この記事をまとめると

■車検証に記載される車両重量と車両総重量の違いを解説

■車両重量はオイルや燃料を入れスペアタイヤなどの装備品を載せた状態の車両の重さを示す

■車両総重量は車両重量に乗車定員分の重さを加えたものを指す

必ず記載される車両重量と車両総重量

 電子車検証の採用に伴い、車検証サイズは従来のA4サイズ相当から、A6サイズ程度に小さくなったが、それでも車体サイズなど重要な情報は相変わらず文字として記されている。

 車検証に書かれた情報を「券面記載事項」というが、そのなかでトップクラスにわかりづらいのが「車両重量」と「車両総重量」の違いだろう。それぞれ車体の重さに関わる数値なのは理解できるだろが、どのような違いがあるのだろうか。

 筆者の手元にある車検証をいくつか見てみると、ハイブリッドカーA車の車検証では車両重量が1190kg、車両総重量は1465kgとなっていた。ディーゼルエンジンのB車では車両重量1500kg、車両総重量1775kg。電気自動車のC車は車両重量1460kg、車両総重量1735kgという数値が記載されている。

 勘のいい人は気づいたかもしれないが、まったくカテゴリーやキャラの異なる3モデルとも、車両重量と車両総重量の差は275kgとなっている。これは偶然なのだろうか? いや違う。多くの乗用車において車両重量と車両総重量の差は275kgとなっているのだ。軽自動車であれば220kg、ミニバンでは385kgもしくは440kgとなっていることが多いだろう。

 なぜなら、車両重量というのはエンジンオイルなどを規定通りに注入、燃料を満タンにして、スペアタイヤなどの装備品を載せた状態での車両の重さを示しており、乗用車における車両総重量というのは、そこに乗員がフル乗車した場合の重さを示す数値となっているからだ。そして、乗員の重さについてはひとり当たり55kgと規定されている。

 そのため、乗車定員5名のクルマであれば車両重量と車両総重量の差はどれも275kgとなるわけだ。定員4名であれば220kg、定員7名で385kg、8名になると440kgほど車両重量より重くなる。

 クルマは軽いほど運動性能に優れているという評価軸を持っているドライバーにとっては、車両重量はクルマ選びにおける重要な指標となるかもしれないが、そこまでクルマの重さを気にしている人は多くはないだろう。

車両重量次第では同じクルマでも税額が異なる場合もある

 しかし、車両重量が自動車重量税の基準になっていると聞けば、印象は変わってくるはずだ。

 エコカー減税や旧車増税のことをいったん忘れて、基本的な話をすれば、登録車における自動車重量税というのは500kgごとに4100円が課税されるというルールになっている。そして、自動車重量税は車検時に徴収されるので、継続車検では2年分を納税することになる。

 前頁で例にあげた車両重量1170kgのハイブリッドカーであれば、4100(円)×3(単位)×2(年)という計算になるので、自動車重量税の課税額は2万4600円だ。1640kgのV6エンジン車では4100(円)×4(単位)×2(年)という計算になるので、自動車重量税の課税額は3万2800円となる。

 このくらいの数字であれば諦めもつくが、同一モデルでもグレードによって車両重量が異なる場合は微妙かもしれない。マツダ・ロードスターのベーシックグレードは車両重量990kgと軽量になっているが、ひとつ上のグレードは車両重量1010kgとなっている。上記の計算式からわかるように、たった20kgの差ではあるが、自動車重量税の負担は車検ごとに8200円も異なるのだった。

 このあたり気にするユーザーは車両重量のカタログ値について細かくチェックしていることだろう。

 カーナビをつける場合でもライン装着されるメーカーオプションでは車両重量に含まれるが、ディーラーオプションや量販店でカーナビを取り付けるのであれば車両重量には含まれない。10〜20kgで自動車重量税のランクが変わってしまうようなクルマでは、このあたりの工夫で後々の税負担が変わってくるのだ。

 さて、車両総重量について一般ユーザーが気にすべきは、免許との関係だ。

 平成29年3月以降に取得した普通免許では運転できるクルマの条件が定員10人以下、車両総重量3.5t未満となっている。つまり、車検証の車両重量が3500kgを超えているクルマは、たとえ乗用車であっても運転することはできない。

 ちなみに、それ以前に普通免許を取得しているドライバーの多くは「準中型免許(5t未満限定)」となっているだろうが、その場合は車両総重量4999kg以下となっていることが運転できるクルマのリミットであり、限定のない「準中型免許」では7499kgまでが運転できるクルマの上限だ。

 平成19年6月以前に普通免許を取得した場合、いまは「中型免許(8t未満限定)」という免許になっているだろうが、この場合は車両総重量7999kg以下であることが運転できるクルマの条件となっている。

 ほとんどの乗用車は3.5tもないので、あまり気にしていないかもしれないが、キャンピングカーなどでは、いまの普通免許では運転できる重量制限を超えている可能性もあるので、レンタカーを利用する場合や、友人のクルマを運転するときには車検証を確認するようにしたい。