by NASA Johnson

国際宇宙ステーション(ISS)で収穫されて行方不明になっていた「宇宙産トマト」が8カ月に越しに発見されました。トマトを収穫した宇宙飛行士はトマト盗み食いの疑惑をかけられていたのですが、トマト発見により盗み食いをしていなかったことが証明されています。

Space station astronauts solve the mystery of a missing tomato : NPR

https://www.npr.org/2023/12/10/1218418262/missing-tomato-international-space-station

ISSでは宇宙ミッション中の食料供給補助や火星での生鮮食品供給を可能にするために野菜の栽培実験が実施されています。今回発見された宇宙産トマトは栽培実験プロジェクト「Veg-05」で栽培されたもので、実験結果は宇宙空間だけでなく「庭に出られない高齢者が室内で園芸を楽しむ」といった地球上の限定的な環境での栽培にも応用できることが期待されていました。

宇宙飛行士の若田光一氏が2023年2月26日に投稿した以下のポストには、Veg-05でのトマト栽培の様子が記録されています。





その後、2023年3月29日にはISSの公式Xアカウントが「It’s harvest time!(収穫の時間だ!)」と投稿し、Veg-05で栽培したトマトが収穫時期を迎えたことを報告しました。





しかし、収穫されたトマトはサンプルとして保存される前に行方不明になってしまった模様。このため、収穫を担当した宇宙飛行士のフランク・ルビオ氏がトマトの盗み食いを疑われることとなりました。その後、地球に帰還したルビオ氏は2023年10月14日に実施された会見でトマトについて質問され、「トマトを収穫した際に、ほかの宇宙飛行士が地球の子どもたちとビデオ通話していました。そこで、宇宙で収穫された初めてのトマトを見せてあげたら面白いだろうなと考えました。トマトはベルクロでしかるべき場所にとどめておいたはずでしたが、戻ってきたらなくなっていました。8〜20時間かけて探しましたが、トマトは見つかりませんでした。多くの人は『彼がトマトを食べたんだ』と思っているでしょうね(笑)」「おそらくトマトはそれが何であるか分からないほど乾燥しているでしょう。誰かがゴミと間違えて捨てたかもしれません。小さなしなびた物が入ったジップロックが見つかれば、私がトマトを食べていないという事実が証明されるでしょう」と回答し、トマト盗み食い疑惑を否定しました。ルビオ氏の発言は以下のムービーの14分15秒頃から確認できます。

Astronaut Frank Rubio's Post-Flight Update (Official NASA Briefing) - YouTube

ルビオ氏が収穫したトマトは長い間行方不明の状態が続いていましたが、2023年12月7日に実施されたISS建設開始25周年記念インタビューの中でISSに滞在する宇宙飛行士のジャスミン・モグベリ氏が「私たちの友人がなくした物を見つけたかもしれません。フランク・ルビオは地球に帰還して以降長い間トマトを食べた犯人とされてきましたが、私たちは彼の無実を証明できます」と述べ、ルビオ氏が収穫した宇宙産トマトを発見したことを明らかにしました。モグベリ氏の発言は以下のムービーの16分29秒頃から確認できます。

Astronauts Talk with NASA Leadership for Space Station’s 25th Anniversary - Dec. 6, 2023 - YouTube

なお、ISSではトマトのほかにもレタスや唐辛子などが栽培されており、すでに複数の宇宙飛行士が宇宙産作物を食べています。

史上初の「国際宇宙ステーションで栽培された唐辛子」を使ったタコスを宇宙飛行士が食べる - GIGAZINE