ソウルスターリングの初子、スターリングアップに対する陣営の期待度「素質馬だからこそ、中途半端なことはしたくない」
厳選!2歳馬情報局(2023年版)
第18回:スターリングアップ
2017年の3歳牝馬クラシックで活躍した名牝の初子となる2歳馬がデビューに向けて調整を進めている。
栗東トレセンの松永幹夫厩舎に所属するスターリングアップ(牝2歳/父ブリックスアンドモルタル)である。
ソウルスターリングの初子となるスターリングアップ
冒頭で触れた同馬の母とは、ソウルスターリング。フランスオークスをはじめ、欧米のGIを6勝した名牝スタセリタと、欧州のGIを10勝した怪物フランケルの間に生まれた彼女はデビュー前から高い注目を集めていた。
そして実際、デビュー3連勝でGI阪神ジュベナイルフィリーズ(阪神・芝1600m)を制覇。前評判どおりの結果を残すと、3歳初戦のGIIIチューリップ賞も快勝し、クラシックの最有力候補となった。
迎えたクラシック初戦、GI桜花賞(阪神・芝1600m)では圧倒的な支持を集めたが、まさかの3着に終わった。しかし、続くGIオークス(東京・芝2400m)では見事にリベンジ。好位2〜3番手でレースを運び、直線早めに先頭に立つ横綱相撲の競馬で完勝し、戴冠を遂げた。
ただ以降は、強豪古馬との戦いに挑んで善戦どまり。ケガなどの影響もあり、古馬になってからも勝利を挙げることはできなかった。ともあれ、GI2勝と世界的な良血馬にふさわしい活躍を見せた。
そのソウルスターリングが繁殖牝馬となって、初めて生んだ子がスターリングアップ。同馬について厩舎スタッフはどう見ているのか。関西競馬専門紙のトラックマンがその様子を伝える。
「スターリングアップについて、スタッフは『これだけの血統ですが、確かにそれに見合うだけのいいものは持っている』と話していました。馬体重は430kgほどで、『芝向きのタイプではないか』とのこと。ここまでアクシデントもなく、すでにゲート試験も受かるなど順調にきています」
ゲート試験をクリアし、陣営はそのままデビューという青写真も描いていたようだが、ここにきて今一度、放牧に出すことを決断した。その理由について、先述のトラックマンが明かす。
「陣営によると、スターリングアップは『まだ精神的に幼く、気性面で難しい面が出てしまっている』という話です。それに付随して、追い切りの際には『ハミ受けのバランスがまだ整っていない』と言っていました。そこで、あまり精神的に追い込ませないよう、一度放牧に出してリフレッシュすることにしたみたいですね。
『期待馬だからこそ、中途半端なことはしたくない』とスタッフ。それだけ、陣営も見込んでいる素質馬ということでしょう」
デビューはもう少し先になりそうだが、スターリングアップに対する関係者の期待は相当なもの。はたして、偉大な祖母や母にも劣らぬ活躍を見せられるのか。話題の素質馬の動向から目が離せない。