GIGAZINE編集部ではスマートフォンやPC、USBアダプターなど多様なデバイスをレビューしており、デバイスへのUSB給電状況や対応規格などを確認できるUSBテスターが大活躍しています。しかし、編集部にあるUSBテスターには測定結果の画像出力機能が搭載されておらず、測定結果を示すには小さな画面をカメラで直接撮影する必要がありました。「測定結果をPCの画面に出力して保存したい。できれば給電状況の推移をグラフ表示する機能や過去の測定結果と比較する機能も欲しい」と考えて探していたところ、多機能かつ比較的安価なUSBテスター「Power-Z KM003C」を発見。実際にPower-Z KM003Cを買って使ってみたところ非常に高機能で役立つデバイスだったので、主な機能の使い方をまとめてみました。

Introducing the Brand New POWER-Z KM003C - Chargerlab

https://www.chargerlab.com/introducing-the-brand-new-power-z-km003c/

・目次

◆1:Power-Z KM003Cの外観チェック

◆2:Power-Z KM003C本体で給電状況を確認

◆3:PC向けアプリをインストール

◆4:アプリで給電状況を確認

◆5:測定結果をデータベース化して過去の結果と比較

◆6:アプリでUSB PDの通信内容を確認

◆7:Power-Z KM003C本体で急速充電の対応規格を確認

◆8:Power-Z KM003C本体でeMarkerの情報を確認

◆9:Power-Z KM003C本体でApple製USBアダプターの情報を確認

◆1:Power-Z KM003Cの外観チェック

Power-Z KM003Cは日本のオンラインショップなどでも買えますが、今回は公式サイトからリンクされていたAmazon.comで購入しました。価格は109.99ドル(約1万6300円)。送料なども含めるともう少し高くなります。

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Power-Z KM003Cは注文してから数日後に届きました。



パッケージの中には銀色のケースと公式SNSにアクセスできるQRコードを記した紙が入っていました。



銀色のケースを開けると、Power-Z KM003Cが現れました。



Power-Z KM003Cの見た目はこんな感じ。正面には正方形のディスプレイが搭載されています。



背面には公式サイトのURLやモデル名が記されています。



左側面には補助電源入力用のUSB Type-Cポートを搭載。



右側面にはボタンが4個並んでいます。ボタンの機能は上から順に「キャンセル」「決定」「次へ進む」「前へ戻る」です。



天面にはUSB Type-Cのオス端子。



底面にはUSB Type-Cのメス端子が付いています。



◆2:Power-Z KM003C本体で給電状況を確認

Power-Z KM003Cは「本体のディスプレイ」と「PCアプリ」の2カ所に測定結果を出力できます。まずは、「スマートフォンなどのデバイスへの給電状況を本体のディスプレイで確認」という操作を実行してみます。

最初に、Power-Z KM003C本体に電力を供給するために、USB Type-Cケーブルを本体側面に挿入してUSBアダプターと接続します。



すると、Power-Z KM003Cのディスプレイが点灯し、電源から出力されている電圧、電流、電力が表示されます。



続いて、スマートフォンに電力を供給するUSBアダプターを用意し、USB Type-Cケーブルをスマートフォンの代わりにPower-Z KM003Cのメス端子に接続します。



最後にPower-Z KM003Cのオス端子をスマートフォンに接続すれば準備完了。



これで、USBアダプターからスマートフォンへ出力されている電圧、電流、電力を確認できるようになりました。



ちなみに、「Power-Z KM003Cのメス端子とUSBアダプターを接続し、オス端子を出力先デバイスに接続」という配線だけでなく、「Power-Z KM003Cのオス端子をUSBアダプターに接続し、メス端子と出力先デバイスを接続」という配線でも同様に出力状況を確認できます。



◆3:PC向けアプリをインストール

Power-Z KM003CはPCに「Mtools」というアプリをインストールすることで、出力状況をPCから確認できるようになります。Mtoolsをインストールするには、まず以下のリンク先にアクセスします。

KM003C/KM002C Technical Support - Chargerlab

https://www.chargerlab.com/km003c-km002c-technical-support/

Google Driveへのリンクを探してクリック。



Google Driveにアクセスしたら「PC Software」をダブルクリック。



「(V2.3.0) PE version - PC Software (KM002C/KM003C).zip」といった名称のZIPファイルが保存されているので、「ダウンロード」をクリックしてダウンロードします。



「ファイル容量が大きすぎてウイルスチェックできない」という旨の警告が表示されたら「エラーを無視してダウンロード」をクリック。



ダウンロードしたZIPファイルをWindows標準機能や「Explzh」などの対応アプリを使って展開します。



展開したファイルの中に保存されている「Mtools.exe」を実行します。



すると、Mtoolsが起動します。



◆4:アプリで給電状況を確認

Power-Z KM003Cでの測定結果をPCで確認するには、まずPCでMtoolsを起動してからPCとPower-Z KM003Cの補助電源ポートをUSBケーブルで接続し、計測したいデバイスをオス端子とメス端子に接続します。



Mtoolsの画面左側にPower-Z KM003Cのシリアルナンバーなどが表示されるのでダブルクリックします。



すると、以下のように画面上部に電圧、電流、電力が表示されました。



測定結果をグラフ形式で表示するには、画面右側の再生ボタンをクリック。



するとグラフが描画されます。グラフは横軸が描画開始からの経過時間で、縦軸は電圧や電流を示しており、緑色の線が電圧、ピンク色の線が電流の推移を示しています。グラフ描画を停止するには停止ボタンをクリックすればOK。



