EcoFlow Technology Japanは、大容量のポータブル電源「EcoFlow DELTA Pro Ultra」(以下、DELTA Pro Ultra)を発表。1月18日に発売します。

↑EcoFlow DELTA Pro Ultra

 

DELTA Pro Ultraは、これまでEcoFlowが展開してきたアウトドア向けの製品とは違い、家庭の消費電力を賄える製品です。バッテリーと専用インバーターをセットで使うもので、バッテリーは1台あたり6kWhの大容量を実現。さらに最大5台を専用インバーターに接続して使用できます。

↑バッテリーを縦に積んで拡張します

 

出力は単相2線の100V、単相3線の200Vに対応しています。また瞬間で最大9kWの出力が可能。大型のエアコンやIHクッキングヒーターから、EVの充電まで使えます。

↑家庭の使用はもちろん、現場や業務用途でも使えます

 

充電はACコンセント経由、EV充電スタンドからのほか、太陽光発電システムと接続も可能です。たとえば400Wのソーラーパネル14枚と接続して、最大5.6kWの入力があった際、天候がよければ60分で緊急時に必要な電力を供給できるとのこと。さらにソーラー充電とAC充電の組み合わせで最大7.6kWの入力もできるので、大容量バッテリーながら短時間で充電できるとしています。

↑プラグアンドプレイ方式なので、ケーブルで接続するだけ

 

↑マルチ充電に対応

 

また、UPS機能も備えており、停電したらバッテリーに瞬時に切り替わる0msオンラインUPS対応のACコンセントと、20msでバッテリーに切り替わるUPS対応コンセントを装備しています。

↑UPS機能付き。PCやHDDなど、一瞬でも電源を落としたくない機器に接続すれば安心です

 

↑左2基のコンセントは100V/20AのバックアップUPS機能付き、真ん中2基は100V/20AのオンラインUPS付きコンセント、右の大きなコンセントは200V/20AのオンラインUPS付きコンセント

 

このほか、2kW以下の出力で0dbの静音性や、独自の冷却構造で10年以上使える長寿命、5年の保証などに対応。

 

ポータブル電源としてはさすがに大型で、インバーターはサイズが690×481×214mm、重さが31.7kg。バッテリーは1台660×455×204mm、50.7kg。それぞれ2人以上で持ち運ぶことを前提としています。

↑製品真ん中上部には入力と出力状況、バッテリー容量が表示されるパネルが付いています

 

↑上部の左右に持ち手付き。付属品として専用キャスターもありますので、スムーズに移動させることもできます

 

蓄電しながら家の電力を供給するシステムの提案

市場に出ている家庭向けポータブル電源としては超大容量のバッテリーと高出力を実現しているDELTA Pro Ultraですが、ハイスペックゆえに家庭での利用シーンがイマイチ想定できないところ。そこで、EcoFlow Technology Japanでは、「家庭用蓄電システム」としての利用を提案しています。

 

具体的には、DELTA Pro Ultraと電源切替盤をセットで家庭に導入することで、「ソーラーパネル+パワーコンディショナー」「ソーラーパネルのみ」「ソーラーパネルを設置できない集合住宅など」の3つのシーンで活用できるとのこと。

 

ひとつめは、ソーラーパネルによるエネルギーをパワーコンディショナーで変換し、住宅用分電盤に電力を送ります。分電盤からDELTA Pro Ultraに電力が送られ、そこからさらに電源切替盤を通して、各家電に電力を送る仕組みです。

 

こうすることで、DELTA Pro Ultraに蓄電しつつ、家電を動かせます。さらに、商用電力もDELTA Pro Ultraに供給されるうえに、自家消費や充電電力が少ない場合は売電も可能となっています。

↑ソーラーパネル+パワーコンディショナーのシステム構成図

 

ふたつめのソーラーパネルのみは、ソーラーパネルとDELTA Pro Ultraを接続し、ソーラーパネルからのエネルギーを蓄電しながら、DELTA Pro Ultraから電源切替盤を通して家電を動かす仕組み。パワーコンディショナーが故障したユーザーや、新規でソーラーパネルを設置するユーザー向けとなっています。

 

太陽光による発電量の不足や夜間、またDELTA Pro Ultraからの蓄電量が不足した際は、電力会社から供給される電力で家庭への出力はもちろん、蓄電も可能。さらに、万が一DELTA Pro Ultraが故障した際などは、電源切替盤が瞬時に切り替わり、DELTA Pro Ultraからではなく電力会社からの供給で家庭に出力してくれます。

↑ソーラーパネルのみの構成図

 

最後のソーラーパネルがない場合は、電力会社から送られる電力をDELTA Pro Ultraで蓄電しながら、電源切替盤を通して各家電に出力する仕組みです。主に非常用電源としての導入を想定しており、停電した際には蓄電したDELTA Pro Ultraの出力で家電を動かします。

 

ふたつめ同様、DELTA Pro Ultraの故障や持ち出しの際は、電源切替盤が電力会社から供給の電力に自動で切り替えます。

↑ソーラーパネルの取り付けがない、集合住宅の場合の構成図。停電時は青い点線のように蓄電から出力します

 

いずれも、太陽光発電の不足、停電などによる電力会社からの供給ストップがあっても、蓄電されたDELTA Pro Ultraによって家庭の電気には影響がないような仕組みです。それでいて普段はDELTA Pro Ultraに蓄電しながら生活ができるようになっています。

↑設置工事するとDELTA Pro Ultra側の電力を流す配線と、それ以外(電力会社など)の電力を流す配線に分けられます

 

↑電源切替盤。右側上部をA系、下部をB系としており、仮にDELTA Pro Ultraが故障したり、外部へ持ち出したりするとA系からB系に瞬時に切り替わり、滞りなく電気を送れるようになっています

 

状態のチェックはこまめにした方がよさそう

ただし、注意点もあります。たとえば停電が起こり、DELTA Pro Ultraが蓄電した電力で家庭の電気を賄う方法に切り替わったとき、瞬時に切り替わるため、周囲で停電が起きたときに気づきにくくなります。

 

またDELTA Pro Ultraが故障し、電源切替盤によって電力供給が電力会社からに切り替わったときも、家庭に影響は出ないため、DELTA Pro Ultraの故障に気づくのが遅れる可能性があります。

 

スマホアプリなどで通知が来る仕組みがあればいいですが、現状はないそうで、しばらくはDELTA Pro Ultraをこまめにチェックするのがいいでしょう。

 

価格はインバーターとバッテリーのセットで143万円(税込)。インバーター単体だと74万8000円、バッテリー単体は82万5000円です。決して求めやすい価格ではありませんが、セットだとお得な価格設定になっています。

 

直販サイトでの販売はもちろん、家電量販店などでも一部取り扱いますが、一部工事が必要な家庭用蓄電システムとしての利用もすすめているため、工務店や住宅会社を経由しての販売も計画しているそうです。