JR京葉線「通勤快速」なぜそこまで飛ばす? 東京湾岸ノンストップ 街もメッセも停まらない!
新木場〜蘇我間ノンストップ――JR京葉線で平日の朝夜に2本ずつ運行される通勤快速は、その“爆速ぶり”で知られます。舞浜や海浜幕張をも通過する様は、まるで特急ですが、なぜここまで速いのでしょうか。
夢の国最寄り駅にも停まりません!
2022年12月現在、JR京葉線の通勤快速は東京駅を出発すると、八丁堀、新木場の順に停車ののち、千葉市の蘇我駅までノンストップです。新木場〜蘇我間では実に11駅を通過しますが、これは特急並みといっても過言ではないでしょう。
通勤快速は平日のみ、朝に上り2本、夜に下り2本が運行されます。東京ディズニーリゾートの最寄り駅である舞浜すら停車しないことから、しばしば同施設へ遊びに行こうとした人が誤乗してしまい、千葉市へ連れていかれたとSNSなどで話題になります。25分間もドアが開かない通勤快速。なぜ、ここまで速達なのでしょうか。
JR京葉線の通勤快速。東金線直通列車は誉田駅で分割され、勝浦行きと成東行きになる(乗りものニュース編集部撮影)。
それは千葉以遠〜東京間を結ぶ近郊列車の要素を持たせたからでした。そもそも京葉線は1967(昭和42)年、京浜工業地帯の川崎から京葉工業地域の木更津までを結ぶ貨物線として着工しています。しかし沿線の大部分を占める埋立地が、時代とともに工業用地から住宅用地に変わったため、1978(昭和53)年には旅客列車も通る計画に変更されました。
1986(昭和61)年、西船橋〜千葉港(現・千葉みなと)間で旅客営業を開始。その後も部分的に開業していき、全通するのは1990(平成2)年3月のことでした。同時に快速運転も開始されます。
停車駅は増えるか
住宅用地が増えたとはいえ、当時は今ほどの沿線人口は抱えていません。幕張新都心に代表されるような商業・業務地区も形成中であり、京葉線は東京湾岸を通って東京へアクセスするバイパスの性格が強かったのです。
加えて、千葉市から市川市などを経由して都心へ至る総武本線の混雑解消も課題でした。列車の増発などほかの要因もあるにせよ、1987(昭和62)年度に266%だった総武線快速(新小岩→錦糸町)の混雑率は、1991(平成3)年度に237%へ低下(『都市交通年報』による)。京葉線が開通し、通勤客がそちらへシフトしたと考えられます。
京葉線の全通にあたり、漫画家の高橋留美子さんにより、22歳のOLという設定でイメージキャラクター「マリン」が作成された。車両は205系電車(1990年8月、伊藤真悟撮影)。
通勤快速は当時から蘇我駅発着ではなく、そこから先、内房線や外房線へも直通していました。2022年現在も全ての列車が内・外房線または東金線へ直通。長距離輸送に特化した種別といえるでしょう。
ちなみに通勤快速は、2004(平成16)年10月まで新木場駅(東京都江東区)をも通過していました。とはいえ現在も新木場〜蘇我間35.6kmを25分で走り抜けるのは、表定速度(駅停車時間も含めた平均速度)にすると約85km/hにも及びます。
ところで、京葉線には2023年3月18日(土)のダイヤ改正にあわせ、新習志野〜海浜幕張間に新駅「幕張豊砂」が開業します。大型商業施設「イオンモール幕張新都心」をはじめ、幕張エリアへのアクセス向上も期待されます。
JR東日本 千葉支社の発表では、同駅に通勤快速は停車しないそうですが、全線開業から30年あまり、沿線環境も大きく変わる中で、今後 同列車の停車駅が増えることはあるのでしょうか。