巨人がドラフト1位で獲るべきはアマNo.1捕手 3位以下はファームで鍛えたい選手を
プロ野球の一大イベント、ドラフト会議が10月26日に開催される。今年の傾向を見ると、今までにないくらい大学生投手に逸材が集まっている。数年後のチームの運命を決するドラフト。さて、各球団どのような戦略に出るのか。阿部慎之助新監督を迎え、チーム再建に乗り出す巨人のドラフト戦略とは?
アマチュアナンバーワン捕手の呼び声高い上武大の進藤勇也
3期、通算17年にわたり巨人を率いた原辰徳監督が勇退し、阿部慎之助監督に代わった。就任直後のドラフト会議だけに、新監督の意向がどれだけ反映されるのかわからないが、今年の巨人が獲得したいのは、報道されているように「大学生投手」ばかりではない。それよりも、最優先に補強すべきは"捕手"である。
もちろん、巨人には今季レギュラーマスクを被り続けた大城卓三がいる。134試合に出場し、打率.281、16本塁打、55打点......年々キャリアハイを更新して、来季で7年目。脂の乗りきった時期であろうが、ディフェンス面、とくに配球、リード面で疑問を投げかけたくなるケースが何度かあったように思うし、関係者からもそのような話を聞いたことがある。
大城を見ていると、彼は「バットマン」ではないかと思う。たとえば、一塁を守らせたら、3割、30本塁打の能力を秘めているのではないか。「打」に専念すれば、タイトルだって可能だと見ている。
捕手は即戦力というわけにはなかなかいかないポジションだ。そしてプロで複数年、レギュラーを担える捕手も、そうは現れない。いる時に獲っておかないと、あとで困ることになる。
ならば、今年は捕手から。
進藤勇也(上武大/182センチ・90キロ/右投右打)は1位でないと獲れない捕手だ。たしかに、今年のドラフトは「大学生投手」のドラフトと言っても過言ではないほど、逸材が揃っている。まず大学生の投手をひとり確保してから、進藤を2位で......そんなプランも考えたくなるが、巨人はウェーバーとなる2位指名の順序が5番目。巨人の前に中日、日本ハム、ヤクルト、西武が控えていて、その4球団とも将来のレギュラーマスクが見えていない状況だ。早々と進藤を指名してくる可能性は十分に考えられる。
進藤は筑陽学園高(福岡)出身で、長野久義の後輩にあたる。上武大では早くからレギュラーマスクを任され、全国大会、国際大会の経験も豊富。メディアでも「アマチュア捕手ならまず進藤」というイメージが刷り込まれているほどの球歴の持ち主だ。
捕手は、この"経験値"というのが貴い。とっさの判断力と危機察知能力、ピンチを切り抜ける術......これらすべて、多くの修羅場を経験したからこその"特殊能力"となる。
進藤は大学での4年間、懸命に磨きあげてきたスローイング技術も備える。もともとキャッチングには定評があり、ヒジが横ぎみに回るクセも解消され、プロでも即トップクラスにランクインするほどの送球を見せる。
打つほうでは、おそらく下位打線からのスタートだろうから、本来のセンターから右中間への意識で無理することなく打てれば、2割5分は期待できる。
【ファームの布陣を強化】いずれにしても、1位か2位で進藤と大学生投手を獲得できれば、その先はひたすらファームの強化に励むのはどうか。
捕手と同様、「ショートストップ」と評されるような、頼りになる遊撃手もなかなかいない。
社会人の津田啓史(三菱重工East/181センチ・84キロ/右投右打)なら、来季すぐにでも門脇誠の強力なライバルになり得るポテンシャルの持ち主だ。もし津田が残っていなければ、松浦佑星(日本体育大/174センチ・74キロ/右投左打)、もしくは山田脩也(仙台育英高/177センチ・72キロ/右投右打)のどちらかを獲得したい。
ショートというのは身体的負担が大きく、消耗の激しいポジションだ。油断することなく補強しておかないと、いずれ困ることになる。
外野は岡田悠希、浅野翔吾、萩尾匡也ら、駒は揃っているから今回は見送ることにして、イキのいい投手がほしい。
篠崎国忠(修徳高/192センチ・102キロ/右投右打)は巨体でもボディバランスと制球力のよさで将来性を感じさせ、頭脳明晰で医学部志望の中山勝征(三重・高田高/178センチ・81キロ/右投右打)はタテのスライダーが魅力の快腕だ。
春からものすごい勢いで成長している東恩納蒼(沖縄尚学高/172センチ・70キロ/右投左打)がもし巨人に入ることになれば、新任の桑田真澄二軍監督はすごく喜ぶのではないかという予感がする。