竹俣 紅連載:『紅色の左馬』第5回

スポルティーバとフジテレビの競馬中継番組『みんなのKEIBA』とのコラボ企画、竹俣紅アナウンサーの連載『紅色の左馬』。第5回は、自らの本命予想のコーナーにおいて、これまでもさまざまなデータや血統などを駆使してきた彼女が、秋のGIシリーズを前にして、新たに加えた"要素"について語る――。

 猛暑のなか繰り広げられた夏競馬が終わり、『みんなのKEIBA』は中山競馬場のスタジオに戻ってきました。

 新潟競馬場や福島競馬場と違い、春に何度も通った中山は、自分のなかではすっかり慣れ親しんだ場所。競馬場へ向かう道すがら、直売所で売っている梨を買うのが週末恒例になりました。

 船橋の梨は、甘くて美味しいのは言うまでもありませんが、本当に水分が多くてみずみずしい。(ご当地キャラの)ふなっしーの決め台詞のとおり、まさに「梨汁ブシャー!」なのです!

 秋競馬も10月7日から東京開催へと移り、今年はもう梨の季節に中山に来ることはないと思います。でも、来年の秋も「また絶対に梨を買おう!」と早くも心に決めています(笑)。

 さて、10月に入って秋のGIシリーズがスタート。『みんなのKEIBA』の放送中も、スタジオの外から聞こえてくる歓声が大きくなり、「やっぱり、これがGIだよね」と、自然に気分も高揚します。

 この秋、最初のGIはスプリンターズS。私にとっては、新たな要素を加えて番組内の『本命予想』に臨んだ、初めてのGIレースでもありました。

 その新たな要素とは、レースの展開予想。頭のなかで全部の馬をスタートさせて、この馬はこの位置にくるんじゃないかと考えるのは楽しいですし、もしもそのとおりになったら本当にうれしい。そんなわけで、最近はレース展開を予想することにハマっています。

 きっかけとなったのは、今年9月の京成杯オータムハンデキャップでした。

 この時、私は過去のレース結果をもとにしたデータと血統で予想をしたのですが、大ハズレ。それまでの予想は、結果的に本命にした馬が外れたとしても、最後まで本命候補に残っていた馬が3着以内にくるなど、それなりには当たっていたのに、このレースに関してはカスリもしなくて......。

「これからどうしたらいいんだろう」と、めちゃくちゃ落ち込みました。

 そこで、予想に新しい要素を取り入れてみようと思い立ち、出走予定馬の特徴(どんなラップタイムのレースだと勝てているかとか、馬群を割ってくるのが得意とか)も調べて、ペースがどうなりそうか、それぞれの馬がどの位置につけそうかなど、レース展開の予想を加えてみることにしました。

 すると早速、ローズSのマスクトディーヴァやマラキナイア、オールカマーのローシャムパークやゼッフィーロを的中させることができ、手応えは十分。これはいけそうだと思い、「いざ、スプリンターズS!」となりました。

 過去のレース映像を見直し、出走各馬がどんな位置取りをしていて、結果的にどんな着順になったのか。それを図にして、自分なりに分析した結果、スプリンターズSでは外を回すと厳しく、内からうまく伸びてくる馬がいいとわかりました。

 1番人気のナムラクレアは1枠1番。内から抜け出すには絶好の枠に入ったように思えますが、ナムラクレアの過去のレースを振り返ってみたところ、同馬は好位につけて外から差してくることが多い馬。昨年のレースでも外を回して、5着に終わりました。

「もしかして、内から馬群を割って抜け出してくるのが苦手なのかも?」「となると、内枠が不利に働く?」「だとすれば、人気のナムラクレアに代わって、最後の直線で多少ごちゃつく展開になっても内から抜け出してきそうな馬を狙ったほうがいい?」

 そんなことを思って、私が本命に選んだのはオールアットワンス。前走のアイビスサマーダッシュでの力強い抜け出しがこのレースでも生きそうかなと思い、中山コースの勝利経験もあったので「一発あるかも!」と思ったからなのですが......結果は13着と、私の予想は大きく外れてしまいました。

 スタジオの有識者の先生方によると、オールアットワンスは長期休養を経てすごく成長が見られるものの、走法が千直に合っている馬で、中山のようなコースだと適性が下がってしまうとのこと。走法というものを考えたことがなかったので、またひとつ勉強になりました。

 とはいえ、今年勝ったママコチャと、ハナ差2着のマッドクールは、本命にはしませんでしたが、候補の馬ではありました。中山の馬場改修後のスプリンターズS(過去8年)を振り返ると、勝ち馬はすべて重賞勝ちの実績があったので、最終的にこの2頭は本命から外してしまったのですが、事前に公開していたYouTubeの予想動画内では、「過去のデータを超えてくるとしたら、この2頭かな」と予想していました。

 それがわかっていて、なぜ本命にしなかったのか......。今思うと、大失敗!

 それでも、そこに至る過程では当たっていたところもあったり、外れたところもあったり、そういったすべてを含めて「競馬って、面白いな!」と、改めて思えたレースでした。

 スプリンターズSのあとの毎日王冠でも、ラップタイムやそれぞれの馬の過去の走りから展開を予想。開幕週の良馬場でも意外とペースが落ちつくのではないかと考えました。最後は中団からの瞬発力勝負になりそうと思い、道中緩まないラップでも大丈夫で、位置取りが後ろすぎず、瞬発力を発揮できそうな馬、ソングラインを本命に。

 結果は惜しくもハナ差で2着でしたが、予想どおり、開幕週にしてはスローなペースで、瞬発力勝負に! その点では予想がぴったり当たったので、うれしかったです。今後も展開予想には力を入れ、頑張ってみようと思っています。

 続く秋のGI第2弾は、秋華賞です。

 やはり注目は、牝馬二冠を遂げているリバティアイランド。ひと夏越して、鞍上の思いのとおりに走れる大人のレディになっているのか。それとも、まだまだわがまま娘のままなのか。手綱をとる川田将雅騎手から彼女の性格にまつわる話を直接伺えたこともあり、私にとってはとても気になる一頭です。

 もちろん、リバティアイランド以外にも、ハーパー、マスクトディーヴァなど、楽しみな馬がたくさんいます。春のGI当時は、まだ競馬番組を担当し始めた直後だったので、"初めまして"の馬ばかりでしたが、逆に今はレースを見ていると、知っている馬だらけなのがうれしいです。

『みんなのKEIBA』のMCになって、およそ半年。秋のGIシリーズは、春とは違ったワクワクが味わえそうです。

Profile
竹俣 紅(たけまた・べに)
1998年6月27日生まれ。東京都出身。2021年フジテレビ入社。
趣味:おいしいおそば屋さん巡り ウォーキング ガチャピン
モットー:元気に、地道に、前向きに

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