昨今製品が増えて盛り上がりつつある、メガネ型のウェアラブル端末。イヤホンレスで音楽のリスニングや通話ができ、もちろんメガネとしても機能するデバイスです。

 

今回は、ファーウェイの最新モデル「HUAWEI Eyewear 2」(以下、Eyewear 2)を使用したレビューをお届けします。骨伝導イヤホン派であった筆者は、メガネ型ウェアラブルに何を感じたのか。本音で語ります。

↑Eyewear 2の外観。モデルは、ウェリントン型ハーフリム(ブラック)

 

メガネとしての完成度が高い

20年以上、メガネとともに生活してきた筆者が、Eyewear 2を使った第一印象は「メガネとしての完成度が高い」でした。

↑Eyewear 2をかけたところ。フレームこそ太いですが、着用感は軽いです。ちなみに本機の重さはレンズ込みで約37.8g

 

一般的なメガネと比べて、Eyewear 2はフレームのテンプル・モダン部分がかなり太くなっています。下に比較用の写真を掲載しますが、その差が顕著であるため、使用前は装着感を不安視していました。ですが、杞憂に終わりました。装着して数日こそ多少の違和感があったものの、すぐに慣れたのです。また、重さを感じることもありませんでした。あくまで筆者の感覚ではありますが、普通のメガネ感覚で使える製品といえます。

↑Eyewear 2(上)と、筆者がこれまでかけていたメガネの比較。Eyewear 2のほうが、ゴツい印象を受けます

 

丁番部分は柔軟な作りになっています。この機構のおかげか、フィット感はゆるすぎずキツすぎず、ちょうど良いといったところ。シリコン素材のノーズパットの効果もあって、メガネがずれ落ちてくることはあまりありません。

↑丁番の部分を上から。ネジとフロントの間に金属製の曲線状の部品が挟まっていることによって、柔軟性を確保しています

 

これまでさまざまなメガネをかけてきた筆者の感覚からしても、Eyewear 2は良いメガネだと感じられました。通常のメガネからの乗り換えも、安心できそうです。

↑シリコン製のノーズパッドはやや大きめなサイズ

 

また、本機はデザインも豊富に取り揃えています。ファーウェイが販売する2つのデザインに加え、メガネブランドのOWNDAYSとコラボした、4つの形状と各2通りのカラーバリエーションもラインナップ。女性向けデザインのモデルも拡充されています。

 

音は若干こもる感じだが、迫力は十分

ウェアラブルデバイスとしての使用感はどうでしょうか。まず音については、若干こもる感があるものの、決して悪いと感じるものではありませんでした。この手のデバイスでありがちな低音の弱さは感じられず、どっしりとした印象の音です。ファーウェイによると、スピーカーの振動幅を従来機から拡大しており、低音の強さを増しているのだそう。今回は従来機との比較はしませんでしたが、その設計思想はしっかり結果に表れているといえそうです。

↑テンプルの耳側についているスピーカー

 

なお、音の聴こえ方には独特な感覚があります。音が耳に真っ直ぐではなく、上から降り注いでくるように感じられました。通常のイヤホンとも骨伝導イヤホンとも異なり、好みが分かれそうな点です。本機の購入を検討される場合は、装着感や音質のテストも含めて、この音の聴こえ方がご自身に合うか、店頭などで一度体感したほうが良いでしょう。

 

音漏れは、それほど問題にならないように感じました。筆者のテストでは、周囲が静かな状況でも、ボリュームがMAXの3分の1程度であれば音漏れほぼなし。同じ状況で音量を3分の2にすると多少の音漏れあり、MAXにすると密接したら何を聴いているかがわかってしまう、というレベルでした。

 

とはいえ、周囲の環境音を測定してボリュームを自動コントロールする機能もついていますし、手動でもテンプルをスライドタップすることで簡単に音量調節できます。基本的には自動に任せつつ、手動での調整も加えれば、音漏れを気にしなくて良いレベルを保てそうです。

 

