羽田空港近郊エリアには、ビル1階の玄関部分に、JALの「ジャンボジェット」のコクピットシミュレーターが鎮座しているユニークなスポットがあります。シミュレーターがあるとは考えづらい場所、何があったのでしょうか。

実際に訓練に使用された「ホンモノ」

 羽田空港近郊エリアにある「穴守稲荷神社」。その道路を隔てた隣に、とてもユニークな設備をもつビルがあります。駐車スペースにもなっている1階の玄関部分に、JAL(日本航空)の「ジャンボ機」ことボーイング747のコクピットシミュレーターが鎮座しているのです。なぜこのようなところにあるでしょうか。


ビル1階に展示されたJALのコクピットシミュレーター(乗りものニュース編集部撮影)。

 展示されているシミュレーターは、「ジャンボ機」のコクピット部だけがくり抜かれた外形となっており、裏にまわると、ガラス越しにその内部を見ることができます。内部は「ジャンボ機」シリーズでも「クラシック・ジャンボ」や「在来ジャンボ」と呼ばれた、アナログ計器が並ぶ初期タイプのものです。

 シミュレーター内部の計器の精密さなどは本物さながら。内部に入ることはできませんが、コクピット窓越しが見える景色が、ビルに入居するコンビニや行き交う車でなければ、ここが実機と勘違いしてしまうほどです。

 それもそのはずで、このコクピットシミュレーターは、実際にJALの乗員訓練に使用されたものだそう。1980年から2006年までの期間、2000人以上の訓練に、このシミュレーターが使われたとのことです。

 そして実はこのシミュレーターが設置されているビルは、JALの旧訓練センターの跡地に建てられたものです。この訓練センターは2006年ごろまで運用され、多くのパイロットや(客室乗務員)がここで学んでいました。シミュレーターの展示は、このことにちなんだものとされています。