2001年に日本で初めて導入された「女性専用車両」。痴漢行為などの性暴力・性犯罪から女性を守ることを目的とした車両で、初導入から約22年が経った現在、大都市圏の鉄道路線のほとんどで採用されています。

2023年9月初め、そんな日本の女性専用車両へ乗り込んだ「男性※」が、その様子を撮影してTikTokへ投稿。国内外のユーザーから非難の声があがっています。

女性専用車両は、小学生以下の男子や身体の不自由な方、その介助者の男性に限って利用可能。

「日本のような“自由”な国で見られるとは…」

2023年9月5日、35万人以上のフォロワーをもつオーストラリア人TikToker(@shearingshedvlogs)が、日本の女性専用車両へわざと乗り込み、車内や乗客をモザイクなしで写した動画を撮影。「日本に来て衝撃を受けたこと」としてTikTokへ投稿しました。

投稿主の男性は、動画内で「この車両に女性しか乗っていないことをチェックしている」と話しながら車内を歩き、最後に乗客を写してからようやく女性専用車両を後にしました。

投稿のキャプションには、女性専用車両に対し「日本のような“自由な国”で見られるとは思わなかった」と綴り、次のように続けました。

「(日本の女性専用車両は)厳格な「Segregation rules(隔離・分離政策)※」が存在する国で見られる光景を思い起こさせます。日本の公共の場で厳格な“男女の分離”を見ることになるとは思ってもみなかった」※人種的な理由から、特定の集団が他の集団から分けられることを指す場合が多い。

国内外から非難の声が殺到

問題の動画には、現在3万件を超えるコメントが寄せられており、その多くが男性の行動や考えを非難するものとなっています。

海外のユーザーからは「(女性専用車両が存在するのは)あなたのような迷惑行為を働く人を遠ざけるため」や「失礼すぎる」といった声が上がり、なかには「女性のための安全な空間を脅かすなんて信じられない。『セクシュアルハラスメント(セクハラ)』すら知らないの?」と、そもそも女性専用車両が導入された本来の目的をわかっていない、と指摘するコメントも。

ほかには「女性専用の車内に入っていったの? ほかの男性の顔にも泥を塗る行為」と、同じ男性として恥ずかしく思っていることをにじませるコメントも見られました。日本語のコメントもいくつか見られ、そのすべてが男性の行為を厳しく非難するものに。

一方で、国内外のユーザーから非難を受けたにも関わらず、男性はその後も日本滞在の様子を映像におさめ、TikTokに動画を投稿し続けていたもよう。

世界の「女性専用車両」事情

この問題で国内外から注目を集めた日本の女性専用車両ですが、世界には日本以外にも女性専用車両を導入している国や、もともとあったけれど今は廃止した国が存在します。

たとえば現在は女性専用車両を廃止しているイギリスでは、議員から「女性の行動を制限することが女性を安全に守ることにはならない」として、これが犯罪を常態化することにつながると指摘がなされたことも。

一方で、日本の女性専用車両と同様に「性犯罪や性暴力から女性を守る」という目的で、エジプトのカイロ地下鉄やブラジルのリオデジャネイロ地下鉄、インド、フィリピン、インドネシアの一部路線では、女性専用車両が導入されています。