初期状態だと、測定結果が1秒に1回プロットされます。描画頻度は「Sampling Rate」から変更可能。例えば「1KSPS」を選択すれば1秒当たり1000回プロットできます。試しに「1KSPS」をクリックしてから再生ボタンをクリックしてみました。



1秒につき1000回プロットするグラフはこんな感じ。電圧や電流の細かい推移を確認できます。



グラフを画像ファイルとして保存したい場合は、画面左側の青色のボタンをクリックしてから「Export」をクリック。



出力画像の解像度を指定して「OK」をクリック。



保存先やファイル名を指定して「保存」をクリック。なお、保存形式は「JPEG」「PNG」「GIF」「BMP」「SVG」「PDF」から選択できます。



保存した画像が以下。



◆5:測定結果をデータベース化して過去の結果と比較

Mtoolsには、測定結果をデータベース化して複数の結果を並べて表示する機能も搭載されています。測定結果を保存するには青色のボタンをクリックしてから「Export」をクリック。



保存先と名前を指定して「保存」をクリックします。データはCSV形式かDB形式で保存できます。



測定結果を並べて表示するには、画面左側のオレンジ色のボタンをクリックしてから「Create Simulator」をクリック。



すると空のデバイス情報が表示されるのでダブルクリックします。



ダブルクリックすると、測定結果表示画面の右隣に新たな測定結果表示画面が表示されます。記事作成時点では、測定結果表示画面を最大4個まで並べることが可能。5個目の画面を作成しようとするとアプリが強制終了してしまいます。



続いて、新しく作成した測定結果表示画面に、エクスポート済みのデータを読み込みます。まず、青色のボタンをクリックしてから「Import」をクリック。



読み込みたいデータを選択して「開く」をクリック。



これで、複数のデータを比較できるようになりました。これで、リアルタイムの測定データと保存済みのデータを比較したり、保存済みのデータ同士を比較したりできます。



標準状態だとサイドバーが邪魔でグラフの表示領域が狭いので、赤枠で囲ったボタンをクリックしてサイドバーを非表示にします。



これでグラフを大きく表示できます。



◆6:アプリでUSB PDの通信内容を確認

Power-Z KM003CとMtoolsを組み合わせると、USB PDの通信内容をPCから確認できます。まずは出力状況の確認と同様にデバイスを配線します。



続いて、画面上部の「PD Analyzer」をクリック。



再生ボタンをクリックします。



すると、画面上部にUSB PDの通信内容が表示され、画面下部に電圧や電流の大きさが表示されます。



USB PDの通信を実行させるために、USBケーブルを一度抜いてから再挿入します。



すると、通信内容が画面上部にズラリと表示されました。通信内容をチェックすることで、USBアダプターがどんな出力を提案しているかやデバイスが要求した出力の種類、実際の出力状況などを確認できます。



USB PDの通信内容もデータベース化可能。データベース化するには、画面上部の黄色い保存ボタンをクリックします。



保存先やファイル名を指定してから「保存」をクリック。なお、USB PDの通信内容はSQLite形式かpdStream形式のいずれかで保存できます。



保存したデータを読み込むには赤色のファイルオープンボタンをクリック。



読み込みたいファイルを選択して「開く」をクリック。



これで過去の通信内容を再確認できます。



◆7:Power-Z KM003C本体で急速充電の対応規格を確認

Power-Z KM003CにはUSBアダプターが対応している急速充電規格を確認する機能も搭載されています。急速充電規格の対応状況を確認するには、まずPower-Z KM003Cに補助電源を接続し、USBアダプターとPower-Z KM003Cを接続します。



右側面の「次へ進む」「前へ戻る」ボタンを押して「Application」画面を表示し、「Charging protocol」を選択します。



「Be ready!」を選択。



「Auto detection」を選択。



対応規格の分析が始まるのでしばらく待ちます。



しばらく待つと、以下のようにUSBアダプターの対応規格が表示されます。



◆8:Power-Z KM003C本体でeMarkerの情報を確認

USB Type-Cケーブルの中には、ケーブルの情報を記録したICチップ「eMarker」が内蔵されているものもあります。Power-Z KM003Cを使えば、eMarkerの情報を確認することもできます。

eMarkerの情報を確認するにはPower-Z KM003Cに補助電源を接続し、情報を確認したいUSBケーブルをPower-Z KM003Cのメス端子に接続します。



「Application」から「Modules」を選択。



「USB-C eMarker」を選択。



すると、eMarkerの情報が表示されます。これで給電可能な最大電力や対応規格などを確認できるというわけです。



◆9:Power-Z KM003C本体でApple製USBアダプターの情報を確認

Power-Z KM003Cを使えば、Apple製USBアダプターの情報を確認することもできます。今回は以下のUSBアダプターの情報を確認してみます。



まず、Power-Z KM003Cと補助電源を接続し、USBアダプターとPower-Z KM003Cを接続します。



「Modules」内の「Apple Charger」を選択。



すると、USBアダプターの製品名やシリアルナンバーなどが表示されます。



Apple製USBアダプター以外だとどんな結果になるのか確かめるべく、Anker製のUSBアダプターを接続して「Apple Charger」を使ってみました。



すると、「USB-C充電器を接続してください」という旨の通知が表示されました。この機能を使えばApple製USBアダプターのニセモノを見分けることもできるというわけです。



なお、Power-Z KM003Cは記事作成時点ではAmazon.comで送料別109.99ドル(約1万6300円)で入手できます。

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