2023年1月にGoogleがARヘッドセットを開発する「Project Iris」を進めていることが報じられました。しかし、GoogleがProject Irisを中止し、ハードウェアではなくソフトウェアの構築に注力していると報じられています。

Google has reportedly killed its Project Iris augmented reality glasses - The Verge

https://www.theverge.com/2023/6/27/23776144/google-project-iris-ar-glasses-goggles-dead-alive

2022年、MetaやMicrosoftがメタバース構想に向けてVRやARに取り組み出した中で、GoogleがARヘッドセットの開発を進めていると報じられました。この開発プロジェクトは「Project Iris」と呼ばれ、2024年にリリースすることを目標に進められていたとのこと。

Googleの次期ARヘッドセット「Project Iris」の情報がリーク - GIGAZINE



その後、2022年5月に開催された開発者向けイベント「Google I/O 2022」では、相手の話す言葉をその場で文字起こしして自動翻訳してくれるARグラスの存在が明らかにされました。

Googleが「相手の話す言葉を字幕化&自動翻訳してくれるスマートグラス」の存在を明らかに - GIGAZINE



さらにGoogleは2022年7月に、ARグラスのプロトタイプを実世界でテストすると発表しました。このテストが実際に実施されたかどうかは不明ですが、その後はGoogle製ARグラスについての続報はほとんどありませんでした。

Googleが翻訳やナビゲーションを行う次世代ARグラスの実世界でのテストを開始すると発表 - GIGAZINE



ニュースメディアのInsiderに匿名の内部関係者が語ったところによると、Project Irisは戦略の変更を幾度も繰り返し、チームの方針転換も何度も行われたため、多くの従業員がイライラしていたとのこと。さらに、VR・AR部門責任者だったクレイ・ベイパー氏が2023年1月の大規模レイオフの時に退職したことがプロジェクト廃止の決定打となったそうです。

Insiderによれば、GoogleはARグラスやヘッドセットのようなハードウェアではなく、ソフトウェア面の開発に注力しているとのこと。GoogleがAndroidをさまざまなスマートフォンメーカーに提供しているのと同じように、ARヘッドセットメーカーにライセンス供与できる「micro XR」プラットフォームを構築しているそうです。

ただし、Google社内でARヘッドセットを開発するプロジェクトは中止となったものの、GoogleはSamsungやQualcommと共同で複合現実(MR)ヘッドセットの開発に着手することを2023年2月に発表しています。

SamsungとGoogleとQualcommが手を組んで新しいAR/VRを開発中 - GIGAZINE



また、GoogleのAR技術開発のチームは完全に解散になったわけではなく、チーム人員の多くがSamsungとQualcommとの共同開発プロジェクトに異動となったものの、一部のメンバーはまだGoogle社内で開発を続行しているとのこと。そのため、Project IrisのようにGoogle独自でARヘッドセット開発を進める可能性はあるとInsiderは報じました。