帝国データバンクは25日、「中国の対日輸入規制による日本企業の影響調査」の結果を発表し、日本産水産品の全面輸入停止措置が日系企業700社に影響を与える可能性を示した。中国向け輸出を行う企業数は近年増えており、また、それら企業における販売額に占める中国の割合も大きい。販売先としての中国の重要度が高まる中での今回の措置は、日本の関連産業に直接・間接的に影響がおよぶと見られる。

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 農林水産省は26日、原発処理水の海洋放出後最初の検査結果として、福島第1原子力発電所の周辺海域の魚類が含むトリチウム(放射性物質)の濃度が、検出限界値を下回ったと発表した。今後約1カ月間に渡り、同様の検査を毎日実施する方針で、風評被害の抑制を狙う。

 原発処理水の太平洋への放出は24日に開始したもので、多くの科学者がその安全性を認め、国際原子力機関(IAEA)も計画を承認したが、中国など一部の国・地域から抗議の声が出ていた。中国は、24日の放出直後、日本産の水産品について全面輸入停止措置を発表した。

 かかる状況下、帝国データバンクは25日「中国の対日輸入規制による日本企業の影響調査」の結果を発表した。2023年8月時点で中国(香港を含む、以下同じ)へ直接・間接的に輸出する日本企業は9,270社あり、2019年調査時点の5,045社から83.7%増えたことが分かった。

 産業別の企業数では、漁業を含む「食品関連」が7.8%(727社)で、自動車・電化製品・製造機械などの「機械・設備」の約4割(3,503社)に次いだ。「食品関連」のうち、鮮魚卸や水産加工など、中国政府による今回の措置の影響を受けるだろう企業の割合は1.8%(164社)だった。

 また、対中輸出を行う日本企業の販売額に占める中国向け販売の割合は、全産業平均で42.8%と高く、さらに食品産業は50%を超えた。日本食ブームを背景に、販売が拡大しており、中国が重要な販売先であることを改めて確認できた。