尾翼に目が行きがちですが、ラインの引き方もカッコいい!!

5日深夜発サンフランシスコ行きでデビュー予定

 ANA(全日空)といえば、2色のブルーが入った尾翼デザインが特徴です。しかし2022年10月から、この概念を覆すような大胆な特別塗装機が登場します。尾翼デザインが2色の緑なのです。この新たな特別塗装機の全貌が2022年10月3日、報道陣に公開されました。


報道陣に公開された「ANAグリーンジェット」(2022年10月3日、乗りものニュース編集部撮影)。

 この特別塗装機の名称は「ANA Green Jet(ANAグリーンジェット)」。ANAグループが持続可能な社会の実現と企業価値向上を目指し立ち上げたプロジェクト「ANA Future Promise」の取り組みをアピールするもので、機体の名称は社内公募により選ばれました。

 同社によると「ANAグリーンジェット」は「環境の概念を表現する『水と緑』をモチーフとした」としています。胴体にはANAのコーポレートカラーである青、そして緑の2色で、波線状のラインが引かれ、これらが入り交じるように描かれています。機体左側には「ANA Future Promise」と葉のモチーフのライン、右側には「SAF Flight Initiative」の文字とロゴと水のモチーフのラインが描かれており、左右の非対称のデザインが特徴です。担当者によると、デザインは社内でいくつか候補案を出し、決定に至ったとしています。

 今回披露された特別機はボーイング787-9国際線仕様機「JA781A」。5日の22時55分発、サンフランシスコ行きのNH108便でデビューする予定の機体で、欧米路線を中心に投入されます。このほか11月からは、787-8国内線仕様機「JA874A」も同様の塗装に塗り替えられ、国内・国際の両路線で中長期的にこの塗装で運用されるとのことです。

 ただこの「ANAグリーンジェット」、外装の工夫は特別塗装だけではありません。

目立たないけどスゴイ、「ANAグリーンジェット」の工夫

「ANAグリーンジェット」にはCO2排出量削減に向けた取り組みの第一弾とし「サメ肌効果」が期待されるリブレット技術を、ニコンの技術協力のもと新導入します。この技術が国内航空会社で採用されるのは、初とのことです。

 このリブレットシートは細かい凸凹が入りザラザラとした感触。「サメ肌」と例えられるのも、このためです。かつて競泳で、このリブレット素材の水着がブームとなったように、この表面形状を採用することで、機体の空気抵抗を低減できる効果が期待されているとのこと。仮にANAの全機材にリブレットシートを貼った場合、年間約30万tのCO2排出量の削減を期待できるといいます。

「ANA グリーンジェット」では、これらの技術検証、ならびにフィルムの耐久性等を検証します。胴体上部、主翼付け根付近にそれぞれ1枚ずつ、縦35cm ×横45cmのシートを貼り付け。フィルムの耐久性検証を目的から、空気環境の厳しい場所を選んで装着場所を選定したとのことです。ANAの井上慎一社長によると、今後は検証のもと、全機材へのリブレットシート展開を予定しているそうです。


報道陣に公開された「ANAグリーンジェット」(2022年10月3日、乗りものニュース編集部撮影)。

 このほか、機内にも、環境に配慮したさまざま取り組みが見られます。たとえば、座席のヘッドレストカバーに、ヴィーガンレザーや、りんごで作ったジュースの搾りかすを使用した素材を使用するなどです。

「この特別機就航を皮切りに、サスティナブルをテーマとした機内や運航サービスについてお客様からの意見や評価をいただき、それをほかの機材や路線にも拡大していく予定です。この施策のサイクルを作っていくことが重要です。お客様とともに、サスティナブルなフライトを作っていきたいと考えています。ぜひ、ご搭乗いただき、たくさんのご意見などをいただければと考えています」(井上慎一社長)

 ANAではこの特別塗装機の就航のほか、サステナブルな素材を使用した機内サービス品(機内食食器の一部、機用品の包材等)の提供や、航空をテーマとしたアップサイクル商品の販売拡充、CO2排出抑制を目的としたハンドリング等を中長期で展開するとしています。