AppleのM1チップ搭載Macで動作するLinuxディストリビューション・Asahi Linuxの開発者であるヘクター・マーティン氏が、「YouTubeがLinux搭載ARMデバイスのFirefoxで意図的に動画解像度を低下させている」と分散型SNSのマストドンで報告しました。

Hector Martin: "Today I learned that YouTube i…" - Treehouse Mastodon

https://social.treehouse.systems/@marcan/111567255619206929

When evaluating browsers that support an arm-based system reporting "x86_64", YouTube only allows for lower quality options - Game News 24

https://game-news24.com/2023/12/12/when-evaluating-browsers-that-support-an-arm-based-system-reporting-x86-64-youtube-only-allows-for-lower-quality-options/

マーティン氏は2023年12月12日の投稿で、「今日、YouTubeがAsahi Linux上のFirefoxを意図的に機能不全に陥らせていることを知りました。これは動画解像度を低下させるのです」と報告しました。

マーティン氏によると、YouTubeは使用するOSやブラウザを識別するユーザーエージェント文字列を読み取り、「CPUにARMアーキテクチャを採用しているデバイスかどうか」を判断しているとのこと。そして、ARM搭載デバイスであるならば「システムのパフォーマンスが低い」と判断し、デフォルトの動画解像度を低下させているそうです。



YouTubeはデフォルトの動画解像度が1080pですが、CPUのコア数が2以下の場合は480pに解像度を落とすそうで、ARM搭載デバイスの場合は240pになるとマーティン氏は説明しています。また、実際には4Kで視聴できるはずの動画でも、該当するデバイスのFirefoxでは4K解像度での再生ができないそうです。

なお、ChromeやEdgeに利用されているChromiumのユーザーエージェント文字列は、ARMの64ビット命令セットであるAArch64をAMDやIntelと同じx86_64に見せかけているため、影響は出ないとのこと。また、FirefoxはすでにWindowsとmacOS上でアーキテクチャを偽装しているため、影響するのはLinuxで動作するARM搭載デバイスのFirefoxに限定されている模様。

実際にマーティン氏が、Linux搭載ARMデバイスのFirefoxでユーザーエージェント文字列を「aarch64」から「x86_64」に置き換えると、動画解像度の問題は解消されたそうです。

マーティン氏はこの問題について、Firefoxを開発するMozillaにバグとして報告を行っています。

1869521 - YouTube is capping resolutions to 1080 on Linux aarch64 user agents

https://bugzilla.mozilla.org/show_bug.cgi?id=1869521



ソーシャルニュースサイトのHacker Newsでもこの件が話題となっており、「YouTubeが故意にAsahi Linuxを狙っているとは考えにくいものの、該当するデバイスが一般的に性能が低いと仮定すれば、デフォルトで動画解像度を低下させるのは合理的に思える」といったコメントが寄せられていました。

YouTube is crippling Firefox on Asahi Linux? | Hacker News

https://news.ycombinator.com/item?id=38611248