではないでしょうか。少し立ち止まって自分と向き合う時間をつくってみたら、きっとなにか発見があると思いますよ。