2020年にトランスジェンダーの女性に対する差別的な発言で物議を醸したJ・K・ローリング。ウェブサイト「devex」に掲載された「月経のある人にとってコロナ後の世界をより平等にする」という意見記事に対してローリングは「月経のある人? そういう意味の言葉があったのでは? ウンベン? ウインプン? ウーマド?」とツイートした。これに対して「女性(ウーマン)」という言葉はトランスジェンダーの女性も含まれるという反論が寄せられ、ローリングの発言はトランス女性を差別していると批判を浴びた。その後ローリングは「性別が現実のものでなければ同性愛はあり得ない。性別が現実のものでなければ、世界中の女性が生きている現実は消されてしまう。私はトランスの人々を知っているし愛している。でも性別という概念を消してしまうことは、人生について実のある議論をするチャンスを多くの人から奪う。真実を話すことはヘイトではない」とツイート。エマ・ワトソンやダニエル・ラドクリフら映画のキャストたちも批判するコメントを発表したが、ローリングは意見を撤回しなかった。

今週ポッドキャスト「Witch Trials of J.K. Rowling」をスタートさせたローリング。番組ではこの発言について言及した。ローリング曰く「誰かを怒らせるつもりはなかった」。また当時『ハリー・ポッター』ファンはトランス女性に対する差別発言を彼女のレガシーを傷つけるものだと批判し嘆いたがローリングはこれについてもコメント。「そういう感情を示す人は私をこれ以上ないほどひどく誤解している」と語った。「私は自分のレガシーについて考えながら家の中を歩き回るようなことはしない」「私のレガシーはなんだろうと考えながら歩くなんて、なんて尊大な生き方だろう。どうでもいい。私は死ぬのだから。私は今が大事。生きている人が大切なんだ」。

今回のエピソードでは最初の夫ホルヘ・アランテスとの結婚生活についても語っている。ローリングはポルトガルで英語を教えているとき出会ったアランテスと1992年に結婚したが、1995年に破局している。「永久に彼の元を去る前に2度彼から逃げ出し、2度戻った」。結婚してすぐに彼女は流産しているが「それは大きなトラウマだった。それが原因で私は心のバランスが取れていない状態になっていた」と語っている。

アランテスとの結婚生活は「非常に暴力的で支配的だった」と語るローリング。玄関の鍵を持つことも許されなかった。「彼はバカではなかったから私がまた逃げ出そうとするのを知っていたか、疑っていたのだと思う」。極度の緊張状態の中で暮らしながら、それでも彼女は『ハリー・ポッター』の物語を書き続けていた。「ひどい生活だったけれど原稿はどんどん増えていった」「その原稿が私にとってどんな意味を持つか彼は知っていた。彼はその原稿を人質にした」。アランテスの元を去ることを決めてからは彼に握られている原稿を「数ページずつ職場に持っていった。そうすれば彼は気がつかないから。そうやってコピーを取っていった」。それを職場に保管していた。「もし私が原稿を全部持って家を出なければ、彼はそれを燃やすか奪うか、人質にするのではないかと私は疑っていた」。原稿と引き換えに家に連れ戻される可能性も考えていたよう。

トランスジェンダーに対する差別発言で炎上しても、今も多くのファンがいる『ハリー・ポッター』。ローリングがこれからポッドキャストでどのようなエピソードを披露するのか、注目が集まっている。