青春18きっぷ難易度Sランク「長門本山駅」には何があるのか 昔は25往復、いま3往復!?
山口県にあるJR小野田線の本山支線は、列車の運行が早朝と夜の3往復しかありません。終点の長門本山駅には何があるのでしょうか。また、到達するコツはあるのでしょうか。
列車はわずか3本 小野田線「本山支線」の長門本山駅
「青春18きっぷ」旅行でネックとなるのが、一日の運行本数が著しく少ない「閑散路線」。スムーズに旅を進めるには、事前の行動計画が必須となります。
その中でも山口県には、あまりにも本数が少ないため鉄道ファンから恐れられている路線があります。それが、小野田線の通称「本山支線」です。
長門本山駅(画像:乗りものニュース編集部撮影)。
山陽本線から臨海工業地帯の街へ伸びるローカル線、宇部線と小野田線。本山支線は、小野田線の雀田駅からさらに分岐して長門本山駅へ2.3kmだけ伸びる路線です。沿線の石炭輸送を目的に建設された本山支線には、1933年製のレトロな電車「クモハ42001」が走り、人気を集めていましたが、2003年3月に引退。現在はやはり今や希少車両の123系が運用を担っています。
この支線を走る電車はわずか3往復。7時台に2往復が運転され、その次は18時台まで運行はありません。似たような存在に兵庫県のJR和田岬線がありますが、こちらは何といっても大都会・神戸市の市街地。それと比べ、山口県の市街地から雀田駅まで行くことすら大変な本山支線、鉄道での到達難易度は極めて高いと言えるでしょう。終点の長門本山駅は、小さなホームに線路1本だけがある無人駅です。
もうひとつの難点は、どの列車も折り返し時間が短いため、せっかく終着駅に到達しても、撮影や散策をするための時間が少ないことです。駅周辺の散策をしたい人は、長門本山駅に7時4分に到着する初電を利用し、この列車の折り返しとなる7時10分発には乗らず、次の7時35分発を利用すると、約30分ですが滞在時間を確保できます。
もっとも先述のとおり、本山支線はわずか2.3kmの超ミニ路線。雀田駅まで徒歩移動が可能であるほか、長門本山駅からは小野田駅方面へのバスも運行されており、片道だけ電車に乗る、といった訪れ方も良いでしょう。朝の訪問の場合、土休日に「本山駅」バス停を8:02、9:07に通過する小野田駅行きの便があります。
長門本山駅の周辺は、どのような場所なのでしょうか。「秘境駅」並みの本数によるイメージに反し、駅周辺は住宅地となっており、体育館や公民館もあります。駅から少し歩くと堤防があり、そこから周防灘を見渡すことができるほか、駅北側の「きららビーチ焼野」から見える景色は、「日本の夕日100選」にも入る名所となっています。また、駅南側に位置する旧本山炭鉱斜坑坑口跡は、炭鉱の入口としては珍しい「忍返」とよばれる独特の形状として存在感を放っています。
ちなみに1967年10月時点の本山支線のダイヤは現在と大きく異なり、朝5時から深夜0時まで、1日25往復も運転されていました。もっとも当時から午前中の宇部新川発着の1往復を除き、すでに短い支線内を行き来するのみとなっていました。