男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

-果たして、あの時どうすればよかったのだろうか?

できなかった答えあわせを、今ここで。

今週のテーマは「好意を寄せていたはずの男からの告白を断った理由は?」という質問。さて、その答えとは?

▶【Q】はこちら:「一緒にいる時間が好き」と言ってきた女性。なのに3度目のデートで告白したらフラれたのはなぜ?




目の前に座る洋平の様子を見ながら、私は心のどこかで首を縦に振る。

「あのさ。僕最初見た時から由香ちゃんのこといいなと思っていて」

それは知っている。何となく気がついていたから。

「ありがとうございます」
「もう3回もデートしているし、そろそろ次に進みたいなと思っていて…」
「ですよね」

そう思っているのも前回のデートで気がついていた。

「由香ちゃん、僕と結婚を前提に付き合わない?」

洋平のことは、いいなと思っていた。今回は、どうしても首を縦に振れなかった…。

― 違うタイミングだったらYESだったかもしれないのに。

そう思いながら、私は後日丁寧に洋平の告白をお断りした。


A1:興味があるからいいなと思っていた


洋平と出会ったのは、友人の彩美の紹介だった。前回付き合っていた彼氏に浮気された私は、若干男性不審にも陥っていた。

でも彼氏は欲しい。そう思っていたタイミングで、彩美が紹介してくれた洋平。

まずは彩美と私、そして洋平の三人で『赤坂 おぎ乃』で食事をすることになった。




「由香ちゃん、すごく可愛くていい子なんだけど前の彼氏にひどい裏切られ方をして。だから洋平さんのような、優しい人がいいと思うんだよね」

あけすけな紹介の仕方だったけれど、彩美が親切心で言ってくれているのはわかっていたので、とりあえず私は洋平に対して笑顔を作る。

「洋平さんは今自分で会社をやっているんだけど、とにかく優しくていい人なの」

身長は170cmくらいだろうか。爽やかで、優しそうな印象を受ける。「年齢はたぶん30代半ばかな?」そんなことを考えながらじっと洋平を見てしまう。

「由香ちゃん、かわいいでしょ?」

急な彩美の無茶振りにも、笑顔で対応してくれる洋平。

「うん、めっちゃ可愛い。むしろ可愛すぎて緊張してきた」

その反応が可愛くて、私は思わず笑ってしまった。

「そんなことないですよ〜。洋平さんも、想像していた人と全然違いました」
「え?どういうこと?」

― いい人だな。

そう思ったし、私たちはすぐに次には二人きりで会う約束をした。




そして迎えた初デート。洋平は、西麻布にある素敵な会員制のレストランバーを予約してくれていた。

「洋平さんって、いつもこういうお店に来られているんですか?」
「そうだね…まぁ多いかも」

今回で二度目だけれど、今日も素敵な洋平。ちなみにこのお店は、一度来たかったお店でもあった。

「さすがですね。洋平さんって何のお仕事でしたっけ?」
「僕はITコンサルの会社を経営していて」
「すごいですね!ちなみに、今洋平さんは彼女さんとかいらっしゃらないんですか?」

経営者で、爽やかで優しい洋平。かなり女性から狙われそうなのに、どうして彼女がいないのだろうかと不思議にも思う。

「え?もちろん。じゃないと紹介なんて受けないし…。由香ちゃんは?今好きな人とか彼氏とかいないの?」
「今はいないんです。なので探していたところ、彩美から『由香が好きそうな人がいる』って洋平さんのこと紹介してもらって」
「そうだったんだ」
「洋平さんカッコいいし、彩美に感謝です」

