3歳牡馬クラシックの最終戦となるGI菊花賞(京都・芝3000m)が10月22日に行なわれる。

 今年は、皐月賞馬ソールオリエンス、ダービー馬タスティエーラがそろって参戦。それら実績上位の馬が人気を集めそうな雰囲気だが、過去のレースを振り返ってみると、しばしば波乱が起こっている。現に過去10年の結果を見ても、5番人気の伏兵が2勝、2着5回、3着6回と、馬券圏内に何度も突っ込んできて、好配当を演出している。

 となれば、春のクラシック開幕前には「大混戦」と言われた今年の3歳牡馬戦線。穴狙いに徹してみるのも面白いのではないか。そこで、過去10年の結果を参考にして、今回のレースで大仕事をやってのけそうな穴馬をあぶり出してみたい。

 まず目につくのは、前走で古馬混合の2勝クラス(旧1000万下)、それも芝2200m以上のレースを勝ってきた馬である。なにしろ、このタイプの馬が過去に何度も激走を果たしているからだ。

 具体例を挙げると、2013年に3番人気で3着となったバンデ、2014年に7番人気で3着と健闘したゴールドアクター、2017年に13番人気で3着に突っ込んできたポポカテペトル、2018年に10番人気で3着入線を果たしたユーキャンスマイル、2020年に4番人気で2着に入ったアリストテレス、2021年に6番人気で3着と好走したディヴァインラヴらがそうだ。

 今年のメンバーのなかにも、この条件に当てはまる馬がいる。リビアングラス(牡3歳)である。

 同馬は、前走で古馬混合の2勝クラス・阿賀野川特別(8月20日/新潟・芝2200m)を逃げきり勝ち。およそ3カ月半の休み明けだったことを考えれば、今回はさらなる上積みも見込める。

 また、春にはGII京都新聞杯(5月6日/京都・芝2200m)で、勝ち馬サトノグランツ(牡3歳)とタイム差なしの3着と健闘している。そのサトノグランツは、菊花賞の前哨戦となるGII神戸新聞杯(9月24日/阪神・芝2400m)も制覇。ここでも人気上位が予想されるが、同馬との比較からリビアングラスにもチャンスの目は大いにありそうだ。

 次いでながら、実はこのリビアングラス以上に注目しなければいけない馬がいる。ドゥレッツア(牡3歳)である。

 というのも、同馬は前走で2勝クラスよりも条件が上の、3勝クラスのレースを勝ってここに挑んできたからだ。


過去データから一発への期待が膨らむドゥレッツァ

 ドゥレッツァは、昨年11月の未勝利戦で先述のサトノグランツを倒すと、そこから現在まで目下4連勝中。前走では3勝クラスの日本海S(8月19日/新潟・芝2200m)を曲者ぞろいの古馬相手に快勝した。重賞初挑戦がGIの舞台となるが、現在の勢いを考えれば、世代トップクラス相手に好勝負を演じても不思議ではない。

 しかも今回、同馬とコンビを組むのがクリストフ・ルメール騎手。同騎手は過去10年で2勝、2着2回、3着1回と、今年引退した福永祐一騎手(現調教師)に次ぐ好成績を菊花賞で残している。現役屈指の"菊花賞マイスター"であり、そのエスコートを加味すると馬券的には外せない存在となるのではないか。

 なお、今回のメンバーのなかには、前走で3勝クラスよりもさらに上の古馬混合の重賞、GIII新潟記念(9月3日/新潟・芝2000m)を勝って駒を進めてきたノッキングポイント(牡3歳)も名を連ねる。ただ、新潟記念は2000m戦。先にも触れているとおり、過去例に挙げた馬たちがすべて前走で芝2200m以上のレースを使っていたことを踏まえて、ここでは同馬の評価をあえて落とした。

 さて、次に注目したいのは、前走でGII札幌記念(札幌・芝2000m)に出走し、馬券圏内に入る好走を見せた馬だ。

 同レースも2000m戦だが、札幌記念と言えば、夏競馬の期間に行なわれる唯一のGIIレース。例年、秋の大舞台を目指すかなりハイクラスなメンバーが集結する。

 そうしたメンバーのなかに入って、3歳馬が馬券に絡む活躍を見せたなら、相当な実力の持ち主と見ていい。菊花賞での好走も十分に期待できるだろう。実際、2016年の札幌記念で3着(4番人気)と好走したレインボーラインは、続く菊花賞でも9番人気ながら2着と奮闘した。

 そして今年も、札幌記念で好走して菊花賞に挑む馬がいる。トップナイフ(牡3歳)である。

 同馬はダービーで14着に敗れたあと、前走で札幌記念(8月20日)に挑戦。古馬GI馬や重賞実績豊富な面々を相手に、9番人気という低評価を覆して2着と奮闘した。

 そもそも、同馬は昨年末のGIホープフルS(2022年12月28日/中山・芝2000m)でも、勝ち馬にハナ差の2着に入った実力馬。そのうえ、古馬のトップクラスを蹴散らしたとなれば、軽視は禁物だ。同馬の一発に期待してみるのも悪くはない。

 はたして、最後の一冠を手にするのはどの馬か。出走各馬にとって、未知の距離となる3000m戦ゆえ、思わぬ馬が激走を果たしてもおかしくない。それを実現するのが、ここに挙げた3頭のなかにいるかもしれない。