都内では、名称が同じでも距離が離れている駅というのがよくあります。蔵前駅もその例のひとつで、ナビアプリなどでも乗換が案内されるにも関わらず、その実態はちょっと戸惑う光景が繰り広げられます。

アプリでもオススメされる乗り換えトラップ

 東京都心の複雑に張り巡らされた地下鉄網を利用した移動は、電車の乗り換えのアプリなどの発展もあり、そこまで苦ではなくなっています。しかし、路線図などでは楽に乗り換えられそうに見えて、「駅名が同じでも実は駅どうしが離れている」という“トラップ”もあります。

 その、ある意味悪名高い例のひとつが、大江戸線蔵前駅と、同浅草線蔵前駅の乗り換えです。浅草を目指す観光客も使う可能性もあるこの乗り換えコース、実際に歩いて面倒な点を体験しました。


問題の駅である大江戸線蔵前駅

 大江戸線と浅草線はともに、東京都交通局が運営する都営地下鉄です。当然、改札を出ずに地下道で移動するかと思いきや、大江戸線蔵前駅で降りると「のりかえはオレンジ色の改札機をご利用ください」という怪しい案内が。

 改札を出ると、「A6出口をご利用ください」という案内があり、その指示に従い階段を上ると、駅を出てしまいました。車道は見えますが、地下鉄の入口らしくものは全く見えません。この時点で土地勘のない人は戸惑うこと間違いなしです。

 上がってきた階段をよく見ると案内板があります。その案内通り右に曲がると、都営浅草線への距離を示す標識がようやく出てきます。押上・京成線方面は190mとありますが、周囲は完全に“街なか”の光景。駅舎が見えるわけではないため、おそらく観光目的などで同地を訪れた人は不安感を覚えるのではないでしょうか。

 乗換の全体行程は、駅構内での移動も含めて300〜400m程度。地上では途中に交差点の信号待ちもあり、不慣れな場合は10分近くかかるかもしれません。また、都営浅草線の蔵前駅から大江戸線を目指す場合、外に出る場所を間違うと、500m以上を歩くこともあるようです。

あえて乗り換えない手も…?

 ちなみに、大江戸線から浅草の浅草寺などを目指す場合ですが、思い切って乗り換えず、そのまま蔵前から浅草方面へ歩いてしまうのも一手。1キロ弱の距離なので、移動距離と電車の待ちなどを考えても、そこまで時間が変わらない可能性が高いです。


映画『シン・ウルトラマン』公開直前のバンダイ本社(斎藤雅道撮影)

 途中にはバンダイ本社などもあります。新型コロナウイルスの影響で、2022年現在、社内見学は中止されていますが、会社の敷地内の展示物などを見学することは可能です。

 また、都営浅草線の押上方面から大江戸線蔵前駅を経由し、国技館のある両国駅を目指す場合は、浅草橋で浅草線とJR総武線を乗り換えるより運賃は安くなります。ただ、蔵前の乗り換えも面倒なうえ、大江戸線両国駅は国技館から離れているという“トラップ”にも注意が必要です。