この東京で、素敵な独身の男性を見つけるのは難しい。この出会いには何かしらの意味があるのかもと期待してしまう。

「嬉しいな…。由香ちゃんが嫌じゃなければ、また誘ってもいいかな?」
「もちろんです!」

誘われて、嫌な気はしない。だからもちろん二度目のデートもOKだった。

この時点まで、私はかなり洋平のことを“アリ”だと思っていた。


A2:場所もタイミングもズレていたから


初デートからもう一度デートをし、迎えた三度目のデート。ただ前回のデートから3週間空いており、その間に私はいろいろと冷静に考えてしまうこともあった。

― いい人だけど、付き合ったら楽しいのかな…。

女は、一度冷静になるととことん冷静になってしまう生き物だ。勢いのまま流れに流されたら良かったかもしれないけれど、若干微妙な気持ちになる。

でも今回も洋平は、素敵なお店を予約してくれていた。

「相変わらず、洋平さんのお店選びのセンスって最高ですね」
「本当に?そう言ってもらえると嬉しいな」

焦っておらず、口説いてもこない洋平。洋平が私に対して好意を寄せてくれているのはわかっている。

― 洋平さん、いいかも…。

何より私は、このペースが好きだった。

3回デートをしたくらいだとまだわからないし、洋平も無理に口説いてこない。大人の余裕を感じ、素敵だと思う。

すぐにガツガツ口説いてくる男性は信用がおけない。

「由香ちゃんって、結婚願望とかあるの?」
「私ですか?すっごくあります」
「そうなんだ(笑)。その熱量、伝わってきた」
「洋平さんは?結婚願望ありますか?」
「うん。僕も次に付き合う人とは結婚したいと思ってる。子どもも欲しいし」
「わかります!私も早く子どもが欲しくて。洋平さんと私って、結婚観似ていそうですよね」




結婚願望があるのもいい。そう思っていた。だから私は、思っていることを素直に伝えてみた。

「そうだよね!わかるな〜」
「洋平さんと一緒にいる時間、私好きなんですよね」

でもここから、何となく嫌な流れになってきた。

「由香ちゃん、今彼氏欲しいって言ってたよね?」
「はい」
「そっか、了解」

30年も生きてきていると、察する能力が備わってくる。洋平の態度的に、何か私に言いたいことも、嫌でもわかってしまう。

「了解ってなんですか(笑)」
「由香ちゃん。次は、昼会わない?お酒抜きで」
「もちろんです。そうしましょう」

― さすがにお昼だし、ないよね…?

そう思いながら解散した。でもこの嫌な予感は的中してしまうことになる。

3週間後。洋平が指定してきたのは、外苑前にあるみんながよく行くお洒落なホテル内のカフェだった。




「昼間に会うの、なんか照れるね」
「そうですよね。新鮮です。洋平さんここのカフェよく来るんですか?」
「うん。打ち合わせとかにたまに使うよ」

ここは港区民の新メッカ。エントランスで私の友達にも会った。

「私も、ここよく友達とお茶しに来ていて。さっきも友達がいたんですよ」
「人気だもんね」

しかも時刻はお昼過ぎ。

陽も明るいしお酒も入っていない。周りには知り合いもいる。

― 今じゃないよね…?

そう思っていた。でも洋平の話はどんどん進んでいく。

「あのさ。僕最初見た時から由香ちゃんのこといいなと思っていて」
「ありがとうございます」

― やめて。ここではないよ?

そう心の中で訴える。でもこの訴えは、洋平には届かなかったようだ。

「もう3回もデートしているし、そろそろ次に進みたいなと思っていて…」
「ですよね」
「由香ちゃん、僕と結婚を前提に付き合わない?」

どうして今、こういう状況で言うのだろうか。

今まで散々個室がある良いお店に連れて行ってくれていたのに、告白だけ真っ昼間の、しかもどこで知り合いに会うかもわからないようなお洒落な港区のカフェでする洋平。

「えっと…洋平さん、えーっと…」

タイミングも場所も、何もかもが違う。

もっと早くに告白されていたら違ったかもしれないし、そしてこんなシラフな状態でなければ違ったと思う。

― 人生、タイミングって大事よね。

そう思いながら、私は丁重にお断りをした。

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