日本では6割の夫婦が陥ると言われるセックスレス。「恋愛と結婚は別っていうけれど、セックスする相手はそれともまた別なのかも」と語るのは主婦の翔子さん(仮名・52歳)。経済的な安定を求めて結婚した夫とは、産後からすぐにレスになってしまったといいます。そんなとき、女友達と飲み会でレスの話題になって…。

「いい母親にならなきゃ」に押しつぶされそうで…

私は中高一貫の女子校で過ごし、短大へ進学しました。社会人になってからも、学生時代の仲よし4人組とはよく集まって飲みにいくほどの仲。利害関係のない友人たちは、今も人生の宝物のような存在です。

●まったくタイプじゃない男性と結婚してしまいました

仕事は歯科衛生士で、院長以外みんな女性という職場。これといった出会いもないまま30代が迫ってきた頃、仲よしグループのメンバーが次々と結婚していったのです。内心、かなり焦りましたね。私だけ取り残されてしまったかのようで…。

そんなとき、歯科医院の患者だった夫と知り合いました。2歳年上で、地元の名士として知られる家柄の次男。院長と彼のお父さんが毎週ゴルフへ行くほど親しく、向こうが私に好意を持っていると知るや否や「こんないい条件の相手はいない。恋愛と結婚は別なんだよ。絶対逃しちゃダメだよ」と猛プッシュされる形で結婚することになりました。

そして、翌年には待望の女の子が誕生。ここからまさかの18年間、夫とレスになってしまうなんて、このときはまだ想像もしていませんでした。

●私は子育てに向いてなかった

子どもを産んでから気がついたのですが、私、子育てに向いていないタイプだったんです。けれど世の中的に、そういう本音を言うことが許されない空気がありますよね。産後うつもあったのかもしれませんが、毎日つらくてつらくて。

周りのママたちの充実感にあふれた子育てを否定する気はありません。ただ自分の本音とのギャップが大きすぎて…。いい母親であろうとすればするほど、本来の自分からどんどん遠くなっていくような感覚に。育児が苦しくなってしまいました。

●子育てから逃れるために働きに出た

夫は子どもが3歳になるまでは、私に家にいてほしいと言っていたのですが、私は最初の数か月で限界が来てしまいました。周囲に大反対されながら、子どもを保育園へ入れるために働きに出ることにしたのです。もちろん表向きは「仕事がしたい、社会とつながりたい」とキレイごとを言って…。けれど、本当はもう子どもの泣き声を聞くだけで頭がおかしくなりそうというくらいに追い詰められていました。

このよう背景で、娘は生後半年のときに保育園に入り、私は歯科衛生士として仕事復帰をしたのです。

育ちがいいからか、性格も抜群にいい夫は娘を溺愛。私のわがままも最終的には許してくれました。いっぱいいっぱいになっている間も、常にニコニコしながら娘と向き合い、おむつ替えも沐浴も、なんでも器用にこなしていくのです。すごく助かったけれど、夫がなんでもできちゃうから、そういうのも全部プレッシャーになっていました。

けれど娘が保育園へ通い始めて、物理的にも時間的にも少し距離ができたら、だんだんと私の精神状態もよくなっていきました。

ぽっかりあいた胸の隙間を埋めてくれたのは友達

結婚してすぐの頃は「子どもがほしい」と夫から猛烈に求められてきました。しかし妊娠が判明するとパッタリなくなり、夫婦生活はその後、子どもが2歳になっても一向に再開する気配が見えず。

●学生時代の女友達もみんなレスに陥っていた

ある日、久しぶりに学生時代の仲よし組で集まったときのこと。そこでレスのことが話題になりました。私より数年先に結婚していた彼女たちもまた同じように妊娠、出産、育児がきっかけで夫婦生活が立ち消え、レス解消の兆しが見えない状況だったのです。

「面倒くさいからこのままなくてもいいけどね」「私は2人目欲しいから、なんとかしないと」「うちは旦那がもうできなさそうなんだよね、仕事で疲れているみたい」と友人の話を聞きながら、あれ? うちはなんでレスなんだっけ? と思いました。それでパッと

口からでた答えが「私は夫のこと、そんな好きじゃないんだ」だったのです。みんなに「え? 翔子はなんで結婚したの?」と聞かれ「みんながどんどん結婚しちゃうし、ボスの院長にも猛プッシュされて、なんか逃げられなかったんだよね」とぽろり。それが本音でした。

それ以上でも以下でもなかった夫との結婚。娘のこともかわいくないわけじゃないのですが、育児はうまくいかなかったし、先の見えないレスに陥って、真っ暗なトンネルの中にいるような気持ちをみんなに吐露しました。親にも夫にも言えなかった本音に友人たちは共感してくれて。結婚してからの数年間、ずっと心の重石になっていたものの原因が分かって、この日の帰りはスッキリした気分になれました。

●息抜きのためにちょこちょこ飲みに行くことにした

家に帰ると、晴れやかな顔をしている私のことを夫は暖かく迎え入れてくれました。どこまでも優しい人なんですよね。夫は「娘のことは僕が見ているから、こうしてお友達と息抜きしにいきたくなったら、いつでも言ってね」と。

夫は実家の家業を継いでいて、仕事の休みや働く時間もフレキシブルに調整しやすいので、その言葉に思いっきり甘えることに。

けれど、だんだんと家庭のなかにいる時間が減っていき、私は夫ではない別の男性を求めてしまうことになるのですが、そのお話はまた次回したいと思います。