音漏れを気にしすぎると音が聴こえなくなる懸念もあるかと思いますが、スピーカーが力強く鳴るので、人の多い繁華街の雑踏を歩くなどのケースでもなければ、ボリュームを最大にしなくても、ちゃんと音は聴こえます。

 

通話についても、筆者が使ったうえでは問題を感じることはありませんでした。風のノイズを低減する機構が搭載されていることもあってか、外での通話でもこちらの声がしっかり通話相手に届いているようでした。なお、電話に出るときはテンプルを2度タップ、再度同じ操作をすれば通話を切れるので、スマホをいちいち出す必要はありません。

 

装着時だけ音を鳴らす仕様が便利。必要に応じて機能をオフにもできる

Eyewear 2の便利な機能として、本機の脱着を検知し、装着中のみ音楽を再生する仕組みがあります。再生中にEyewear 2を外すと、おおよそ2秒程度で再生が止まります。さらに、スマホから音楽を再生していた場合は、スマホのスピーカーからの再生に自動で切り替わります。この機能を使わない場合は、HUAWEI AI Lifeアプリからオフ設定が可能。再生端末切り替えの挙動はたまに安定しないことがあるため、それがストレスになるという場合は、機能をオフにしておくというのも手です。

 

また、これまでも触れてきたように、音楽の再生、ボリュームの調整、電話に出る・切るといった操作をメガネ単体でできるのも便利です。テンプルをタッチ・スライドする動作は、はたから見たらなんだかカッコをつけているように映る気がして気恥ずかしいかもしれませんが、せっかく本機を手にしたのなら、使ってみましょう。実際、操作性は快適です。

↑HUAWEI AI Lifeアプリを使えば、テンプルのタップ操作をカスタマイズできます

 

バッテリーは、カタログスペックでは音楽再生が最大11時間、通話が最大9時間。満充電時間は50分で、10分の充電でも最大3時間の音楽再生が可能となっています。ファーウェイによると、バッテリー容量は従来モデルより30%向上、消費電力も下がっているとのこと。しかし筆者が使った感覚では、待機中もそれなりに電力を消費しているのか、日中の常時使用には1日1回の充電がほぼ必須な印象でした。

↑本機の専用充電器。二股に分かれた先には電極と磁石がついており、テンプルの両端につけて、充電を行います。給電はUSB-Cです

 

メガネという常時着用するデバイスであることを考えると、充電のタイミングは寝ている間くらいしかありません。充電をサボってバッテリー切れ……というシーンは筆者が試用している期間にもあったので、本機を使うなら寝る前に充電器に繋ぐ習慣をつける必要があります。

↑充電中は、テンプルの側面にランプが点灯。緑・オレンジ・赤の3色で、バッテリーの残量を表現します

 

耐久性の面では、IP54クラスの防塵・防滴に対応しています。粉塵があるエリアでもしっかり動作し、飛沫の水の影響を受けません。ただし、本機の防滴性能はいわゆる生活防水のレベルにとどまっていることには注意が必要。濡れた手で触れる、多少の雨がかかるといった状況には耐えられますが、本機をかけたままシャワーを浴びるなどの行為をすると、故障の危険性があります。過信は禁物です。

 

刺さる人には確実に刺さるデバイス

Eyewear 2は、普段からメガネをかけている人にとっては優秀なデバイスといえます。なぜなら、メガネという日常生活に必要だった道具が、そのままイヤホンの役割を果たすから。つまり、イヤホンが不要になります。

 

筆者はこれまで、メガネをかけたうえで骨伝導イヤホンを装着することによって音楽を聴いていましたが、2つのアイテムを耳にかけることに、煩わしさを感じていたのも事実です。本機を使うようになってからは、メガネをかけるだけで音楽を聴けるようになり、日常の快適性が増しました。

 

本機のターゲットと思われるのは、メガネユーザーかつ、日常的にイヤホンを装着している人。そう考えると、その的はやや限定されているかもしれません。しかし、そこにハマる人にとっては、重宝するデバイスになるでしょう。