東急グループ横断変革組織「Urban Hacks」は、東急電鉄およびバス、東急ホテルズ、東急カードの3事業域において、リアルな顧客接点とデジタルを活用したアプリ開発・リニューアルに取り組みます。

なぜアプリ開発などを内製化するのか


「東急線アプリ」はリニューアルされ、東急バスとも連携強化された。写真はイメージ(大藤碩哉撮影)。

「東急グループの資産をハックして、より豊かな暮らしをつくる」――昨2021年7月に設立した、東急グループ横断変革組織「Urban Hacks」は、30人を超えるインフラエンジニアやデザイナーらを抱えながら、リアルとサービスの融合を図っています。2022年9月時点では移動(鉄道・バス)、宿泊(ホテル)、お金(カード)の3事業域において、リアルな顧客接点とデジタルを活用したアプリ開発・リニューアルに取り組んでいます。

 各事業ともそれぞれのグループ会社が担い、別個のアプリがありますが、なぜそこへ「Urban Hacks」が入り込むのでしょうか。これにはグループ創立100周年を迎えた東急が次の100年を見据え、テクノロジーで街を豊かにすることを目指すからです。

 具体的には沿線住民など東急のサービス利用者を、朝起きて出勤する、退勤ついでに買い物するといった行動ベースで把握。上記の例では利用者は東急線やバスを使い、東急ストアで東急カードを使って支払いをすることが想定されますが、各事業で得られたデータを「Urban Hacks」が共通化して活用すれば、現実に即したシームレスなサービスを提供可能になるわけです。

 そして「Urban Hacks」はここに、早さも追求するといいます。事業横断的な利用者の体験が一元化されたデータとして上がってくることで、様々な変化をタイムリーに反映しやすくなります。「Urban Hacks」の宮澤秀右プロジェクトオーナーは、「200のグループ会社を持つ東急は、単一企業でない強みをデジタル領域でも活かせる」と話します。

 ところで、「Urban Hacks」は自社内の組織ですが、なぜアプリ開発に至るまでをも外注しないのでしょうか。これについても宮澤プロジェクトオーナーは「早さ」を挙げ、外注していては注文書の発行、予算取り、ヒアリングなどに時間を要してしまうといいます。「時制に合わせてよりよいものをスピーディーに作るには手の内化することが重要であり、さらには積み上がった利用データをグループ会社にも展開しやすくなる」と話します。

 2022年9月29日(木)、「Urban Hacks」はグループ各社と連携して、「東急線アプリ」「東急カードアプリ」「東急ホテルズアプリ」のリニューアルおよび新規開発を実施。特に「東急線アプリ」では、東急バスのバスルートとバス情報の連携強化を図り、乗車・降車するバス停名を入れるだけでバスルートの設定ができるほか、バス停への到着予測時分や混雑度、系統、目的地までの停留所一覧などをリアルタイムに確認できるようにしました。