京都開催の菊花賞はスピードとスタミナの持続力が問われる 穴党記者注目の2頭は?
今週行なわれるGIは、3歳牡馬三冠の最終戦となる菊花賞(10月22日/京都・芝3000m)だ。
今年は、ソールオリエンス(牡3歳)とタスティエーラ(牡3歳)の参戦によって、二冠馬を除けば、春の二冠であるGI皐月賞(中山・芝2000m)の勝ち馬と、GI日本ダービー(東京・芝2400m)の勝ち馬が、23年ぶりに顔をそろえての菊花賞となる。
両馬は、春の二冠では着順を入れ替えてのワンツーフィニッシュを決めている。三冠最終戦となるここでも、この2頭が人気の中心になるのは間違いない。
さて、今年は改修工事を終えた京都で3年ぶりの開催となる。予想のうえでは、最も重要視すべきポイントと言えるだろう。その点について、デイリースポーツの大西修平記者はこう語る。
「最後の直線に坂が待ち構えていた阪神(過去2年に舞台)の菊花賞が"超スタミナ比べの一戦"とするならば、2周目の3コーナーからの下りで一気にレースが動くことが多い京都の菊花賞は、"スタミナとスピードの持久力が問われる一戦"と言っていいでしょう」
大西記者がさらに続ける。
「京都競馬場の3000m戦は、3コーナーの坂の上り下りを2度走る設定。スタート直後でリズムが整いきっていない1周目の坂の下りやその直後に、折り合いを欠く馬が出てくるケースが過去にも数多くありました。
心身ともに未完成で成長途上の馬が多い3歳馬にとっては、かなりタフな戦いになるのは明らか。求められる能力は、自然と近2年の菊花賞とは異なるのではないか、と考えています」
そうした舞台で「2強」を脅かす存在となるのはどういったタイプなのか。大西記者はこんな見解を示す。
「一発があるなら、速さとその"速さ"を維持できる持久力を兼ね備えたタイプだと思います」
そこで、大西記者は2頭の穴馬候補をピックアップした。
「1頭目は、リビアングラス(牡3歳)です。約3カ月半の休み明けだった前走の2勝クラス・阿賀野川特別(8月20日/新潟・芝2200m)を逃げきって快勝。2走前のGII京都新聞杯(5月6日/京都・芝2200m)では、先の前哨戦・GII神戸新聞杯(9月24日/阪神・芝2400m)も制した勝ち馬サトノグランツ(牡3歳)と、クビ、アタマ差の3着と好走しています。春のクラシック組が相手でも、ポテンシャルでは決して見劣りません。
また、母のディルガは2014年のオープン特別・忘れな草賞(阪神・芝2000m)の勝ち馬で、その後も牡馬相手の2600m戦、2200m戦で3着と奮闘。スタミナ十分の血統構成です。
一発の魅力が十分にあるリビアングラス
加えて、リビアングラスは未勝利戦(3月19日/中京・芝2000m)で道中10番手の位置から、向こう正面で早めに動いて勝利。自在性があり、操縦性が高いのも強みです。
キレるというよりも長くいい脚を使えるタイプで、京都新聞杯でも逃げて、上がり33秒9の脚を使っています。3コーナー過ぎの下り坂から勢いがつけられる京都コースは、間違いなく合うと思います。
あと、阿賀野川特別の勝ち馬からは、2017年のポポカテペトルと2018年のユーキャンスマイルが菊花賞で3着。本番へとつながる一戦を勝っての参戦もプラス要素になります。それにリビアングラスは、同レースでは過去10年でユーキャンスマイル(2分10秒9)に次ぐ時計(2分11秒3)で勝っており、一発の魅力が十分にある存在と言えるでしょう」
大西記者が推すもう1頭は、ショウナンバシット(牡3歳)だ。
「ダービー以来だった前走の神戸新聞杯は7着に敗れましたが、この夏の異常な暑さによって、体調がなかなか上向いてこなかったことが影響した印象でした。そんな状態でも、最後は上がり33秒2の末脚を繰り出して追い上げた点は評価していいと思います。
レコード決着となったレースで、勝ち馬からコンマ4秒差。非凡なスピードも秘めています。
この中間は、叩いた効果で明らかに体調は上向き。前走とは別馬のような雰囲気を醸し出しています。1週前の追い切りでも、栗東CWで主戦のミルコ・デムーロ騎手を背にして単走で追われ、馬場の真ん中をしっかりとしたストライドで伸びてきました。
前走時に比べて、毛ヅヤや馬体の張りもよく、このひと追いでさらに状態は上向くはず。本番には確実に前走以上の仕上りで臨めるでしょう。
1歳上の兄エヴィダンシアが芝2600m戦で勝っており、血統的にもスタミナ面は問題なさそう。管理する須貝尚介調教師も同馬の心肺機能の高さを評価しているように、3000mの距離にも対応可能と見ています。
鞍上のM・デムーロ騎手は、先週のGII府中牝馬Sをディヴィーナで勝利。いい流れにあって、三冠最後の一戦で大仕事を果たしても驚けませんよ」
春のクラシック馬が最後の一戦で雌雄を決するのか。はたまた、"第三の馬"が最後の一冠を手にするのか。後者であれば、ここに挙げた2頭もその候補であると言えるだろう。