ファンはウィーの笑顔を見たい。その期待には応えている? (Photo JJ.Tanabe)
 16歳の少女ミッシェル・ウィーが今週の米PGAツアー「84ランバークラシック」に挑戦している。男子プロの大会への挑戦は米国内外を含めて今回が11回目。今年5月の韓国ツアー「SKテレコムオープン」で初の予選通過を果たしたものの、米PGAツアーへの過去5回の挑戦はすべて予選落ち。6回目の今回こそはと期待されていたが、今日の初日のラウンドはノーバーディ、5ボギーの77で125位タイ。明日の予選通過は絶望的となった。

 今大会のコースは、大会の冠スポンサーである木材会社「84ランバー」の創設者ジェフ・ハーディー氏が所有するネマコリン・ウッドランズ・リゾート内のミスティック・ロックゴルフコース。ウィーは13歳のころからハーディー家と親しくなり、当時も大会にスポンサー推薦で出場しないかと打診を受けた。しかし、「そのときは、まだ早すぎると思った」(ウィー)ということで推薦を受けず、16歳になった今年が初の大会参加となった。

 「13歳のときから何度もプレーして、よく知っているコースです」とは言うものの、全長7511ヤード、パー72は「私がこれまでプレーした大会コースの中で最長」というタフな距離設定だ。それでも、「短いホールもあるし、バーディホールだってある。長い短いのコンビネーションがすばらしいコースです」と強気に語っていたウィーだが、実際は短めのバーディホールでバーディチャンスにつけながらショートパットを外し、距離が長いホールでは当たり前のようにボギーになるなど、距離不足、パワー不足、技術不足に加え、パットの不調ぶりが如実に表れたラウンドだった。

 ウィーに対しては、「まず女子の試合で勝ってから男子の試合に挑戦すべきだ」という批判が絶えないが、ウィー自身は「LPGAの試合には年間で許されている最大数の試合に出ているし、今年はそこできっちり好成績を出してきた。それにPGAツアーの試合に出て学ぶことはLPGAの試合に対するいい練習になる」と、今後も男子の試合への挑戦は続ける姿勢を見せ続ける。だが、受け入れる男子選手たちの中には、「女子の試合のためのいい練習?我々の仕事場であるPGAツアーの試合が、彼女の練習台にされちゃかなわないぜ」という不満の声が強まりつつある。

 ギャラリーの反応はどうか? 初日、どの組を見てもギャラリーはまばらだったが、ウィーの組について歩くギャラリーだけは群れをなしていた。どう見ても人々はウィーのプレーを楽しんでいる様子。人々は彼女の予選通過の可否をどう考えているのだろうか。数人のギャラリーに聞いてみると、こんな答えが返ってきた。「予選通過は無理だと思っているけど、通過できてもできなくても、男子ツアーに挑戦する女の子のパワフルなドライビングと可愛い顔や姿が見れれば満足だよ」。つまり、人々はウィーの予選通過を本気で信じてはいないということだ。ウィー本人は「私が予選通過できるかどうかは、私自身より周囲が重要視していること。私は別に早く予選通過しなきゃって焦っているわけでもないし、時間がかかるだろうと最初から思っているけど、周囲がやたらと気にしているのよ」。

 米男子ツアーで予選通過を果たし、「マスターズに出るのが夢です」と語った14歳当時のウィーの言葉を今でもはっきりと覚えている。確かに彼女はその夢を何歳までに叶えたいとか、早く成し遂げたいとか、そういった時期的なことには触れなかった。しかし、彼女の父親BJは、資本主義市場におけるウィーの「市場価値」を強調しており、ティーンエイジャーという若き彼女の現在のマーケットバリューが高いのだということを米メディアに強調しているほどだ。だとすれば、ウィーの予選通過はできるだけ早く達成されなければ彼女の市場価値は徐々に落ちていく。米ツアー6回目となる今回の挑戦が絶望的となった今、せいぜい10回目の挑戦までには予選を通過しないと、人々もいい加減、飽きてしまうのかもしれない。ウィーにとっても、ステージパパの父親にとっても、そろそろ正念場を迎えつつある気配だ。

ミシェル・ウィー - 写真ニュース