元RIZINガール・あきぴ インタビュー前編(全2回)


総合格闘技デビューへ向け練習を積んでいるあきぴさん

【ラウンドガールを終え7キロ増加!?】

 2021年に総合格闘技イベント「RIZIN(ライジン)」のラウンドガールである「RIZINガール」に選ばれ、2年間活躍したあきぴさん。

 自身、4児の母でありながら、すらりと均整のとれたスタイルで注目を集めた。3年目の選考には惜しくも落選してしまったが、現在は格闘技に取り組みトレーニングを続けていると聞きつけ、ジムを訪ねた。

 Tシャツにレギンス姿で現れたあきぴさんは、テレビやインターネットで見ていたスレンダーなイメージとはずいぶん違った。肩や腕、体幹がたくましい。「予想以上に、なんだか強そうですね」と言うと、彼女は笑顔で答えた。

「強そうって言われるのはうれしいです。私、めちゃくちゃ強くなりたいんです。じつは、RIZINガールを卒業した7月末あたりから、ひと月ちょっとで7キロ増やしたんです。さすがに割れていた腹筋はかくれちゃいましたね(笑)。

 今はとにかく食べる量を増やしていますが、ラウンドガール時代と変わらず、トレーニングを継続しています。朝に子どもたちを小学校に送り出してからジムに来て、キックボクシングと柔術のクラスに連続で参加し、終わったらお迎えにいく。平日はだいたいこんな感じで、週に5〜6日練習してますね」

 短期間で見た目の印象がガラッと変わるほどの筋肉の増量。どこまで増やすのだろう。その目的とは?

「RIZINガールをやめることになったのは残念ですが、せっかく人生で格闘技というすばらしいものに関わることができたのだから、これからは競技をする側として格闘技と向き合っていきたいと思うようになったんです。

 近い目標は、柔術の大会で結果を残すこと。今は体重が58〜59キロあって、食べる量が少ない日があるとすぐに落ちてしまいます。60キロをキープしつつ、パワーをつけながら大会前に減量し、フェザー級(※日本ブラジリアン柔術連盟の大会では柔術着を着た状態で58.5キロ)に出場する予定です」


4人の育児をしながら日々ジムへ通ってトレーニングをしている


RIZINガール時代のあきぴさん photo by ©RIZIN FF

【総合格闘技で1本勝ちしたい】

 今年9月、あきぴさんは柔術の青帯を取得した。一般的に、習い始めてから真面目に練習を積み、白帯から青帯に昇格するのに2年間かかると言われている。柔道でいうところの黒帯に相当するのが青帯だ。格闘技の次なるステージにも意欲を見せる。

「じつは、総合格闘技(MMA)の大会にも出たくて。出場条件として、柔術青帯になる必要がありました。しっかり準備して、MMAで1本勝ちできるようになりたいです。と言っても、まだまだ下手すぎて腕十字と三角締めができるくらいなんですが」


9月半ばに柔術の青帯を取得した

 打撃ありの格闘技に挑むにあたって、殴ることへの抵抗、殴られることへの恐怖はないのだろうか。

「殴られるのは、そりゃ、怖いですよ! スパーリングをしていても、いまだにパンチが飛んでくると目をつぶっちゃいます(笑)。でも、それより殴ってみたい気持ちが強いですね。

 RIZINの試合を観ていて、スタンドでフックを打ち抜いてKOしたり、パウンドを打ち下ろす選手の姿が目に焼きついています。輝いているし、めっちゃ気持ちよさそうだし。もちろん、今まで人を殴ったことはないので、やる時は嫌いな人の顔を思い浮かべながらですかね(笑)」

 MMAに必要なレスリングやグラップリング(※打撃なしで寝技主体の組み技格闘技)の技術はどうやって習得しているのか?

「柔術のかたわら、ノーギ(※柔術着を着ないで行なう柔術の組み技クラス)の練習もしています。先日、大会にも出ました。それ以外の技術は、ジムで週1〜2回、パーソナルトレーニングで教えてもらっています。寝技に持ち込む闘いをするため、テイクダウンを練習中です」


RIZINガールの経験から格闘技に憧れを持った

 憧れの選手や目標とするファイトスタイルとは?

「寝技の攻防がある試合が面白いと感じるので、(RIZINライト級王者の)ホベルト・サトシ・ソウザ選手、(元RIZINフェザー級王者の)クレベル・コイケ選手など柔術をベースにしたファイトスタイルでサブミッションを狙う戦い方に憧れます。

 女性では(RIZIN女子スーパーアトム級王者の)浜崎朱加選手が好きですね。ファイターとしてはもちろん、人間性も。以前、浜崎さんがファッションブランドとコラボした際のイベントに参加したんです。恐れ多くてこっちから話しかけることはできなかったんですが、浜崎さんは私がRIZINガールだと気づいてくださって。忘れられない思い出です。

 あと、トフィック・ムサエフ選手とジョニー・ケース選手も好みです、イケメンなので(笑)」

【11月に格闘家デビューが決定】

 ここまで話を聞けば、あきぴさんのMMAの闘いを早く見たい。

「まずは私がしっかりMMAの技術を身につけ、まともに戦えるレベルになること。そのうえで、格闘技に取り組んでいる相手と対戦したいです。

 本気でやっているので、単なる話題づくりにはしたくないし、相手にもそう思ってほしくないんです。ジムにはいろんなオファーが来ているみたいなんですが、マネージャーさんが私の将来を見据え、一番いい相手とのマッチメイクを考えてくれています」

 先日、格闘家デビュー戦が決定。グラップリングルールでの試合に初めて挑むこととなったのだ。11月23日、東京・ニューピアホールで開催の「DEEP JEWELS 43」で横瀬友愛選手(BELVA)との対戦。MMAデビューへ向けての試金石となる一戦への意気込みは?

「この2年間、日々積み上げてきた練習、格闘技と真剣に向き合ってきた気持ちが間違いじゃなかったと証明できるような試合にしたいです」


11月23日にはグラップリングルールのマッチで格闘家デビューを果たす

 最後に、将来の大きな目標を語ってくれた。

「RIZINガールとしてリングに上がっていたけど、いつかRIZIN選手としてリングに上がりたいです。こんなことを言うとバカにされるかもしれません。でも、目標はそれくらい大きいほうがいいじゃないですか。

 やる気がでますし、日々、充実しています。3年前までは毎日4人の子育てに追われる専業主婦だった私が、表舞台に立つことができ、総合格闘技のジムに通い、柔術の青帯をとれたのだから、努力すればできないことはないと信じています」


ジムでインタビューに応じたあきぴさん



後編<介護の仕事、キャバクラ勤め、流産、DV、離婚...つらい20代を経てRIZINガールから格闘家へ あきぴが振り返る「不思議な人生」>を読む

撮影協力/ABLAZE八王子

【プロフィール】
あきぴ 
1988年、山梨県生まれ。2020年からライブ配信サービス「17LIVE」のライバーとなり人気を集める。2021年に「RIZINガール」のオーディションに合格し、約2年間、総合格闘技イベント「RIZIN」のラウンドガールを務める。現在は自身が格闘家になるべく、トレーニングを続けている。4児の母。